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3.荷物を受け付ける際の知識不足により私の応対したお客様を激怒させた

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タイトルも中身もだんだんと長くなり、読みづらくて申し訳ありません。




この作品が三日坊主にならないよう、色々と思い出していたら体調を崩してしまいました。
昨夜は真夜中をとっくに過ぎてからの就寝となり、今日が休日で本当に良かったです。


まずは読んで下さった皆様に御礼を。現代文学のカテゴリでこの作品が1位になりました。


繰り返し確認して画像を保存した後、何とも言えない気持ちに浸りました。
私は本が好きで、このごろ自分でも文章を書くことが楽しくなっています。
1位という身に余るような称号を得たのがまさかのノンフィクション。しかもネガティブ極まるパワハラを書いたものになろうとは。


人生塞翁が馬という言葉を噛みしめています。それから事実は小説より奇なり、ですね。



しかし私がこの作品を投稿してからたったの数日。

ノンフィクションのカテゴリが始まったというお知らせが届き、心底から驚きました。


といった訳で大変申し訳ないのですが、カテゴリを変えさせていただきます。
最初にカテゴリをどうしようか迷いましたが、これで心置きなく言い切れます。
これはノンフィクションです。ええ、私自身でも信じたくないのですが。




前置きがたいへんに長くなってしまいました。
なんのひねりも無くて申し訳ないのですが、これもタイトルそのままの内容となります。




私はメール便専属ドライバーとして働いています。
その為に働き始めたのです。しかし最初の頃はなぜか、事務所へ訪れるお客様から荷物を預かる接客をしていました。
詳細な理由についてはまた後日書かせていただきます。


宅配便を依頼する場合、大きく分けて二つのやり方があります。
電話でドライバーに依頼し、自宅へ荷物を引き取りに来てもらう。
荷物の集積場所である事務所へと、自分で荷物を持ち込んで依頼する。

事務所へとお客様が持ち込まれる荷物に応じ、見合った料金をお預かりする。
この立場は『受付』と呼ばれることが多いです。


私はこの事務所で、受付担当となり働いたことがありました。
宅配便が非常に忙しい時に短期のみです。おかげで基礎は学べていました。


事務所で受付にあたる方がそのタイミングでごっそりと辞めてしまい、人手が足りないとの事で、私が駆り出されることとなりました。
他の理由としては、私が働き始めてから一ヶ月経っても配達用の車が無いという現実がありました。正直言って無茶苦茶ですが、そういった訳でその頃の仕事はほぼ受付でした。



その頃、宅配業界は色々な激震が走っておりました。
テレビで取り上げられた諸々については覚えておいでの方も多いと思います。



私の勤める会社でも、宅配のカテゴリに新たなサービスが始まっていました。
その配達については、今まで配送する荷物の最小サイズよりもお安くなっています。
ただし規定の資材を別に買ってもらう必要があります。
つまりはそれだけの為にある箱に中身を入れた上で、専用の伝票が必要となります。

かなりややこしいです。文章にすると本当に判り辛いですね。
ですから、このサービスについてはかなり調べた上で提供しなければならないと身構えた事を覚えています。
けれども専用の箱はかなり丈夫で、このサービスはぜひとも広まってほしいなと考えた私は、積極的にお客様へ紹介するようにしていました。



日進月歩な配達サービスは、一月前とはルールが違うなんて事もざらにあります。
短期で働いていた頃との違いにかなり驚きつつも、私はなんとか受付をしていました。




ここで新たな登場人物が出てきます。

その人物は『T』といいます。
この事務所で受付の業務についてから、おそらく私の半生以上を確実と経ている方です。
私も短期の際にはいろいろと、様々な意味で教わる事がありました。

主観が混じっている事をよくよく承知の上で、私は断言します。

この『T』が受付をしている時に、荷物を持って来る方が受ける印象は相当な高確率で悪いものとなります。

完全に上から目線で言わずもがなを口に出し、お客様を怒らせることもしばしばです。
お陰でこの支店以外の遠い事務所へ荷物を預ける方も多いと、身内から聞きました。




その日、私は受付担当として働いていました。
何人かを受け持って無事に応対した後、一人だけお客様が残りました。
あの新しいサービスについて伺っているようでした。


声をお掛けしてみたところ、小さなものを安全に宅配便で送りたいとの事でした。
それはぜひとも利用してみて下さい、と私はお客様にサービスを紹介しました。
ちなみに箱の他にも専用の資材があり、それを使うことによって小さな中身でもきちんと固定できます。

