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第三章『ステラ・グリーンローズ』
58 ステラのアトリエ
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ステラのアトリエの中に入ると、そこには多くのマジックアイテムや魔導書と思われる書物がそこかしこに積んであった。
だがここに来て強烈な違和感が襲って来る。
……やけに奇麗なのだ。
外があれだけ風化していたのにも関わらず、この部屋の中のものは埃こそ被っているものの、手入れがされなくなってからたった数年しか経っていないかのような状態だった。
「嘘、これ……全部マジックアイテムなの……?」
ケラルトは机の上に置いてある大量のマジックアイテムを見て驚いていた。
この世界において性能の高いマジックアイテムは中々に高級品と言うか、そもそも製作難易度自体が物凄く高いようなのだ。
だからこそ俺も結界魔法を込めたマジックアイテムは未完成になってしまった訳で……。
しかし、今ここにあるマジックアイテムはそのどれもが一級品……いやそれ以上だった。
勇者としての能力なのか物をじっと見つめるとアイテム情報が表示されるのだが、それによるとここにあるほぼ全てが最高ランクかその一個下のレアリティなのだ。
つまるところ、ここはお宝の山と言う訳である。
そうなれば積まれている本の方も気になって来る。
きっととんでも無い魔法について書かれているはずだ。
それこそ勇者召喚について書かれていたり……。
と、そんなことを考えながら一番上に置かれていた本を手に取り、開く。
「……」
ああ、うん……そのまさかだった。
正確にはそこに書かれていたのは召喚魔法についてだ。
だがこの状況で召喚魔法を調べていたとなると、間違いなくそれは勇者召喚に関してのものと言うことになるだろう。
「何か気になるものでもあったの?」
「ああ。この本、召喚魔法についての本らしいんだ」
「召喚魔法……それじゃあやっぱり……」
どうやらルキオラも俺と同じ答えに辿り着いたようだった。
ステラが勇者召喚の魔法について研究及び開発を行った……そう言ってしまっていいだろう。
「二人共、これを見てちょうだい」
「どうしたんだメイデン」
「この本、異界の存在について書かれているのよ」
メイデンが見つけた本を見ると、そこには異界の存在……所謂、俺たちがいた地球のことが書かれていた。
そしてパラパラと軽く読み進めて行く内に、気になるものを見つけた。
どうやら勇者召喚とは関係なく、この世界に迷い込んだ日本人が何人かいるようなのだ。
その人物から聞いた情報を書いたのがこの本のようだった。
正直信じがたい話ではあるが、そこに書かれていた肖像画の人物をニュースで行方不明者として見た記憶がある。
「異界の存在と召喚魔法……ね。それを上手いこと組み合わせて勇者召喚の魔法を創り出したってところかしら」
「そうは言っても、そんな簡単に行くもんなのか?」
「さあ? でもこっちのステラって相当な天才だったみたいじゃない。今そこではしゃいでる彼女があんな状態になるくらいには、とんでもないマジックアイテムを量産していたのでしょう?」
「それもそうか……」
魔法の腕に関して言えば、間違いなく天才だったのだろう。
だがそれでも魔王には敵わなかった。だから魔王を倒すことができるような勇者を異界から……日本から召喚する魔法を創った。
滅茶苦茶なようだが、彼女であれば実現出来てしまった訳だ。
「……じゃあなんだ。ネワオン自体も彼女が作ったってことなのか?」
勇者召喚の魔法がどんなものなのかはわからないが、仮に彼女が創ったものだとして……ネワオンの存在はどうやって説明すればいいのか。
こんなにもこの世界にそっくりなゲームが偶然出来上がるとも思えない。
であれば異世界のエルフであるステラがあのゲームを作ったということになるが……それも違和感がある。
「別にそう言う訳でもないんじゃないかしらね。こっちのステラが創ったのはあくまで勇者召喚の魔法であって、どういった方法で勇者を作り出すかは魔法側が勝手に行った可能性だってあるわよ」
「そんなことが……いやでもありえるか。魔法だもんな」
そんな不思議なことが起こるのが魔法と言うものだった。
それを俺はこの世界で生きているうえで肌で感じ取ってきたのだ。
「ねえ、これ見て……!」
その時、ケラルトの声がアトリエ内に響いた。
「どうしたんですか?」
「これ、貴方に渡した宝石と同じようなものなのよ」
彼女の前にはその言葉の通り、あの時渡された宝石と瓜二つのものが置かれていた。
「貴方が触ったらまた何か起こるんじゃないかしら……」
「でもそれじゃあまたステラが倒れちゃうかも……」
ルキオラの心配ももっともだったが、ここに来たのは情報を得るためなんだ。
少しくらいのリスク、背負ってやるさ。
「大丈夫だよ、ルキオラ。あの時だってすぐに目が覚めただろう?」
「でも……ううん、ステラがそのつもりならあたしは君を信じるよ」
「ありがとう。それじゃあ……」
深呼吸をし、ゆっくりと宝石に触れる。
だが今回は意識が薄れることは無く……。
