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黒岩大吾
謝罪
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光輝の目の前には雄太を始めとする三人の柔道部の先輩がいる。その顔は沈痛で。でもどこか穏やかそうに見える。
「……先輩たち、何か用ですか?」
光輝の言葉に、三人とも目を丸くした。
「いや、お前に言いたいことがあってさ……」
雄太は頭をかきながら言う。
「なんでしょうか?」光輝は首を傾げた。
「「「どうもすみませんでしたっ!!」」」
雄太たちは声を揃えて言った。
「えっ?あの……」
光輝は戸惑う。
「おまえが黒岩先生にどんな目にあわされるのか知っていたっていうのに、俺はお前を連れて行った。自分可愛さに……。俺さ、柔道のスポーツ推薦で入ってるからどうしても柔道部をやめられないんだよ。……だから、黒岩先生に従うしかなかった。……なんていいわけだし、お前には関係ないよな。本当にごめん!」
「俺も……。黒岩先生に暴力を振るわれているお前を見てたっていうのに、それを見捨てて……本当にごめんなさい!!」
「俺たちのために土下座までしてくれたっていうのに……それなのに俺たちは……」
雄太たちの目からはボロボロと涙がこぼれている。
「いえ、いいんです。それに、先輩たちが謝ることじゃないですよ。……あれは仕方ないことです」
雄太は涙を拭いた。
「俺さ、ずっと前から気になってたことがあるんだ」
「はい?」
「おまえ、中学の頃から柔道やってたよな?」
「……まあ、一応」
光輝は少し照れくさそうに答える。
「なんでそんなに強いんだ?」
「……そんなに強くないですよ。ただ必死に努力しているだけです」
「それでもだよ。……正直、おまえの柔道の実力はかなり高いと思う。それはこの前の試合でよく分かった。……だけど、それでも黒岩先生には勝てないんじゃないかって思ってる。……実際、あいつは異常だからな」「まあ、確かに……」
「だから教えてくれないか?どうしてそんなに強くなれたかを」
光輝は思い出す。自分が今までどんな地獄をさまよっていたのかを。ある意味でそれは地獄の中を生き続けていたからこそ土われた『忍耐力』なのかもしれない。
だが、違うと光輝自身は思っている。
ただ純粋に楽しいのだ。柔道をすることが。自分が今まで知らなかった世界に触れる。ただそれだけが楽しくて仕方がないのだ。だから自分は強くなれた。だから自分は頑張れる。
「……俺は地獄の中で生きてきました。毎日毎日男たちに犯されて、殴られて、蹴られて。痛くて苦しくて……。だけどそんな地獄の中だからこそ気づいたことがあります。……人は一人じゃ生きていけないってことです。辛いとき、苦しいときにそばにいてくれる人がいる。そんな人たちがいたから俺は生きようと思えるようになった。だから俺は強くなりたいと願った。……それが答えでは駄目でしょうか?」
「はっ?えっ!?」
雄太は困惑するばかりだ。
「な、なんだよ、それ……」
「……ごめんなさい。うまく言えなくて。でも、本当にそういう気持ちなんです」
「いや、なんか……もっと深い意味があるような気がしたんだけどな……」
「ありませんよ。俺はただのしがない大学生です」
「そっか……」
雄太は納得していないようだったが、それ以上は何も聞かなかった。
「でも、いいんですか?俺に会ってるところなんて見られたら黒岩先生に何か言われるんじゃないですか?」
「いや、それがさ。『やりたくもないことをやらせて悪かった』って黒岩先生に土下座されて……。もう何も言ってこないんだよ。あの人、プライドが高いからそんなことしないと思ってたのに……。なんか、以外というかなんというか。お前、あの人と何かあったのか?」
「それは……。男同士の秘密、ってやつですよ」
光輝はニヤリと笑った。
「……はは、なんだそりゃ」
雄太もつられるように笑う。
