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権田原雄三

性奴隷

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「ほら、光輝君の大好きなおちんちんだよ!」
光輝の目の前に立った中年男性が自分のペニスを光輝の前に差し出している。
「さあ、舐めろよ」
「……はい」光輝が男性の前で膝立ちになり、ゆっくりと顔を近づける。そして、舌を伸ばして男性のペニスの先端に触れた。
「おおっ!気持ちいいぞぉ!もっと丁寧にやれよ!」
「はい……」
光輝は、言われるままに舌を動かして男性器を刺激する。「おい、もっとしっかりやらないと駄目だろ?早く舐めるんだ」
「うぅ……はい……」
「なんだその返事は!?舐める時はちゃんと敬語を使うようにっていつも言ってるだろう?」
「ごめんなさい……」
「ったく、しょうがないなぁ……じゃあ、特別に今日だけは許してやるよ」
「ありがとうございます」
「ああ、いいぞ。そうだ。そのまま続けてくれ。。んっ!上手だ!じゃあ出すぞ!」「えっ!?ちょっ―――むぐっ!?」
男は光輝の頭を掴むと無理矢理引き寄せた。男のペニスが口の中に押し込まれ、喉の奥まで入り込んでくる。
「うぇ……げほっ……げほっ……」
「おいっ!吐きだすんじゃねえよ!全部飲め!」
男が怒鳴り声を上げる。しかし、光輝には逆らうことはできない。涙目になりながら必死で飲み込んだ。
「よし、よく頑張ったな。偉いぞ」
男はそう言うと、光輝の頭を撫でた。
「あの……まだ終わりじゃないんですか?」
「当たり前だろ。これからお前のケツマンコを使ってやるからな」「そっか……それなら仕方ないですね」
光輝は嬉しそうな表情を浮かべると四つん這いになって尻を高く上げた。するとすぐに後ろから男のものが入ってくる。
光輝の肛門に痛みが走る。まだ9歳の彼の体は未発達であり、とてもではないが大人のものを受け入れられるような状態ではないのだ。だが、そんなことは関係なく男は容赦なく腰を打ち付けてくる。
「いたっ!痛いです!もうちょっとゆっくり動いてください……」
「うるせえ!黙って犯されていれば良いんだよ!」
光輝の言葉を無視して、男はさらに激しくピストン運動を繰り返す。しばらくすると、ようやく射精したようで動きを止めてくれた。
「ふぅ……なかなか良かったぜ」
男は満足気な笑みを浮かべると、部屋から出ていった。一人残された光輝は、ベッドの上で放心状態で横になっていた。
(死にたい……)
毎日のように繰り返されるこの地獄のような生活の中で、彼は常に絶望していた。自分が生きている意味などあるのだろうか。いっそこのまま死んでしまいたいとさえ思っていた。
しかし自殺することもできない。自分が死ぬとしたらベランダから飛び降りるしかないからだ。
光輝は窓を開けてベランダに出る。ここは3階だ。落ちれば間違いなく死ぬだろう。だがそれでも構わないと思った。むしろ今すぐここから落ちて楽になりたいくらいだった。飛び降りようと柵の向こうにめをやった。そこに広がっているのはアスファルトの道路だ。
足元から風が吹いてくる気がした。その風は自分にまとわりついて離れようとしない。『死』という幻影をみるようになったのはいつからだろう。それはきっと物心ついた時からだ。そのせいで自分はずっと苦しんできた。
光輝は無意識のうちに一歩足を踏み出していた。あと少しだ。このまま進めば全てが終わる。これでやっと自由になれるんだ。そう思った時、突然後ろから肩を強く掴まれた……気がした。
誰かが引き戻してくれた!僕は死ななくていいんだ!
