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101 EX3:桜の装備を選ぼう
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ある日のこと。
「んー、なんだか胸元がきついような……」
桜は着用している鎖帷子の胸元がきつくなってきたことを気にしていた。
いくら勇者としての高い防御力があったとしてもやはり防具を着用していた方が安心感が違う訳であり、当然彼女も例外ではなく鎖帷子を装備していたのだ。
ちなみに何故鎖帷子なのかと言えば彼女の得意とする回復魔法を始めとしたこの世界における魔法は、そのほとんどが金属製の鎧と相性がよろしくないのである。
それこそ金銀姉妹が身に着けている竜の素材で作られた装備のように、高位の魔物由来の装備でも無ければ魔法の発動に影響が出るのは確実と言えるだろう。
そのため出来るだけ金属を減らしたうえで防御力を保てる鎖帷子は魔法を行使する者たちに重宝されているのだ。
「どうしたの桜?」
「なんだか胸元がきつくなってきた気がして……」
「胸元……」
咲は桜の胸元を見る。
すると確かにこの世界に来たばかりの時よりも成長していることに気付くのだった。
「今着ているのも結構前に買ったやつだし、この際もっと性能の良い新しいのを買おっか」
色々とあって懐が豊か過ぎる咲は何のためらいもなく高性能の装備を買える訳で、その選択に至るのは当然であった。
こうして防具屋へと訪れた二人。
まず最初に桜が選んだのはやはりと言うべきか鎖帷子である。
「どうかな?」
「どうって言われても……鎖帷子だね」
誰がどう見ても鎖帷子としか言えないその装備を桜は咲に見せびらかす。
その結果、咲もまた無難と言うべきか当たり前すぎる答えを返すのだった。
「うーんそれはそうなんだけど……。それじゃあ今度は……」
試着室に戻った桜はささっと着替えを済ませ、再び咲の前に姿を現した。
「じゃん、これならどう?」
鎖帷子を脱いだ桜は今度は軽装備を纏っていた。
「ちょっと露出多くない?」
それを見た咲は素直な感想を口にする。
彼女の言う通り、胸元や肩に肘、それに膝などの要点こそ薄い金属で守られているものの、お腹と太ももの部分が大胆に露出しているのである。
そんな感想が出てくるのも当然だろう。
「だからいいんでしょ?」
一方、桜はそう言いながらニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて咲へとにじり寄っていく。
「ほら見て、咲ちゃん。全身をインナーや鎧で覆ってるからこそ、一部分だけ肌が出てるギャップが映えるんだよ」
「でも弱点を出しちゃってたら本末転倒じゃない?」
「それはほら……オシャレは我慢だから」
正直なところ、桜自身もこの装備にはどこか頼りなさを感じてしまっていた。
しかしそれでも桜は露出の多い少しえっちな装備を咲に見せつけたかったのである。
「桜がそう言うのならまあ……。でも、それはそれとして目のやりどころが……」
普段の桜は肌の露出がほとんどない装備を着用しているため、今の軽装備姿は咲にとってあまりにも刺激が強かった。
だがそれでも桜はまだまだ止まらない。
「じゃ、次着てみるね」
再び試着室へと戻った桜はこれまたさっさと別の装備に着替える。
そしてもう一度咲の前に姿を現した時、場の空気は変わるのだった。
「さ、桜!?」
「どう……かな?」
何と言う事だろうか。桜は所謂ビキニアーマーと呼ばれるものを身に着けているでは無いか。
「どうって……」
あまりにも露出の多すぎる馬鹿えぐいエロ装備のビキニアーマー……そんなとんでもない恰好の桜を咲はまじまじと見つめていた。
いや、もはや目を離すことなど出来なかった。
「桜……その、凄くかわいいし……凄く、えっち」
桜の豊満な胸はビキニアーマーによって無理やり押さえつけられ、今にもはち切れそうな程になっている。