この先大吾がどうなるのかはわからない。それでもいい方に変わってくれる。変わってくれたらいいな、と光輝は願っていた。
「……先輩たち、何か用ですか?」
光輝の言葉に、三人とも目を丸くした。
「いや、お前に言いたいことがあってさ……」
雄太は頭をかきながら言う。
「なんでしょうか?」光輝は首を傾げた。
「「「どうもすみませんでしたっ!!」」」
雄太たちは声を揃えて言った。
「えっ?あの……」
光輝は戸惑う。
「おまえが黒岩先生にどんな目にあわされるのか知っていたっていうのに、俺はお前を連れて行った。自分可愛さに……。俺さ、柔道のスポーツ推薦で入ってるからどうしても柔道部をやめられないんだよ。……だから、黒岩先生に従うしかなかった。……なんていいわけだし、お前には関係ないよな。本当にごめん!」
「俺も……。黒岩先生に暴力を振るわれているお前を見てたっていうのに、それを見捨てて……本当にごめんなさい!!」
「俺たちのために土下座までしてくれたっていうのに……それなのに俺たちは……」
雄太たちの目からはボロボロと涙がこぼれている。
「いえ、いいんです。それに、先輩たちが謝ることじゃないですよ。……あれは仕方ないことです」
雄太は涙を拭いた。
「俺さ、ずっと前から気になってたことがあるんだ」
「はい?」
「おまえ、中学の頃から柔道やってたよな?」
「……まあ、一応」
光輝は少し照れくさそうに答える。
「なんでそんなに強いんだ?」
「……そんなに強くないですよ。ただ必死に努力しているだけです」
「それでもだよ。……正直、おまえの柔道の実力はかなり高いと思う。それはこの前の試合でよく分かった。……だけど、それでも黒岩先生には勝てないんじゃないかって思ってる。……実際、あいつは異常だからな」「まあ、確かに……」
「だから教えてくれないか?どうしてそんなに強くなれたかを」
光輝は思い出す。自分が今までどんな地獄をさまよっていたのかを。ある意味でそれは地獄の中を生き続けていたからこそ土われた『忍耐力』なのかもしれない。
だが、違うと光輝自身は思っている。
ただ純粋に楽しいのだ。柔道をすることが。自分が今まで知らなかった世界に触れる。ただそれだけが楽しくて仕方がないのだ。だから自分は強くなれた。だから自分は頑張れる。
「……俺は地獄の中で生きてきました。毎日毎日男たちに犯されて、殴られて、蹴られて。痛くて苦しくて……。だけどそんな地獄の中だからこそ気づいたことがあります。……人は一人じゃ生きていけないってことです。辛いとき、苦しいときにそばにいてくれる人がいる。そんな人たちがいたから俺は生きようと思えるようになった。だから俺は強くなりたいと願った。……それが答えでは駄目でしょうか?」
「はっ?えっ!?」
雄太は困惑するばかりだ。
「な、なんだよ、それ……」
「……ごめんなさい。うまく言えなくて。でも、本当にそういう気持ちなんです」
「いや、なんか……もっと深い意味があるような気がしたんだけどな……」
「ありませんよ。俺はただのしがない大学生です」
「そっか……」
雄太は納得していないようだったが、それ以上は何も聞かなかった。
「でも、いいんですか?俺に会ってるところなんて見られたら黒岩先生に何か言われるんじゃないですか?」
「いや、それがさ。『やりたくもないことをやらせて悪かった』って黒岩先生に土下座されて……。もう何も言ってこないんだよ。あの人、プライドが高いからそんなことしないと思ってたのに……。なんか、以外というかなんというか。お前、あの人と何かあったのか?」
「それは……。男同士の秘密、ってやつですよ」
光輝はニヤリと笑った。
「……はは、なんだそりゃ」
雄太もつられるように笑う。
この先大吾がどうなるのかはわからない。それでもいい方に変わってくれる。変わってくれたらいいな、と光輝は願っていた。
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