しかし後ろには誰もいない。ただ死ななくて済んだ、という安堵感だけがあった。結局のところ自分は生きることを望んでいるのだ。だからどんなことをされても耐えている。
(死にたく……ないよ……)
光輝の目からは大粒の涙が溢れていた。
せめて普通の子供になりたかった。せめて普通の子供として過ごしたかった。せめて……。
「学校、行ってみたいな……」
思わず呟いていた。今まで考えないようにしてきたことだった。友達と遊んでみたい。普通に授業を受けてみたい。でもそれは叶わぬ夢なのだ。
光輝は自分の部屋に戻ろうとした。ふと、リビングから明かりが漏れているのが見えた。お父さんが起きている?慌てて部屋に戻る。そしてドアの鍵をかけると息を殺して耳をすませた。何も聞こえてこない。どうやら寝言のようだ。
(よかった……)
ホッとしたのも束の間、光輝のお腹が鳴った。空腹に耐えきれず冷蔵庫を開ける。中にはコンビニのおにぎりが2つ入っていた。
光輝はそれを手に取り、一口食べる。味はあまりしなかった。食べ終えてから、ふと時計を見ると深夜2時を過ぎていることに気づく。今まで気を失っていたのだから、当然といえば当然だ。
『紀ノ國光輝』という人間は存在していない。学校にも通わせてもらっていないし、外に出ることもない。出ることができるとして、その範囲はベランダまでだ常に大人のおもちゃで犯されている。つまり、僕の人生は終わっているのだ。
「はぁ……」
リビングから洩れる明かりがテレビの光だということに光輝が気がついた。
そこでは裸にパンツ1枚の男たちが、何かのスポーツをしている映像が流れている。つまりプロレス中継だ。
男たちは金網に囲まれたリングの上にいる。一人は180センチを超える筋肉隆々の漢で、もう一人はそれよりはるかに大きい。二メートルはある外国人のプロレスラーだ。
どうせ負けるのは小さいほう。『権田原雄三』のほうだろう。光輝はそう思って画面を見つめていたが、予想に反して試合は白熱していた。体格で勝るはずのプロレスラーのほうが、一方的にやられているように見える。
「うそだろ!?」
光輝は思わず声を上げた。あり得ない。あんなにでかい相手なのに、どうして押し返せないのか?
「あっ!」
その時、光輝は気が付いた。そうか、そういうことか。
「小さくても勝てるんだ……」
光輝はテレビの前に座り込み、画面に見入った。
「うっ……うぅ……」
気が付くと光輝は泣いていた。
「ああ……僕も……僕もこんな風に……なりたい……!」
光輝は拳を握りしめた。
倒れた外国人レスラーを置いて、雄三は金網を上る。そしてそのてっぺんから外へと飛び降りた。嘘だ、ありえない!だってリングの外はコンクリートの地面なんだぞ!? 落ちたら死ぬんじゃなかったのか!?
光輝が呆然としていると、インタビューが始まった。雄三が質問をされている。
「あんなに高いところから飛び下りたら死ぬのでは?」
「死ぬわけねえだろ!見ろよ、俺にはこんだけ筋肉がるんだぞ!?これぐらいの高さなら余裕だよ!!」
光輝はその答えを聞いて愕然となった。確かに彼の言う通りだ。あれだけの高所から落下しても、彼の身体は傷一つ負っていなかったのだ。
「でもな、みんなはやめとけよ?普通の奴だったら死ぬからな!」
がはは、と笑いながら雄三は笑う。彼なりのジョークのようだ。
「いいか、普通の奴にはできない。そんな不可能を可能に変えることができるのが、俺たちプロレスラーだ。自分の限界なんて自分で決めるもんじゃない!それは他人が決めつけることだ!!だから俺は何度失敗してもいい。諦めずに何度も挑戦する。そうすればいつかは成功するかもしれないだろ?」
光輝はハッとした。そうだ……僕は……
「ううん……」
リビングで寝落ちしていた父親のうめき声が聞こえる。
父親が起きる!それは光輝にとって何よりも怖いことだった。当たり前だ。自分をこの状況に追い込んでいる張本人なのだから。
光輝の父親は仕事をしていない。DV癖があり、光輝が少しでも逆らえばすぐに暴力を振るってくる。そして酒乱であり、昼でも夜でも関係なく酒を飲んでいるような人だ。母親はそんな父親に愛想をつかして光輝が物心がつく前に出て行ってしまった。光輝を残して。
だから、生きるためにお金を稼ぐ必要があった。……そこで目をつけたのが光輝だ。光輝に体を売らせて生活をする。光輝が外でその話をしたらまずいから家の中に閉じ込めておく。
何の矛盾もない話だ。……光輝の父親にとっては。
「おとうさん……ごめんなさい……」
光輝は急いで部屋に戻り、ベッドに入ると布団を被った。心臓が激しく鼓動する。雄三の言葉が頭の中でよみがえる。
『自分の限界は自分で決めるな……』
「僕は……まだ……死にたくない……」
光輝は涙を流しながら眠りについた。


その日もまた光輝は男に蹂躙されていた。しかし今日はいつもと違い、少しだけ違ったことがあった。
「やめてっ!来ないで!来ないでくださいっ!」