それだけにはとどまらず、ムチムチな太ももやスベスベなお腹など、彼女の全身のありとあらゆる部分が煽情的と言わざるを得ない誠にけしからん状態となっていた。
つまるところ、桜のビキニアーマー姿は固定資産税が取られそうな程にバインバインなドスケベボディをこれでもかと強調しているのだ。
そのあまりにも劣情を誘うとんでもえちえち姿を見てしまった以上、咲がどうしようもない程に興奮してしまっても仕方のないことなのである。
「え、えへへ……凄く恥ずかしいけど、咲ちゃんがそう言うのならこれにしようかな」
「……駄目」
「……え?」
しかし、それほどまでに興奮していたはずの咲の返答は意外にも桜にとって予想外のものであった。
てっきりこのまま咲はビキニアーマーを買うものだと思っていたのだ。
その手ごたえが桜には確かにあった。
「な、なんで……?」
「だって……桜のその姿を、不特定多数の人に見られたくない!」
「んぇっ?」
咲は感情のままに叫んでいた。
「……桜のえっちな姿は、私だけのものにしたいの!!」
「咲ちゃん……!!」
むちむちドスケベなビキニアーマー桜を他の人には絶対に見せたくない。そんな独占欲が彼女を突き動かしていたのである。
「だから、その装備は買う。けどそれを着るのは私の前でだけにしようね」
なお、ビキニアーマーを買うことは咲の中で既に決定していたようだ。
結果として桜はたまに宿でビキニアーマーを着ては咲を誘惑することになるのだが、例によってその先で起こる事象は到底ここで書くことなど出来ないものとなることだろう。
ちなみに店の外から桜のえっちなファッションショーを見ていた通行人によって噂は広がり、この防具屋はいつの間にやら街一番……いや、国一番のエロ布エロ装備販売店として名を馳せることとなるのだが……それはまた別のお話である。
――――――
最終話が98話でキリが悪いのでおまけを追加してぴったり100話にしようと思ってたんですけど、思いのほか筆が乗ってしまい普通に1話オーバーしました。
と言う訳でこれにて本作は本当に終了となります。
改めて、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
「んー、なんだか胸元がきついような……」
桜は着用している鎖帷子の胸元がきつくなってきたことを気にしていた。
いくら勇者としての高い防御力があったとしてもやはり防具を着用していた方が安心感が違う訳であり、当然彼女も例外ではなく鎖帷子を装備していたのだ。
ちなみに何故鎖帷子なのかと言えば彼女の得意とする回復魔法を始めとしたこの世界における魔法は、そのほとんどが金属製の鎧と相性がよろしくないのである。
それこそ金銀姉妹が身に着けている竜の素材で作られた装備のように、高位の魔物由来の装備でも無ければ魔法の発動に影響が出るのは確実と言えるだろう。
そのため出来るだけ金属を減らしたうえで防御力を保てる鎖帷子は魔法を行使する者たちに重宝されているのだ。
「どうしたの桜?」
「なんだか胸元がきつくなってきた気がして……」
「胸元……」
咲は桜の胸元を見る。
すると確かにこの世界に来たばかりの時よりも成長していることに気付くのだった。
「今着ているのも結構前に買ったやつだし、この際もっと性能の良い新しいのを買おっか」
色々とあって懐が豊か過ぎる咲は何のためらいもなく高性能の装備を買える訳で、その選択に至るのは当然であった。
こうして防具屋へと訪れた二人。
まず最初に桜が選んだのはやはりと言うべきか鎖帷子である。
「どうかな?」
「どうって言われても……鎖帷子だね」
誰がどう見ても鎖帷子としか言えないその装備を桜は咲に見せびらかす。
その結果、咲もまた無難と言うべきか当たり前すぎる答えを返すのだった。
「うーんそれはそうなんだけど……。それじゃあ今度は……」
試着室に戻った桜はささっと着替えを済ませ、再び咲の前に姿を現した。
「じゃん、これならどう?」
鎖帷子を脱いだ桜は今度は軽装備を纏っていた。
「ちょっと露出多くない?」
それを見た咲は素直な感想を口にする。
