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ホームルームの尋問
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「君が石原さんかな?」
警察が私に歩み寄ってきた。
「はい。そうです」
「君は本城君とお付き合いしていたのかな?」
「いいえ。それは大きな誤解です。現に私は…」
「本城君は石原さんが好きだと言っていたのに。付き合っていないなんて嘘よ!」
私が言い終わる前にファンクラブの女子がわめいた。
「本当だよ。石原さんは俺の彼女だ」
いつの間にか登校していた黒井君が助け舟を出してくれた。
「ほう。では君は本城君とは恋のライバルだったことになるね」
「そうですね。でも残念ですが、俺は本城君と関わりがないですよ。疑うならスマホを調べるといい」
黒井君はスマホを手渡した。
「ふむ。連絡帳やSNSに君と本城君をつなげるものはなかったね」
しばらくして、黒井君にスマホを返しながら警察の人が言った。たしかに黒井君が本城君と話しているところを見たこともなかった。そのうえ黒井君はクラスのグループSNSにも参加していないから、本当につながりがないように見えるだろう。
「次は君だ。本当に本城君ではなく黒井君とお付き合いしていたんだね?」
警察の人が私に向き直り聞いた。どうやら黒井君の疑いは晴れ、次は私を疑っているようだ。
「はい。本当です。黒井君は私の家によく来ていたのでその写真もあります。それに、本城君とは直接会話したことはほとんどありません。」
「ほう。少しスマホの中を見てもいいかな?」
「はい。どうぞ」
私は捨てたスマホのことや黒井君との仲はすでに終わっていることを悟られないような言葉を紡ぎながらごまかし、スマホを警察の人に手渡した。
黒井君から託されていたスマホを捨てたという後ろめたさを除けば私に非は一切ない。実際に本城君と会話をしたこともないし、連絡先を交換したりもしていなかったから、なんの恐れもない。自分にそう言い聞かせながら警察の人の言葉を待った。
「ふむ。たしかに黒井君と君の写真はあったし、本城君とのつながりも確認できなかった」
警察の人からスマホが帰ってきた。ホッとした。これで私の疑いは晴れたに違いない。
「本城君と特に仲が良かった子は他にいるかな?」
警察の人の興味は私たちから消えた。その後数人に話を聞いて警察の人は帰っていった。
ホームルーム後、一人の帰り道、ふと視線に気づいた。駅の逆ホームに立つ黒井君だった。黒井君が私に手を振っていた。その顔はとても悲しそうな顔だった。黒井君の口が静かに動いた。
なにを言っていたのかはわからないけれど、今日で二度と黒井君に会えなくなるようなそんな気がした。
警察が私に歩み寄ってきた。
「はい。そうです」
「君は本城君とお付き合いしていたのかな?」
「いいえ。それは大きな誤解です。現に私は…」
「本城君は石原さんが好きだと言っていたのに。付き合っていないなんて嘘よ!」
私が言い終わる前にファンクラブの女子がわめいた。
「本当だよ。石原さんは俺の彼女だ」
いつの間にか登校していた黒井君が助け舟を出してくれた。
「ほう。では君は本城君とは恋のライバルだったことになるね」
「そうですね。でも残念ですが、俺は本城君と関わりがないですよ。疑うならスマホを調べるといい」
黒井君はスマホを手渡した。
「ふむ。連絡帳やSNSに君と本城君をつなげるものはなかったね」
しばらくして、黒井君にスマホを返しながら警察の人が言った。たしかに黒井君が本城君と話しているところを見たこともなかった。そのうえ黒井君はクラスのグループSNSにも参加していないから、本当につながりがないように見えるだろう。
「次は君だ。本当に本城君ではなく黒井君とお付き合いしていたんだね?」
警察の人が私に向き直り聞いた。どうやら黒井君の疑いは晴れ、次は私を疑っているようだ。
「はい。本当です。黒井君は私の家によく来ていたのでその写真もあります。それに、本城君とは直接会話したことはほとんどありません。」
「ほう。少しスマホの中を見てもいいかな?」
「はい。どうぞ」
私は捨てたスマホのことや黒井君との仲はすでに終わっていることを悟られないような言葉を紡ぎながらごまかし、スマホを警察の人に手渡した。
黒井君から託されていたスマホを捨てたという後ろめたさを除けば私に非は一切ない。実際に本城君と会話をしたこともないし、連絡先を交換したりもしていなかったから、なんの恐れもない。自分にそう言い聞かせながら警察の人の言葉を待った。
「ふむ。たしかに黒井君と君の写真はあったし、本城君とのつながりも確認できなかった」
警察の人からスマホが帰ってきた。ホッとした。これで私の疑いは晴れたに違いない。
「本城君と特に仲が良かった子は他にいるかな?」
警察の人の興味は私たちから消えた。その後数人に話を聞いて警察の人は帰っていった。
ホームルーム後、一人の帰り道、ふと視線に気づいた。駅の逆ホームに立つ黒井君だった。黒井君が私に手を振っていた。その顔はとても悲しそうな顔だった。黒井君の口が静かに動いた。
なにを言っていたのかはわからないけれど、今日で二度と黒井君に会えなくなるようなそんな気がした。
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