光輝が反抗したのだ。光輝は必死に抵抗し、なんとか逃げ出そうとしたが、男は容赦なく光輝に襲い掛かってきた。
「くそがぁッ!!!」
男の拳が光輝の顔に直撃する。光輝の視界が一瞬真っ暗になった。
「うっ……あぁ……」
「ったく。おとなしく犯されてりゃいいんだよ!」
男が光輝の髪を掴んで顔を上げさせる。そしてそのまま強引にキスをしてきた。
「うぐぅ!?」
口の中に広がる血の味。光輝は吐き気を覚えたが、口を塞がれているため吐き出すことができない。
「ぷはっ!」
ようやく解放される。光輝は呼吸を整えようとした。だが、次の瞬間光輝の口の中に男のペニスが挿入された。
「んーっ!?」
口内を犯され、同時にアナルにも挿入された。光輝は意識を失いそうになる。
(苦しい……もう嫌だ……)涙を流す光輝だったが、突然彼は解放された。どうやら気絶してしまったらしい。
「ちっ、つまらねえな……。おい、起きろ」
「うう……?」
光輝が目を覚ますと、そこにはあのプロレスラーの姿があった。
「よう。元気にしてたか?」
「え……なんでここに?」
「お前に会いに来たに決まってるだろ?プロレスの試合が終わったあと、ずっとお前のこと考えててさ」
「そうなんですか……」
「おう!……来いよ!一緒に外に行こうぜ!」
雄三が光輝の手を引いて、ベランダへと歩き出す。光輝は戸惑いながらもついていく。
世界はオレンジ色に輝いている。外では女の子の手を引いたお母さんが歩いている。まるでドラマの世界みたいだ。
「ほら、見てみろよ!これが普通なんだ」
「はい……」
「いいか?この景色は特別なものじゃないんだ。どこにでもある、ありきたりな光景なんだよ。俺がこうしてるのも普通のこと。わかるか?」
「はい……」
「そうか。じゃあさ、今度はこっちに来てくれ!」
雄三は光輝を抱きしめると、そのまま抱きかかえて、隣の家の屋根に飛び移った。
「わあっ!」
「ははは、驚いたか?これは遊びなんだ!誰だってできる!ただ、それをしないだけだ!それのどこが悪い!?」
「はい……そうですね……」
「そうだとも!よし、次は逆側の隣に行ってみるぞ!」
雄三は光輝を抱えたまま、反対側の家の屋根に移る。
「きゃああ!!」
「大丈夫だって!俺を信じろ!絶対に落とさないから!それに、もし落ちたとしても俺が受け止めてやるから安心しろって!!」
「はいっ!!」
「そういえば、名前を聞いてなかったな?」
「紀ノ國光輝です!」
「いい名前だな!」
「ありがとうございます!!」
そう返事をしたところで、光輝は目を覚ました。
自分がいるのはいつもの部屋。体は白い液体で汚れている。昨日と同じだ。違うのは夢の中の雄三だけ。
「すごい……僕、本当に雄三さんと会えたのか……」
光輝は興奮していた。
「はやく……雄三さんみたいになりたい……」
光輝は決意した。
光輝はベランダに出た。世界は夢と同じオレンジ色だ。
「そうだ……僕は飛べるんだ!」
雄三さんに抱えらていた時のような感覚を思い出す。あれは間違いなく現実だった。
「今なら……!」
光輝は手すりに手をかける。そして足に力を入れた。
「うおおおっ!!!」
そして思いっきりジャンプした。……しかし、その身体は宙に浮くことはなく、地面に向かって落ちていった。
「ぐふっ……」
地面に叩きつけられ、光輝は口から血を吐いた。全身が痛む。
「でも……生きてる……」
光輝は笑う。
「きゃあああっ!子供が落ちてるっ!!誰か助けてっ!!」
「なんであの子裸なんだ!?……っていうか、それ……」
女性の悲鳴が聞こえる。男性の驚愕の声が聞こえる。
「よう、光輝!頑張ったな!」
声の主は雄三だ。光輝は彼を見るなり笑顔になる。
「雄三さん!」
「おう!俺はここだよ!」
「雄三さん……会いたかった……」
「俺もだ。……さあ、帰ろうぜ」
「はい……」
光輝は雄三に肩を貸してもらいながら家に帰る。
「今日はゆっくり休めよ?」
「わかりました……」
「じゃ、また明日な」
「はい!」
雄三の伸ばしてきた手を光輝は掴み、握手を交わす。
「へっ、やっぱり光輝は可愛い奴だな」
「そんな……僕は可愛くなんか……」
「いや、お前は可愛いよ。だから自信を持て」
「はい……」
「じゃあ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい……」
意識を手放す前に、光輝は確かにはっきりと聞いた。
「おいっ!大丈夫か坊主っ!誰か!救急車を呼んでくれっ!」
雄三の声を。

当時の光輝は知らなかった。それが『イマジナリーフレンド』と呼ばれる現であることを。雄三が闘っていたのが『金網デスマッチ』と呼ばれる先に金網から脱出した方が勝ち、というルールであることを。
そして、最後に自分が聞いた声が本物の雄三の声であるということを。
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