『おや? ……なるほど、やっとここに来てくれたわけだね』
代わりに宝石の上にホログラムのようなものが表示され、そこに俺そっくりな姿のエルフが映し出されたのだった。
だがここに来て強烈な違和感が襲って来る。
……やけに奇麗なのだ。
外があれだけ風化していたのにも関わらず、この部屋の中のものは埃こそ被っているものの、手入れがされなくなってからたった数年しか経っていないかのような状態だった。
「嘘、これ……全部マジックアイテムなの……?」
ケラルトは机の上に置いてある大量のマジックアイテムを見て驚いていた。
この世界において性能の高いマジックアイテムは中々に高級品と言うか、そもそも製作難易度自体が物凄く高いようなのだ。
だからこそ俺も結界魔法を込めたマジックアイテムは未完成になってしまった訳で……。
しかし、今ここにあるマジックアイテムはそのどれもが一級品……いやそれ以上だった。
勇者としての能力なのか物をじっと見つめるとアイテム情報が表示されるのだが、それによるとここにあるほぼ全てが最高ランクかその一個下のレアリティなのだ。
つまるところ、ここはお宝の山と言う訳である。
そうなれば積まれている本の方も気になって来る。
きっととんでも無い魔法について書かれているはずだ。
それこそ勇者召喚について書かれていたり……。
と、そんなことを考えながら一番上に置かれていた本を手に取り、開く。
「……」
ああ、うん……そのまさかだった。
正確にはそこに書かれていたのは召喚魔法についてだ。
だがこの状況で召喚魔法を調べていたとなると、間違いなくそれは勇者召喚に関してのものと言うことになるだろう。
「何か気になるものでもあったの?」
「ああ。この本、召喚魔法についての本らしいんだ」
「召喚魔法……それじゃあやっぱり……」
どうやらルキオラも俺と同じ答えに辿り着いたようだった。
ステラが勇者召喚の魔法について研究及び開発を行った……そう言ってしまっていいだろう。
「二人共、これを見てちょうだい」
「どうしたんだメイデン」
「この本、異界の存在について書かれているのよ」
メイデンが見つけた本を見ると、そこには異界の存在……所謂、俺たちがいた地球のことが書かれていた。
そしてパラパラと軽く読み進めて行く内に、気になるものを見つけた。
どうやら勇者召喚とは関係なく、この世界に迷い込んだ日本人が何人かいるようなのだ。
その人物から聞いた情報を書いたのがこの本のようだった。
正直信じがたい話ではあるが、そこに書かれていた肖像画の人物をニュースで行方不明者として見た記憶がある。
「異界の存在と召喚魔法……ね。それを上手いこと組み合わせて勇者召喚の魔法を創り出したってところかしら」
「そうは言っても、そんな簡単に行くもんなのか?」
「さあ? でもこっちのステラって相当な天才だったみたいじゃない。今そこではしゃいでる彼女があんな状態になるくらいには、とんでもないマジックアイテムを量産していたのでしょう?」
「それもそうか……」
魔法の腕に関して言えば、間違いなく天才だったのだろう。
だがそれでも魔王には敵わなかった。だから魔王を倒すことができるような勇者を異界から……日本から召喚する魔法を創った。
滅茶苦茶なようだが、彼女であれば実現出来てしまった訳だ。
「……じゃあなんだ。ネワオン自体も彼女が作ったってことなのか?」
勇者召喚の魔法がどんなものなのかはわからないが、仮に彼女が創ったものだとして……ネワオンの存在はどうやって説明すればいいのか。
こんなにもこの世界にそっくりなゲームが偶然出来上がるとも思えない。
であれば異世界のエルフであるステラがあのゲームを作ったということになるが……それも違和感がある。
「別にそう言う訳でもないんじゃないかしらね。こっちのステラが創ったのはあくまで勇者召喚の魔法であって、どういった方法で勇者を作り出すかは魔法側が勝手に行った可能性だってあるわよ」
「そんなことが……いやでもありえるか。魔法だもんな」
そんな不思議なことが起こるのが魔法と言うものだった。
それを俺はこの世界で生きているうえで肌で感じ取ってきたのだ。
「ねえ、これ見て……!」
その時、ケラルトの声がアトリエ内に響いた。
「どうしたんですか?」
「これ、貴方に渡した宝石と同じようなものなのよ」
彼女の前にはその言葉の通り、あの時渡された宝石と瓜二つのものが置かれていた。
「貴方が触ったらまた何か起こるんじゃないかしら……」
「でもそれじゃあまたステラが倒れちゃうかも……」
ルキオラの心配ももっともだったが、ここに来たのは情報を得るためなんだ。
少しくらいのリスク、背負ってやるさ。
「大丈夫だよ、ルキオラ。あの時だってすぐに目が覚めただろう?」
「でも……ううん、ステラがそのつもりならあたしは君を信じるよ」
「ありがとう。それじゃあ……」
深呼吸をし、ゆっくりと宝石に触れる。
だが今回は意識が薄れることは無く……。
『おや? ……なるほど、やっとここに来てくれたわけだね』
代わりに宝石の上にホログラムのようなものが表示され、そこに俺そっくりな姿のエルフが映し出されたのだった。
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