46 / 53
第4章 反政府組織VS政府(国)編
第42話 どうしようもない
しおりを挟むあれから3日がたった。
あの時、王弟のリーダーは決行は5日後と言っていた。その日まで後2日だ。
どうやらこの組織のメンバーは国を恨んでいる者で構成されているみたいだった。
俺の待遇はやっぱり悪くはなくて、部屋から出れないだけで、あとは何不自由ない。
宰相も朝昼晩食事を運ぶついでに様子を見るくらいで、ずっと見張られている訳でもない。やっぱり、逃げることが出来ないことをわかってるんだろうな…
俺は3日間いい策はないかと大人しいフリしてずっと考えていたが、やっぱり何も無い…
自殺をすることも出来ないし、だからといって、このまま反政府に従うのは絶対に出来ない。
もう時間がない!
そしてこの日の夜、また宰相が入ってきたとき、いつもはすぐ出ていくのに今回は俺の近くまで来て、
「ナツちゃんさ~もしかしてまだ何とかなる!とか思ってる?」
「…え」
嘘…!バレてたのか!?いつから…?
「大人しくしてるフリしてるみたいだけど、目がね?反抗してるような目付きが隠しきれてないんだよね~?甘いよ?」
「…っ!」
「うーん、どうしたらその目の光を奪えるのかなぁ~?あ!そうだ~!」
と言うといきなり距離を詰めてきて、
俺の両腕をつかんで、後ろのベットに押し倒してきた。
「…っ!?な、何を…!」
「確か巫女を無理やり汚すと、国外追放だったっけ?でも俺はもうされてるからね~何も怖いもんはないってわけだよ」
え、ま、まさか…
ちょっと待って!嫌だ!!
「嫌です!!離してください!!」
と、俺は全力で暴れた。
「おっと~暴れると逆らったとみなされて首輪が発動しちゃうよ~?」
「…!!」
どうしよう…逃げられない…!
「俺さ~前のあの時から団長のあいつにさ、ずっと復讐したいと思ってたんだよね~」
「…え」
団長って、エヴァン?あの時って、前俺が襲われてエヴァンが助けてくれた…
ってそんなのただの逆恨みじゃん!どこまで最低なんだこの男!!
そして、
「ナツちゃんはさ、身体の傷は魔法で治せるけど、心の傷は治せないよね?」
と宰相がニヤァと笑った。
ゾッ…
「…ひっ!」
確かにそうだ…俺は心の傷まで治すことは出来ない…
だから…
「だったら心に傷を付けちゃえばいいじゃんって考えたわけ~俺って冴えてる~」
最低だ…本当になんでこんな男が…!
「ふふふ…」
気持ち悪い…!!誰か…!
助けて…!
「助けて…」
「前みたいにナツちゃんを助けてくれる人はここには居ないよ~助けを呼んでも誰~もこない」
「…!」
そうだ…今まではたまたま誰かが助けてくれてたんだ…
今まで俺は人を頼ってばかりで自分の無力さから目を背けてたんだ…
全部俺の無力さから起きたことなんだ…
「状況がようやく分かったみたいだね」
「もう好きにしてください…」
もうどうでもいい…
「じゃ!遠慮なく~」
なんか全部どうでも良くなったな…
そうか…これはそんな俺への罰なんだろうな…
もうどうしようもないんだ…
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
702
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる