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アラフィフ暗殺者、異世界転生を果たす

9,ディーラー試験〈前編〉

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ゴルディの話を聞いていたクロエはため息をついた。
「あのね?ゴルディ。あなたの考えは
立派だと思うわ。でも、それは理想論に過ぎないのよ」
「ああ、そうだな。でもよぉ、クロエ。俺たちは所詮、犯罪者だぜ?そんな奴らが真っ当な方法で稼げると思うか?」
「それは……、そうかもしれないけれど」
クロエの言葉にゴルディアも同意するようにうなずく。だが、カロンはまだ納得していないようだった。
「でもよぉ、麻薬なんて売ったってすぐに足がつくぞ!そんなリスクを背負ってまでやる価値があるとは思えねえなぁ……」
「それはやってみないとわからないだろうが!でも、俺たちは絶対に諦めないからな!」
ゴルディはそう言い切ると、カロンは呆れたように肩を落とす。
「あーあ、こいつもう手遅れだな」
カロンはそう呟くと、ゴルディはムッとしたような顔をする。
「おい、カロン!お前、喧嘩売ってんのか!?」
「うるせぇなぁ。お前が馬鹿なだけだろ?」
「んだとコラァ!!」
「はいは~い。二人とも落ち着いてねぇ」
ナナシが仲裁に入ると二人は渋々と引き下がる。
「……わかったよ。じゃあ麻薬は売らない。だったらさ、こういうのはどうだ!?」
ゴルディは自信満々にホワイトボードに文字を書き込んでいく。そこには『カジノ』と書かれていた。そして、その下には『賭博場』と書き込まれている。
「おい、ゴルディ……。お前、まさか」
「ふふふ、その通りさ!俺たちでカジノを経営する!そしてゆくゆくは世界規模の巨大企業に成長させるのさ!!」
ゴルディは高笑いをするが、カロンとクロエはドン引きしていた。
「いやいやいやいや!!無理に決まってるだろ!?」
「どうしてだい?」
「どうしてもこうしてもねえよ!?そもそも、俺たちにはカジノを運営するノウハウも資金もないだろ!」
「大丈夫だ。俺は昔、ラスベガスで働いていたことがある。そこで得た知識を活かせば問題はないはずだ」
「いや、そうかもしれねえけど……」
カロンは頭を抱えながら考える。確かにゴルディの言うことも一理ある。だが、あまりにも無謀すぎる計画だ。
「それに、俺はギャンブルが大好きだ。カジノを経営してみたいと思っていたんだ」
「いや、別にいいんだけどよ……。もう少し現実的な計画を立ててくれよ……」
カロンがそう言うとゴルディはニヤリと笑う。
「もちろん、俺にもちゃんと考えはある。まず、ナナシにディーラーをやってもらう」
「私が?」
ナナシが首を傾げて尋ねるとゴルディは笑顔で答える。
「お前ならできるだろ?それに、お前はディーラーとしての腕が良いって評判だったしな」
「ふむ、確かに私の腕はプロ並みだと自負しているよ」
「だろ?だから、お前が適任なんだ」
「なあ、ゴルディ。一つ質問してもいいか?」
カロンが挙手をするとゴルディは「どうした?」と言い、カロンは疑問をぶつける。
「ディーラーってイカサマの技術も必要になるんじゃないのか?ナナシにそれができるとは思えないんだが」
「おやぁ?私も舐められたものだねぇ。イカサマくらいお手の物だよ?私は」
「いや、そういうことじゃないんだよ。ただ、ディーラーがイカサマをしていると客にバレたら台無しになるだろ?だから、ナナシにそれをやらせるのはどうかと思って」
カロンが心配そうな顔でナナシを見つめるが、ナナシは余裕の笑みを浮かべる。
「安心してくれ給え。私だって素人相手にはしないからねぇ。それに、私は自分の技術には絶対的な信頼を置いているんだ。だから、大船に乗ったつもりでいてくれたまえ」
ナナシが胸を張って言うとカロンは苦虫を噛み潰したような表情になる。
「それじゃあさ、ナナシに本当にできるのかやってみてもらえばいいんじゃないかな?僕たち全員の目をごまかせたら合格、ってことでさ」
ハクタケの提案を聞いてゴルディは嬉々として賛同する。
「おお、いいなそれ。よし、じゃあ早速始めるか」
「ちょっと待てよ。俺はまだ賛成したわけじゃ―――」
「はい、それじゃあスタート!」
ゴルディは強引に話を進める。そしてトランプをナナシに渡すとナナシは慣れた手つきでシャッフルを始めた。
「ほら、早く配ってくれ」
「はいはい。わかっているよ。ルールはポーカーでいいかね?」「ああ、構わないぜ」
ナナシはカードを配り終えると、ゴルディたちは真剣な表情でカードの枚数を確認する。そして、全員がカードを表にして机の上に広げた。
ゴルディの手札はフルハウス。クロエはワンペア。カロンはスリーカード。そしてナナシはハートのロイヤルストレートフラッシュを揃えていた。
「なっ!?」
あまりの出来事に一同は言葉を失う。そんな中、ゴルディは真っ先に正気を取り戻すとナナシに向かって叫ぶ。
「ナナシ!なんでこんなに強いんだ!?おかしいだろ!」
「そう言われてもねぇ……。ただ単に私の運が良かっただけだよ」
ナナシはそう言って微笑んだ。
「くそっ……。次は負けねえからな!」
ゴルディは悔しそうな表情を浮かべると、他の四人もナナシの実力を認めるのであった。
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