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漢たちの闘い(海水浴編)
月明かりに照らされて
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「みんなわかってない!キャバクラのよさを!!」
みんなが寝静まり、寝息だけが聞こえる部屋の中。翔太は一人憤慨していた。
「あの店には男の夢が詰まっているんだ。あのきらびやかな空間。そして、綺麗なお姉さんたち。あそここそが男の天国なんだ!」
翔太は熱く語る。
「それに、あの店の女の子たちは全員レベルが高い。あの子たちを自分のものにできるなら、10万くらい安いものだ!」
翔太は、再び決意を固める。
必ずや、あの店を我が物にしてみせると……。そして、あの女たちを自分だけの女にするのだ、と。
「見ていろ光輝!俺は絶対に諦めない!あの店で豪遊するまで、俺はあきらめない!」
そんなことを考えていたせいか、どうにも寝付けない。
「……散歩してこよ」
そう思い立ち、翔太は部屋を出た。
廊下に出ると、そこには誰もいなかった。
「こんな時間にだれか起きてるのか?」
そう呟いて、翔太は歩き出した。
「……ん?」
しばらく歩いていると、人の気配を感じた。
「誰かいるのか?」そう言って曲がり角の向こうを見る。縁側に座って涼んでいたのは光輝だった。
「光輝?」
「……翔太先生?」
「何やってんだ?眠れないのか?」
「ま、まあ、そんなところだ……」
少し歯切れが悪い様子の光輝。
「今日みんなで遊んだのが楽しくてな。興奮してなかなか眠気が来なくて……」
「そうなのか?まあ、俺も似たようなもんだ。あんな風にわいわい騒いだのは初めてだったからな。……ところでさ」
「ん?」
翔太の頭の中には先程の幸人の言葉が蘇る。
「……光輝はみんなに手を出してるんだろ?その。俺のことはどう思ってるんだ?」「なんだよ、急に?」
「だから。もし俺がお前に抱かれたいって言ったら、抱いてくれるか?」
「抱かないよ」
「えっ!?」
まさか断られると思っておらず、翔太は思わず声をあげる。しかし、すぐに気を取り直し。
「そ、そうだよな。お前だって俺のことなんか相手にしないか」
「いや、そういうわけじゃないさ。今日のコンテストの歓声聞いたろ?翔太先生だって十分魅力的なんだ」
「じゃあなんで抱いてくれねえんだ?魅力がないからか?それとも他に理由があるのか?教えろよ」
「……それは」
「それは……?なんだよ」
「……それは……その」
「はっきりしろよ」
ふう、と光輝はため息をついた。
「じゃあ、先生。今ここで抱いてもいいか?」
突然光輝が豹変する。その顔からはいつもの優しい笑みは完全に消え失せており、代わりに獲物を狙う肉食獣のような目つきをしていた。月明かりの下にいるせいか、その目は妙に妖しく光っている。
「それは……」
光輝の手が翔太の顔をつかむ。魅惑的な唇が近づいてきて、翔太は目をつぶった。しかし、いつまで待ってもキスをされることはなく。恐るおそる目を開けると、光輝の顔が目の前にあった。
「冗談だよ」「冗談……なんだ、冗談か……」
翔太は安堵のため息をつく。
「期待したか?」そう言われて言葉に詰まる。光輝にはとてもその年齢では出せないような色香があり、翔太は一瞬本当にこのまま食べられてしまうのではないかと思った。
「なあ、翔太」
名前を呼ばれて、心臓が大きく跳ね上がる。
「お前は可愛いぜ」
耳元で囁かれて、翔太の全身に甘い痺れが広がる。
(ああ、ダメだ)
それこそが光輝の魅力なのだとわかる。だからみんなが光輝に惹かれるのだと実感できる。だが、それでも。
「……俺は……」
「わかってる。翔太先生は俺のことが怖かったんだろう?」
「……そうだ」
光輝が怖いわけじゃない。光輝と寝たことで自分の中の何かが怖いわけじゃない。ただ。男と体を重ねる。その行為に恐怖を出だしてしまったのだ。
