配達の仕事から戻ると私の机が無かった

緋色萩

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2.私の担当地域で働きたいメイトさんの契約を3週間にわたり放置

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事務所から私の机が無くなって、3日が経ちました。
どうやら元の場所に戻る気はまるっきり無いようです。
そこらへんについては、また後日書かせていただきます。



では、私にとって衝撃的だったパワハラをお伝えしたいと思います。
タイトルのそのままです。信じられませんが実話です。
私に対する圧力ならまだ判ります。色々あったので『I』は私に悪印象を持っています。


『I』は私の働いている支店の最高責任者です。
つまり支店長です。
心の底から嬉しくありませんが私の直属の上司となります。
働きたいと言って下さった方に途轍もない迷惑かけて、歯牙にもかけないその精神はまるで理解できません。


事の始まりは、メイトさんと私たち、『メイトリーダー』の集まりでした。
会社の規定により一定の期間にこういった催しを開くことになっています。

メイトさんは自宅の周りなど、決まった範囲のお宅へメールを配って下さいます。
メイトリーダーはメイトさんの勤怠管理などを扱う立場です。
私の担当する範囲は非常にメイトさんが少なかったのです。

その場で、とあるメイトさんから働きたい方がいると紹介を受けました。
熱心に私の担当地域でぜひともメール便を配りたい、と言って下さいました。

それが去年の11月なかばを過ぎた頃の話です。
私にとってはじめてになるメイトさんとの契約でした。


会社で働くための契約方法は、書類を交わす他にデータの更新が必要となります。
ざっくり説明しますと、会社のデータベースに書き込める資格を持った方に、契約の様々について処理をしていただく必要があるのです。


私の居る支店で、その処理が出来るのは『I』だけです。


はじめての契約にあたり、私は何をすればよいのか全くわかりませんでした。


先輩のメール便ドライバーの方に伺ったところ、まずは支店長である『I』とメイト希望の方とで電話のやりとりをしてもらうのが一番早いとの事でした。

私は『I』に、メイト希望の方が居るので契約をお願いしますと伝えました。
『I』からは、電話番号を書いて処理待ちの書類の中に入れてくれと言われました。

電話番号とメイトさんのお名前を書いた紙を処理の箱へ入れました。
私はメイトさんの契約書類を用意し、書き方などを添えてお宅にお届けしました。


その翌日、私は休みでした。


翌々日、まだ事務所に在った私の机の上に私の書いた書類が置かれていました。
ひどい殴り書きで、メイトさんの契約に必要な情報が箇条書きにされていました。
この情報が無いとデータの更新が出来ないから何もしていない、との事でした。


つまり『I』はメイトさんに連絡すらとっていなかったのです。


暫くの間信じられず、そうして心底から呆れ果てました。その場でメイトさんに連絡し、『I』から連絡が無かった事を詫びました。
当然ながら私にもメール便の配達があります。メールを配る為にまずは一冊ずつの順番を揃えなければいけませんが、相応に時間がかかります。
相応に遅れた配達は、周囲が暗くなってからようやく終わりました。

翌日の配達後です。
私は書類の不備など先輩メール便ドライバーの方に指導してもらい、書類を整えました。
私は『I』に指示された情報を揃え、メイトさんから預かった書類も添えて提出しました。
その時点で既に、メイトさんが希望した働き始めたい日は過ぎていました。
この日『I』は事務所に居ませんでした。
迅速な処理をお願いします、と書き添えて処理の箱に入れ、私は帰宅しました。


この翌日も私は休みでした。


翌々日、私の机の上にはまたしても書類がありました。
全く笑えないルーチンギャグだろうか、と考えたのをよく覚えています。
私の書いたままで何も加わっていないそれに殴り書きの紙が乗っていました。
####の情報が無いから出来ない、と中身こそ異なれ全く同じ内容でした。


電話をメイトさんへ一回すれば済む話です。


この時点で完全に私は『I』を切りました。


先輩ドライバーに尋ねたところ、この地域一帯の荷物が集約する『ベース』では、メール関係の契約でデータを更新してくれる事務処理担当の方が居ると教えていただきました。
事務処理担当の方と電話のやりとりを何回かこなして『ベース』に書類を送り、メイトさんが使う機材を用意するのには、距離があるので時間がかかりました。

そのころ、宅配の現場は修羅場でした。なんといっても12月です。
メール便に比較すれば比べ物にならない、空恐ろしいほどの荷物が行き来していました。


しかし『I』のしたことは完全なる職務放棄です。


全ての準備が揃い、私がメイトさんのお宅に配達していただくメールを届けたのは12月も半ばを過ぎていました。
その前に支店へ苦情として、早くメール便を配らせて欲しいとメイトさんから電話がありました。
心底から申し訳なくメールを届けた私は、それでも喜んでくださったメイトさんに救われました。
度々のやりとりで、あちらも全く『I』が使えない事に薄々気がついていたと思います。

メイトさんが配達を始めて数日後。背後で『I』が先輩ドライバーに尋ねていました。



「新しいメイトさんの件、どうなった?」



『I』はきっと人間ではなく、深海の底から這い出た名状しがたき何かなのでしょう。




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