プロレス物語 ― 体育教師に騙されてエロレスの舞台で戦います ―

佐城竜信

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漢たちの闘い(海水浴編)

コンテスト・序章

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***
「ふう、いい汗かいた」
光輝がタオルで額の汗を拭う。
「まさか、本当に1ポイントも取れなかったなんてね。光輝ちゃん、恐ろしい子!」
隼人が面白おかしそうに笑う。
「ほんとだよ。お前いったいなにものなんだよ」
大吾が呆れたように言う。
「ただの大吾先生の生徒だよ」
そう答える光輝だったが、足場が悪くて踏切が聞かず、走ることさえうまくできないはずの砂浜であれだけの動きを見せたのは確かに異常なことだった。
(あのリングでの戦いも役に立ってる、ってことなのかね)
エロレスのリング。そう聞くとそういうショーにしか聞こえないリングではあるが、実際には一流アスリート同士がしのぎを削り合う場だ。そのリングでもまれてきたことで、確実に自分は強くなっている。こうしてその実感が得られて光輝は嬉しかった。
「おーい、みんな。そろそろ昼飯にしよう!」
雄三がこちらに向かって歩いてきながら叫ぶ。その言葉を聞いて全員腹が減っていたことを思い出したらしく、全員が雄三の方へと向かって行った。

***
「よし、それじゃあ行くぞ?」
雄三の言葉と共に海の家から焼きそばが運ばれてくる。それを雄三が手際よく皿に取り分けていくと、各自に配っていった。
「いただきます」
全員が一斉に食べ始める。ソースの香ばしさと麺の食感が絶妙なバランスで絡み合い、口の中に旨味が広がっていく。
「うん、うまいな」「ああ、おいしいよ」
大吾と隼人が声を揃える。
「ああ、そうだな」
「うん、おいしい!」
大吾に続き、光輝と幸人も感想を口にする。
「ああ、やっぱり海といえば焼きそばだよな」
「うんうん。俺もこういうイベントではいつも食べてるけど、飽きないし美味しいし最高だな!」
雄三と翔太が感想を口にしたところで。
「なんだあれ?何かのステージか?」
そんな声がどこからか聞こえてくる。その方向に目を向けるとそこには人だかりが出来ており、何事かを見物しているようだった。
「ちょっと見に行ってみないか?」
「ああ、行ってみようぜ」
興味本位で光輝たちはその人だかりの中に入っていく。そこには巨大なステージが出来上がっており、8人の水着姿の美女が並んでいる。どうやらミスコンを開催しているらしい。
「おお、結構かわいい娘もいるんだな」
大吾がその光景を見て呟く。確かにどの女性もかなりレベルが高く見える。
アナウンサーがマイクを手に取り、話し始める。
「さあさあ、始まりました!毎年恒例の『ミス・オーシャン』!!今年はどんな女性が優勝となるのか!?皆さん、投票をお願いします!」
その言葉で観客たちが歓声を上げ、それぞれ手に持った紙に番号を書き込んでいく。そしてその集計結果が発表される。そして結果は。
「1位、3番!2位は4番!なんということだ!わずか1票差での決着だ!さすがは美人ぞろいのこのコンテスト!誰が1位にいてもおかしくはなかった!」
1位の女性はすらりとした長身の女性であり、モデルのような体型をしている。顔立ちは整っており、クールな雰囲気を醸し出している。
「へえ、なかなかきれいな人じゃないか」
「だなー。だけど俺はもっと胸が大きい人の方がいいな」
「へー。翔太先生は巨乳好きか」
「おう。光輝は違うのかよ」
「いやまあ。……翔太先生、そういうの聞くのやめてくれない?」
「あ、ああ。ごめん……」
光輝は雄三と幸人。ほかにもあまたの男性に手を出している同性愛好者だ。好きな女性のタイプを聞かれても答えられるわけがないのだ。
きーん、というハウリング音の後に女性アナウンサーの声が響く。
「さてみなさま!これより1時間後に『ミスター・オーシャン』コンテストが開催されます!我こそは、と思うそこの美形のあなた!ぜひ参加してみてはいかがでしょうか!」
「男性版もあるのか。面白そうだな」
「そうだな。せっかくだし出てみるか?」
大吾と翔太の会話に幸人が入ってくる。
「うーん……。僕はアイドルだからこういうのに参加するのは……」
「面白そうだな!参加してみるか!」
「光輝さんがやるなら僕もやってみたいです!」
乗り気な光輝に、同じくやる気満々の幸人。
「面白そうだな。大吾が参加するなら私も参加しよう」
「決まりだな。それじゃあ全員で参加するとするか!」
こうして全員の『ミスター・オーシャン』コンテストへの参加が決まった。

***
「だーれもきませんねー……」
「そりゃあそうだろう。『美形のあなた』なんて言われてこれるなんて、どんなナルシストなんだ、って話だ」
女性アナウンサーの菊池真理と男性司会者の北見義人がぼやく。
「まあまあ。でもこのままじゃ盛り上がりに欠けるし、誰か一人くらい来てくれればいいんですけどね」
「だな。お、来たみたいですよ」
「おっ、やっとですか。それじゃあ早速参加登録してもらいましょう!」
そう言って二人が指し示した先にいたのは。
「すいません!俺たち参加したいんですけど、6人での参加って大丈夫ですか?」
「…………」
光輝たち6人組だ。翔太以外は美形ぞろい。その翔太にいたっても並み以上。コンテストに予想されていた中では上位に入るであることが予想される見た目だ。
「なあ、真理……全員レベル高すぎじゃね?」
「ああ、確かに。でも、それだけじゃないような気がするんですよねー」
「どういうことだよ?」
「なんか、こう、オーラがすごいっていうか」
「……確かに」
ひそひそと話し合う二人に、光輝は不安そうな顔を向ける。
「あの、まずかったですかね?俺たちじゃ駄目だって言うなら仕方ないから参加を辞退しますけど……」
「待ってください!!全員レベルが高すぎて驚いてただけですから!!」
あやうく大魚を逃しかけて、慌てて義人が引き留めにかかる。
「ああ、よかった。断られたらどうしようかと思ったよ」
ほっと息をつく光輝。
「それで、参加者は全員でいいんだよな?よし、エントリー完了っと」
「はい。ありがとうございます。では、皆さんには一人ずつステージに登場してもらって、自己紹介とアピールをしてもらおうと思います!」
こうして『ミス・オーシャン』コンテストは幕を開けた。
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