「先生が完全な異性愛者だから、俺は先生を抱かない。でも、俺は翔太のことも好きだし、尊敬してもいる。だから、俺は翔太が望むなら、いつでも相手になるよ」
そう言って光輝は再び微笑んだ。
「ありがとう。……それと、ごめんな光輝」
「いいんだ。それにしても先生、幸人さんの言ってたこと気にしすぎだろ」
「やっぱり聞こえていたか?」
「そりゃもうバッチリとね」
「あいつも悪い奴じゃないんだけどなぁ……。ちょっと口が軽いというか、思ったことをすぐ口に出すタイプっていうかさ……」
「まあ、確かにそうかもな。でもな、俺が先生の借金を払ったのは別に恋愛感情が同行ってわけじゃない。そりゃあ俺だって、コンビニとかで働いて返せって言われたら断ってたよ。でもさ、あのリングにいる限りは無尽蔵に稼げるわけよ。だからあの程度なら問題なかったってだけの話だ」
「そうだったのか……。いや、そうなんだな。……ありがとう」
「どういたしまして。……さてと、俺はそろそろ部屋に戻るかな。翔太先生も早く戻ってこいよ。でないと風邪ひくぞ」
「わかった。……なあ光輝」
「ん?」
「俺もお前のことは好きだけど、俺はお前と寝たいとは思わない。だから、これからも今まで通り接してくれると嬉しい」
「もちろんさ。俺たちはずっと友達だ」
「……ありがとな」
そう言い残して、光輝は去っていった。
「さすがは光輝。カッコイイねぇ」
そんな声と共に現れたのは雄三だった。
「聞いていたんですか?」
「たまたまな。……それで、お前はどうするんだ?光輝ちゃんの気持ちを受け取って、ギャンブルもキャバクラもすっぱりやめるのか。それとも……」
「……わかりません」
「まあいい。明日は朝早いからな。お前も早めに休めよ」
それだけ言うと、雄三もまた立ち去って行った。
「……俺にはわからない」
一人残された翔太は呟き続ける。あの時、少しだけ。ほんの少しだけ光輝のする『行為』に期待していた自分がいる。もしもあのまま続けていたら……。そんなことを考えながら、翔太は眠りについた。
みんなが寝静まり、寝息だけが聞こえる部屋の中。翔太は一人憤慨していた。
「あの店には男の夢が詰まっているんだ。あのきらびやかな空間。そして、綺麗なお姉さんたち。あそここそが男の天国なんだ!」
翔太は熱く語る。
「それに、あの店の女の子たちは全員レベルが高い。あの子たちを自分のものにできるなら、10万くらい安いものだ!」
翔太は、再び決意を固める。
必ずや、あの店を我が物にしてみせると……。そして、あの女たちを自分だけの女にするのだ、と。
「見ていろ光輝!俺は絶対に諦めない!あの店で豪遊するまで、俺はあきらめない!」
そんなことを考えていたせいか、どうにも寝付けない。
「……散歩してこよ」
そう思い立ち、翔太は部屋を出た。
廊下に出ると、そこには誰もいなかった。
「こんな時間にだれか起きてるのか?」
そう呟いて、翔太は歩き出した。
「……ん?」
しばらく歩いていると、人の気配を感じた。
「誰かいるのか?」そう言って曲がり角の向こうを見る。縁側に座って涼んでいたのは光輝だった。
「光輝?」
「……翔太先生?」
「何やってんだ?眠れないのか?」
「ま、まあ、そんなところだ……」
少し歯切れが悪い様子の光輝。
「今日みんなで遊んだのが楽しくてな。興奮してなかなか眠気が来なくて……」
「そうなのか?まあ、俺も似たようなもんだ。あんな風にわいわい騒いだのは初めてだったからな。……ところでさ」
「ん?」
翔太の頭の中には先程の幸人の言葉が蘇る。
「……光輝はみんなに手を出してるんだろ?その。俺のことはどう思ってるんだ?」「なんだよ、急に?」
「だから。もし俺がお前に抱かれたいって言ったら、抱いてくれるか?」
「抱かないよ」
「えっ!?」
まさか断られると思っておらず、翔太は思わず声をあげる。しかし、すぐに気を取り直し。
