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61 メンシスの限界
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リーダー格であるファイアワイバーンを倒し、残りのワイバーンも統率を失ったため上位冒険者たちでもなんとか倒せる状態となっていた。
完全に消化試合になったと誰しもが思ったことだろう。
それは金銀姉妹の二人も同じだった。
だが、そうではないのだと最初に気付いたのもまた彼女たちであった。
「ソリス、これは私の見間違いか?」
「いえ姉さん……残念ながら私にも見えているわ」
再び大量の赤い点が現れたのだ。
それもつい今まで戦っていた大群を容易に超える数である。
「不味いわね……流石にあの数は対処しきれない」
超位冒険者である二人にとってもそれは目を疑う光景だった。
それ程の異常事態と言える状況となっていた。
「だとしても私たちがやるしかないさ」
しかしメンシスに諦める気はなかった。
杖を構え直した彼女はワイバーンの群れに向かって魔法を発動させる。
すると彼女の周りに大量の魔法陣が展開されたのと同時に、その魔法陣からは無数の巨大な氷の塊がワイバーンの大群へと向けて放たれた。
それは先程彼女が使用したフォーリンライトニングと同じ超位魔法であるフロストブリザードと言う魔法であった。
彼女は基本となる火、水、風、土の四属性に加え、光と闇の二属性も合わせた六属性の使い手であり、その全てにおいて超位魔法を使用出来るのだ。
超位魔法である以上、当然その威力は凄まじい。現に赤い点は次々とその数を減らしていた。
では最初からやればいいじゃないかと思う者もいただろう。
しかし、そうはいかなかった。
「はぁ……はぁ……」
フロストブリザードを放ち終えたメンシスは肩で息をしており、今にも倒れそうな程にふらついてしまっていた。
超位魔法はその高すぎる能力の代償として、馬鹿みたいな量の魔力を消費してしまうのだ。
幸いにも今すぐに命に関わると言うことは無いものの、今の彼女はもはや自力で動くことも出来ないだろう。
「姉さん!」
そんなメンシスをソリスが受け止める。
「まだ、だ……! 奴らを倒しきるまで私は……!」
「その体ではもう無理よ!」
メンシスは口ではまだ戦う意思を捨ててはいなかった。
しかしその手は震え、足に至ってはもうまともに力が入らない状態だった。
とてもじゃないが戦える状態ではないのだ。
「だとしても、私がやらなきゃいけないんだ……!」
「だめ、それ以上は!」
ソリスは再び魔法を放とうとするメンシスを無理やりにでも止めようとしていた。
今の状態でもう一度超位魔法を放てば確実に命に関わるのだ。それを理解しているソリスは何としてでも止めるしか無かった。
だが超位冒険者同士であり、かつ双子の姉妹である彼女ではそれを止めることなど出来ない。
その間にもワイバーンの群れは街に迫っていた。
ここで彼女が超位魔法を使いワイバーンの大群を一掃しなければ街の中への侵入を許してしまうだろう。
「私の命に代えても、この街を……人々を……守り切って見せる」
「姉さん、お願い……! もうやめて……!!」
メンシスが魔法を放とうとしたその時だった。
『カルノセイバー!! グレートスラッシュ!!』
そんなやかましい掛け声と共に巨大な斬撃が放たれ、ワイバーンの大群をぶった切ったのである。
「なんだ、今の攻撃は……」
そのあまりにも常識はずれな一撃に全ての意識を持っていかれたメンシスは魔法の発動を止めてただただ呆然としている。
魔法でもなんでもなく、ただの斬撃を飛ばしてあれだけの数のワイバーンを一掃したのだ。
異常としか形容出来ない状況だった。
「メンシスさん!」
そんな彼女の前にグレートカルノライザーへと変身した咲が降り立った。
「貴方は……魔龍王を打ち倒した戦士? けれど何故姉さんの名を……」
「詳しいことは後で話します。今はあれを何とかしないと……!」
咲はそう言うと未だ数百といった数を残しているワイバーンの大群へと向かって走り出す。
