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7 カルノライザー異世界に爆誕!

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「毎度思ってたけど、姿を変える時のその音どうにかならないの?」

「そういうものだから受け入れて欲しいぞ」

「はぁ……」

 カルノンのその返事を聞いた咲は半ば諦めといった表情のまま腰に手を当てる。
 すると彼女の腰にベルトが現れた。

『カルノドライバー!!』

 ……これまた某変身ヒーローの変身ベルトのような音と共に。

「はぁ……」

 不服そうな顔のまま咲はベルトのボタンを押す。すると光の粒子が彼女の周りを舞い始め、同時にやかましい音楽が流れ始めたのだった。

「……変身するときのこれ、どうにかならないの?」

 そう言いながら咲はカルノンが姿を変えたカルノセイバーをベルトに装着する。
 すると周りを舞っていた粒子が彼女の全身に集まっていき、瞬く間に恐竜を模したアーマーが彼女を包み込んだ。

『古代の力! 偉大な力! グレートカルノライザー!』

 咲にとってはもはや聞きなれた謎の掛け声と共に、今ここに、異世界にカルノライザーが爆誕することとなった。

「さて、あの魔龍王だっけ? どれくらい強いのかな」

 ベルトからカルノセイバーを取り外し、咲は再び部屋の中へと戻るために走り出す。

「あ、あれは……!」

 そして部屋へと戻った咲の姿を見た桜が叫ぶ。

「どうしてここにカルノライザーが……!?」
 
 桜がそう叫ぶのも当然だった。
 彼女らは異世界に召喚された訳であり、そうなれば当然カルノライザーがいるはずは無いのだ。

「貴様、どこから現れた!」

「詳しいことは言えない。私はただ魔龍王……アンタを倒したいだけ」

「我を倒すだぁ!? 何者かはわからんが、身の程を知るがいい」

 魔龍王は咲に向けて腕を振り下ろす。
 その鋭い爪は石造りの壁を容易く切り裂くほどで、生身の人間であれば豆腐のようにスパッと切り裂かれてしまうだろう。

「やっぱり遅いよ」

 だがその攻撃はそもそも咲に命中することすら無かった。
 なんなら余裕すらある動きで咲は魔龍王の攻撃を避ける。

「なんなのだその速度は……!」

 何度も爪を当てようと腕を振り回す魔龍王だったが、結局一度も咲には当たらなかった。それどころか掠りすらしていない。

「ぐぬぬ……だが、我にはこれがある!」

 魔龍王が得意気にそう言うと、彼の口元に炎の玉が生み出された。

「我の上級炎魔法は山ですら容易く焼き尽くす! おおっと、避けても無駄だ。威力だけじゃなく攻撃範囲だって規格外なのだからな。貴様に直撃せずともこの国ごと吹き飛ばすくらいは容易いわ!」
「そうはさせない」

 咲はカルノセイバーに付いているレバーを握る。

『カルノセイバー!! グレートスラッシュ!!』

 掛け声がカルノセイバーから鳴り響くと共に、その刀身が青白く光り輝き始めた。

「何をしようと無駄だ! 食らえ、我が最強の魔法『ヘルフレイムバースト』!!」

 あまりにも巨大な火球が魔龍王の口から放たれようとしたその時。
 
「ふんっ!」

 咲はカルノセイバーで魔龍王の首を叩き斬ったのだった。

「……は?」

 そうして首を落とされた魔龍王は一瞬何が起こったかわからずにいた。
 何故か視界がグルングルンと回転しているのだ。状況を理解するのも一苦労であっただろう。
 だが冷静になればなるほどに自分の身に起こっていることを理解してしまう。
 
「ふざけるな……我が、我がこんなことで……!!」

 『首を落とされた』……たったそれだけの事を理解するのに数秒がかかり、気付けば魔龍王の首は地面に転がっていた。

「おのれ……!! だがこれで終わりではない……魔龍神王様がいる限り、我らは不滅なのだ……!!」

 そう言い終えると魔龍王は息絶え、辺りは静寂に包まれた。

「カ、カルノライザー! どうして貴方がここに……!」
 
 状況が状況なために誰もが硬く口を閉ざす中、最初に口を開いたのは桜だった。
 と言うのも、彼女は過去に直接カルノライザーに助けられたことがあり、面識があったのだ。
 そのため、何故カルノライザーが異世界にいるのかが誰よりも気になっていた。

「……」

 しかし咲はそれに答えないままその場を後にする。
 正体を明かす訳にもいかなかった彼女はそうするしか無かった。

「ふぅ……ここまで来れば大丈夫か。それにしても、結局あの魔龍王ってのもドラゴラゴンの幹部と比べたら大したこと無かったね」

「けど最後に使おうとした魔法とかいうヤツは凄そうだったぞ」

「確かに、肌がピリピリすると言うか本能的なヤバさは感じた。けど桜がいる場所で使わせるわけにもいかなかったからあそこで倒すしか無かったや。見たかったな、ヘルフレイムバースト」

 カルノライザーへの変身状態を解除した咲はカルノンと話しながら通路を歩く。
 そして部屋の前まで来ると、ゆっくりと中へと入ったのだった。

「咲ちゃん……!!」

「うぉっ」

 と同時に、咲を視認した桜が勢いよく抱き着く。

「どこ行ってたの……! 私、凄く心配したんだから……!」

「ごめんごめん。けど大丈夫だったでしょ」

「うん、カルノライザーが助けてくれて……でもどうしてこの世界に……」

「そ、それは確かにそうだね」

 何とも言えない表情を浮かべながら咲は無難な返事をする。
 とは言え桜の方も先程の咲の異常な移動速度の事など忘れており、まさか今抱き着いている友人がカルノライザーそのものだとは思いもしないのだった。
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