「そ、そうだよな。お前だって俺のことなんか相手にしないか」
「いや、そういうわけじゃないさ。今日のコンテストの歓声聞いたろ?翔太先生だって十分魅力的なんだ」
「じゃあなんで抱いてくれねえんだ?魅力がないからか?それとも他に理由があるのか?教えろよ」
「……それは」
「それは……?なんだよ」
「……それは……その」
「はっきりしろよ」
ふう、と光輝はため息をついた。
「じゃあ、先生。今ここで抱いてもいいか?」
突然光輝が豹変する。その顔からはいつもの優しい笑みは完全に消え失せており、代わりに獲物を狙う肉食獣のような目つきをしていた。月明かりの下にいるせいか、その目は妙に妖しく光っている。
「それは……」
光輝の手が翔太の顔をつかむ。魅惑的な唇が近づいてきて、翔太は目をつぶった。しかし、いつまで待ってもキスをされることはなく。恐るおそる目を開けると、光輝の顔が目の前にあった。
「冗談だよ」「冗談……なんだ、冗談か……」
翔太は安堵のため息をつく。
「期待したか?」そう言われて言葉に詰まる。光輝にはとてもその年齢では出せないような色香があり、翔太は一瞬本当にこのまま食べられてしまうのではないかと思った。
「なあ、翔太」
名前を呼ばれて、心臓が大きく跳ね上がる。
「お前は可愛いぜ」
耳元で囁かれて、翔太の全身に甘い痺れが広がる。
(ああ、ダメだ)
それこそが光輝の魅力なのだとわかる。だからみんなが光輝に惹かれるのだと実感できる。だが、それでも。
「……俺は……」
「わかってる。翔太先生は俺のことが怖かったんだろう?」
「……そうだ」
光輝が怖いわけじゃない。光輝と寝たことで自分の中の何かが怖いわけじゃない。ただ。男と体を重ねる。その行為に恐怖を出だしてしまったのだ。
「先生が完全な異性愛者だから、俺は先生を抱かない。でも、俺は翔太のことも好きだし、尊敬してもいる。だから、俺は翔太が望むなら、いつでも相手になるよ」
そう言って光輝は再び微笑んだ。
「ありがとう。……それと、ごめんな光輝」
「いいんだ。それにしても先生、幸人さんの言ってたこと気にしすぎだろ」
「やっぱり聞こえていたか?」
「そりゃもうバッチリとね」
「あいつも悪い奴じゃないんだけどなぁ……。ちょっと口が軽いというか、思ったことをすぐ口に出すタイプっていうかさ……」
「まあ、確かにそうかもな。でもな、俺が先生の借金を払ったのは別に恋愛感情が同行ってわけじゃない。そりゃあ俺だって、コンビニとかで働いて返せって言われたら断ってたよ。でもさ、あのリングにいる限りは無尽蔵に稼げるわけよ。だからあの程度なら問題なかったってだけの話だ」
「そうだったのか……。いや、そうなんだな。……ありがとう」
「どういたしまして。……さてと、俺はそろそろ部屋に戻るかな。翔太先生も早く戻ってこいよ。でないと風邪ひくぞ」
「わかった。……なあ光輝」
「ん?」
「俺もお前のことは好きだけど、俺はお前と寝たいとは思わない。だから、これからも今まで通り接してくれると嬉しい」
「もちろんさ。俺たちはずっと友達だ」
「……ありがとな」
そう言い残して、光輝は去っていった。
「さすがは光輝。カッコイイねぇ」
そんな声と共に現れたのは雄三だった。
「聞いていたんですか?」
「たまたまな。……それで、お前はどうするんだ?光輝ちゃんの気持ちを受け取って、ギャンブルもキャバクラもすっぱりやめるのか。それとも……」
「……わかりません」
「まあいい。明日は朝早いからな。お前も早めに休めよ」
それだけ言うと、雄三もまた立ち去って行った。
「……俺にはわからない」
一人残された翔太は呟き続ける。あの時、少しだけ。ほんの少しだけ光輝のする『行為』に期待していた自分がいる。もしもあのまま続けていたら……。そんなことを考えながら、翔太は眠りについた。
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