彼女の言う通り、胸元や肩に肘、それに膝などの要点こそ薄い金属で守られているものの、お腹と太ももの部分が大胆に露出しているのである。
そんな感想が出てくるのも当然だろう。
「だからいいんでしょ?」
一方、桜はそう言いながらニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて咲へとにじり寄っていく。
「ほら見て、咲ちゃん。全身をインナーや鎧で覆ってるからこそ、一部分だけ肌が出てるギャップが映えるんだよ」
「でも弱点を出しちゃってたら本末転倒じゃない?」
「それはほら……オシャレは我慢だから」
正直なところ、桜自身もこの装備にはどこか頼りなさを感じてしまっていた。
しかしそれでも桜は露出の多い少しえっちな装備を咲に見せつけたかったのである。
「桜がそう言うのならまあ……。でも、それはそれとして目のやりどころが……」
普段の桜は肌の露出がほとんどない装備を着用しているため、今の軽装備姿は咲にとってあまりにも刺激が強かった。
だがそれでも桜はまだまだ止まらない。
「じゃ、次着てみるね」
再び試着室へと戻った桜はこれまたさっさと別の装備に着替える。
そしてもう一度咲の前に姿を現した時、場の空気は変わるのだった。
「さ、桜!?」
「どう……かな?」
何と言う事だろうか。桜は所謂ビキニアーマーと呼ばれるものを身に着けているでは無いか。
「どうって……」
あまりにも露出の多すぎる馬鹿えぐいエロ装備のビキニアーマー……そんなとんでもない恰好の桜を咲はまじまじと見つめていた。
いや、もはや目を離すことなど出来なかった。
「桜……その、凄くかわいいし……凄く、えっち」
桜の豊満な胸はビキニアーマーによって無理やり押さえつけられ、今にもはち切れそうな程になっている。
それだけにはとどまらず、ムチムチな太ももやスベスベなお腹など、彼女の全身のありとあらゆる部分が煽情的と言わざるを得ない誠にけしからん状態となっていた。
つまるところ、桜のビキニアーマー姿は固定資産税が取られそうな程にバインバインなドスケベボディをこれでもかと強調しているのだ。
そのあまりにも劣情を誘うとんでもえちえち姿を見てしまった以上、咲がどうしようもない程に興奮してしまっても仕方のないことなのである。
「え、えへへ……凄く恥ずかしいけど、咲ちゃんがそう言うのならこれにしようかな」
「……駄目」
「……え?」
しかし、それほどまでに興奮していたはずの咲の返答は意外にも桜にとって予想外のものであった。
てっきりこのまま咲はビキニアーマーを買うものだと思っていたのだ。
その手ごたえが桜には確かにあった。
「な、なんで……?」
「だって……桜のその姿を、不特定多数の人に見られたくない!」
「んぇっ?」
咲は感情のままに叫んでいた。
「……桜のえっちな姿は、私だけのものにしたいの!!」
「咲ちゃん……!!」
むちむちドスケベなビキニアーマー桜を他の人には絶対に見せたくない。そんな独占欲が彼女を突き動かしていたのである。
「だから、その装備は買う。けどそれを着るのは私の前でだけにしようね」
なお、ビキニアーマーを買うことは咲の中で既に決定していたようだ。
結果として桜はたまに宿でビキニアーマーを着ては咲を誘惑することになるのだが、例によってその先で起こる事象は到底ここで書くことなど出来ないものとなることだろう。
ちなみに店の外から桜のえっちなファッションショーを見ていた通行人によって噂は広がり、この防具屋はいつの間にやら街一番……いや、国一番のエロ布エロ装備販売店として名を馳せることとなるのだが……それはまた別のお話である。
――――――
最終話が98話でキリが悪いのでおまけを追加してぴったり100話にしようと思ってたんですけど、思いのほか筆が乗ってしまい普通に1話オーバーしました。
と言う訳でこれにて本作は本当に終了となります。
改めて、ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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