「……ええ、その通りですね」
それを聞いたソリスもメンシスを後方の冒険者へと預けた後、咲を追って走り出すのだった。
完全に消化試合になったと誰しもが思ったことだろう。
それは金銀姉妹の二人も同じだった。
だが、そうではないのだと最初に気付いたのもまた彼女たちであった。
「ソリス、これは私の見間違いか?」
「いえ姉さん……残念ながら私にも見えているわ」
再び大量の赤い点が現れたのだ。
それもつい今まで戦っていた大群を容易に超える数である。
「不味いわね……流石にあの数は対処しきれない」
超位冒険者である二人にとってもそれは目を疑う光景だった。
それ程の異常事態と言える状況となっていた。
「だとしても私たちがやるしかないさ」
しかしメンシスに諦める気はなかった。
杖を構え直した彼女はワイバーンの群れに向かって魔法を発動させる。
すると彼女の周りに大量の魔法陣が展開されたのと同時に、その魔法陣からは無数の巨大な氷の塊がワイバーンの大群へと向けて放たれた。
それは先程彼女が使用したフォーリンライトニングと同じ超位魔法であるフロストブリザードと言う魔法であった。
彼女は基本となる火、水、風、土の四属性に加え、光と闇の二属性も合わせた六属性の使い手であり、その全てにおいて超位魔法を使用出来るのだ。
超位魔法である以上、当然その威力は凄まじい。現に赤い点は次々とその数を減らしていた。
では最初からやればいいじゃないかと思う者もいただろう。
しかし、そうはいかなかった。
「はぁ……はぁ……」
フロストブリザードを放ち終えたメンシスは肩で息をしており、今にも倒れそうな程にふらついてしまっていた。
超位魔法はその高すぎる能力の代償として、馬鹿みたいな量の魔力を消費してしまうのだ。
幸いにも今すぐに命に関わると言うことは無いものの、今の彼女はもはや自力で動くことも出来ないだろう。
「姉さん!」
そんなメンシスをソリスが受け止める。
「まだ、だ……! 奴らを倒しきるまで私は……!」
「その体ではもう無理よ!」
メンシスは口ではまだ戦う意思を捨ててはいなかった。
しかしその手は震え、足に至ってはもうまともに力が入らない状態だった。
とてもじゃないが戦える状態ではないのだ。
「だとしても、私がやらなきゃいけないんだ……!」
「だめ、それ以上は!」
ソリスは再び魔法を放とうとするメンシスを無理やりにでも止めようとしていた。
今の状態でもう一度超位魔法を放てば確実に命に関わるのだ。それを理解しているソリスは何としてでも止めるしか無かった。
だが超位冒険者同士であり、かつ双子の姉妹である彼女ではそれを止めることなど出来ない。
その間にもワイバーンの群れは街に迫っていた。
ここで彼女が超位魔法を使いワイバーンの大群を一掃しなければ街の中への侵入を許してしまうだろう。
「私の命に代えても、この街を……人々を……守り切って見せる」
「姉さん、お願い……! もうやめて……!!」
メンシスが魔法を放とうとしたその時だった。
『カルノセイバー!! グレートスラッシュ!!』
そんなやかましい掛け声と共に巨大な斬撃が放たれ、ワイバーンの大群をぶった切ったのである。
「なんだ、今の攻撃は……」
そのあまりにも常識はずれな一撃に全ての意識を持っていかれたメンシスは魔法の発動を止めてただただ呆然としている。
魔法でもなんでもなく、ただの斬撃を飛ばしてあれだけの数のワイバーンを一掃したのだ。
異常としか形容出来ない状況だった。
「メンシスさん!」
そんな彼女の前にグレートカルノライザーへと変身した咲が降り立った。
「貴方は……魔龍王を打ち倒した戦士? けれど何故姉さんの名を……」
「詳しいことは後で話します。今はあれを何とかしないと……!」
咲はそう言うと未だ数百といった数を残しているワイバーンの大群へと向かって走り出す。
「……ええ、その通りですね」
それを聞いたソリスもメンシスを後方の冒険者へと預けた後、咲を追って走り出すのだった。
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