このサービスは、とある条件によって少しだけ運賃を安くすることができます。

据え付けの端末で配達に必要な情報を打ちこみ、デジタル印刷した伝票を使う事です。
以前はお客様が専用のサービスへ加入する必要があり、その時に発行されるカードを読み取ってから、ようやく情報の入力が可能となっていました。
しかし今は端末を操作さえすれば、誰であっても伝票を手書きする必要はありません。


ちょうどよく他にお客様が居なかったこともあり、ややこしいサービスについてどうにか私はお伝えする事が出来ました。
届けたい品物に関してはまだ準備ができておらず、後日改めて来店しますとの事でした。
そう言われた私は、ぜひよろしくお願いしますとお客様を見送りました。



その翌日。受付業務についた私へと、『T』が得意満面と話しかけてきました。

「○さんちょっと。間違った事をお客に教えないでくれる?」

誰かがミスをするととても嬉しそうな『T』に、私はどんなエサを与えたのだろう。
働き始めからうんざりした私は、その言葉を聞きました。


「デジタル印刷の伝票は、サービスに加入していないとダメだって知らないの?」


どうやら私はいつの間にか、短期で勤めていた頃にタイムスリップしたようです。
私の時間移動する条件は『T』であり、つまりは抹消するべき存在だという事なのでしょう。


新サービスについてはさんざんに調べて、『T』の言うサービス加入は必要無いと確認しています。
心底から脱力した私へ、これからはきちんと調べなさいと的外れな説教が続いてから。


「昨日来たって事は、○さんがあのお客に紹介したんでしょう? あのサービスで印刷の伝票が使えないなら、最初から紹介するんじゃないって。そりゃ物凄く怒っていたから、もしかしたらクレーム案件になるかも」


『T』の頭の中には、私が平謝りする未来以外はまったく浮かんでいないようでした。
その時の私にとって、『T』は道端の石よりもどうでもよい存在でした。

なんて、なんて気の毒なお客様だろう。つたない私の説明をきちんと聴いて下さったのに。


ひとしきり一方的に喋ってから、満足した『T』はカウンターの後ろに引っ込みました。


私は、新サービス専用の伝票を、印刷する間際まで操作してみました。
どうということもなく不備の無い伝票ができあがるようです。
もちろん私は、その当時に『T』のいうサービス加入はしていません。




ここまで長々と読んでいただきましたが、ようやく『I』の登場です。
お忘れの方も居るかもしれません。残念なことに事務所の最高責任者である支店長です。




私は『T』へ、新サービスのパンフレットを片手に説明しました。
当然ながら認めるわけがありません。筋金入りの固定観念はコンクリートより硬いのです。
そして私はその言葉を聞くこととなります。


「あのお客に言った事は、支店長にきちんと確認したのだから間違いない」


重ねて記しますが、誠に遺憾ながら、ここの支店長とは、――――『I』です。



これはもう、実物を印刷する以外に何も方法が無い、と私は悟りました。
作った伝票を手にした私は、『I』へ説明しました。

そうして言われたのがこちらです。



「いや、○さん。本当にサービスに加入していないと出来ない筈だ」



私は手を広げて掲げました。お手上げです。いや、何も持っていない事を示す為です。
サービスには全く加入していない事と、印刷した伝票を見せるのを二回ほど繰り返してから、ようやく『I』は認めました。

謝罪は当然ながらありませんでした。
当たり前です。謝罪すべきお客様は永遠にこの事務所には訪れないのですから。


ちなみに私が説明している背後では、『T』がずっとわめいていました。


「いちいちわざわざ言わなくっても判るのに、本当にいやみったらしい!」


もしも私が、その日の前日にタイムスリップできたなら。
その場で印刷した伝票を渡していたなら、お客様の運命は変わったのでしょう。



『I』の私へ応対する態度が、とみに悪くなったのはこの出来事からです。



後日、私の印刷した伝票は遠くに住む身内へきちんと荷物を届けました。


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