最弱パーティのナイト・ガイ

フランジュ

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秩序の牢獄編

婚約者

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コーブライドで起こっている事件の情報


ナイト・ガイのメンバーがコーブライドに到着し、ギルドに赴くと冒険者のデュランがいた。
デュラン・リンバーグは現在、町にいる冒険者たちを取りまとめているリーダー的な存在のようだ。
ギルドに貼り出されている小さな依頼を受けていおり、それは町の住民の役に立てればいいという考えから。
ちなみにクロードとは"握手"しており、波動の属性は把握しているが、現在まだ情報開示されてはいない。

その後、この町のギルドマスターであるカトレアと出会う。
ギルドマスターとは自分の父親の後任である。
どうやら秩序造物主オーダー・クリエイターと呼ばれる存在が町におり、ギルドへ依頼を出して町を綺麗にしているようだ、という情報をもらう。
さらに秩序造物主オーダー・クリエイターが関わると町を汚くしている人間は次々と行方不明となるらしい。
このことによって夜も出歩けないほど治安が悪かった街が変わってしまったそうだ。
仕事の依頼が欲しいナイト・ガイはカトレアから護衛の仕事の依頼を頼まれ、次の日にギルドへ来るようにと言われる。

夕刻、3人はサンドラ・ガンドッドとパメラと会う。
サンドラはこの町の領主であるが、生まれた時から足が不自由のようで車椅子だ。
パメラはガンドッド家のメイドであるが、役職は"執事兼"、"メイド長兼"、"料理長兼"、"御者兼"、"庭師"とのこと。
会話をすると時計塔へ行ってみることを勧められる。

時計塔の高さは約30メートル。
一定の時刻ごとに鐘が鳴る仕組みだ。
そこで謎の老人の独り言を聞き、気味が悪いと感じた3人はすぐに宿へ向かった。

次の日の早朝、ギルドへ向かおうとすると、馬に乗って急ぐ騎士団とすれ違う。
向かう先は時計塔のようだ。
町の住民の話によると飛び降りがあったようで、それはどうやらギルドマスターのカトレア。
ナイト・ガイのメンバーも急いで時計塔へと向かう。

時計塔ではやはり飛び降りがあったようだ。
対応していたのは騎士を取りまとめているジェニス・ハリスという女性だった。
クロードのカトレアは自殺ではないとの推理にジェニスが反応して会話することとなる。
クロードの考えは"仕事の依頼をするはずだったのに、それをせずに自殺するなどありえない。したがってカトレアは他殺である"というものだ。
ジェニスには思い当たる節があったようで、それは"カトレアは秩序造物主オーダー・クリエイターを探しているようだった"とのこと。

詳しい話をするため町の騎士団本部へと移動する。
ジェニスの部屋は散らかり放題で衣服や靴などが脱ぎっぱなしだった。
意見交換後、他の騎士団員から昨晩に音楽祭があったことを聞く。
騎士であるジェニスと領主のサンドラ、他の貴族たちも出席していたとのこと。

情報収集をするため再び時計塔へ。
近くの武具屋へと向かうと店主と冒険者のデュランの言い争いが聞こえる。
武具屋の店主の話によると、夜になると店の入り口にある椅子に幽霊が座っているらしい。
幽霊が出るのは、深夜の鐘の"前"か"後"かであり、鳴っている最中に出ることはないそうだ。

ここでガイは空腹から、小金を稼ぐためギルドへ。
ギルドでガイは"ミラ・ハートル"という少女と出会う。
年齢はメイアと同じくらいか。
ミラが仲間に加わり、同時にガイはギルドの依頼を受ける。

メイアとクロードは時計塔の内部を調べることにした。
時計塔に入ってすぐ、全体に絨毯が敷かれていたが、上へのぼるための階段付近に地下に通じる鉄扉があった。
鉄扉には鍵が掛かっており、近くにはスペードのマークのようなものが描かれている。

それ以外の情報は無く、時計塔から出る2人は初日に見た怪しい老人と出会う。
老人はメイアのことを"お嬢様"と呼び、橋下まで案内される。
だが老人は記憶が曖昧で、すぐに2人を警戒し始めてしまう。
クロードの機転によってカトレアと老人の息子が婚約していることと、老人が仕えていたのは"アンジェリカ"という少女だとわかる(アンジェリカは12歳で死亡しているとのこと)
しかし老人がいたのはどこの貴族の屋敷であるのかは不明だった。
老人は「スージーに会えばわかる」と言って去ってしまうが、この女性についても謎だった。

クロードは老人がサンドラの屋敷で執事をしていたのではないかと推理。
メイアと2人でガンドッド家へと向かう。
ガンドッド家では庭には住民に似せた石像が置かれており、屋敷の廊下の壁には四角い何かがあったような跡が残されていた。
サンドラにアンジェリカのことを問うも、彼は知らなかった。
またスージーという女性も知らないということだった。
重要なのはサンドラとメイドのパメラも昨晩の音楽祭には出席していたこと。
これでサンドラとパメラ含め、貴族の犯行は難しいと判断せざるを得ない状況だった。


クロードが怪しむ人物は4人。

"騎士団のジェニス"
"冒険者のデュラン"
"領主のサンドラ"
"メイドのパメラ"

さらに登場人物を整理すると、

"ギルドマスターのカトレア(死亡)"
"橋の下の老人"
"アンジェリカという少女(死亡?)"
"スージーという女性"
"ミラ・ハートル"

となっている。


そして、これが今回の事件のルールだ。

・犯人は間違いなく秩序造物主オーダー・クリエイターである。
・犯人は波動の力を使っている。
・犯人は名前があるキャラクターである。
・犯人は嘘をついている、または隠している。

情報が途切れて行き詰まったと思われるが、さらにここから、この町に起こった事件は進展していくことになる。

____________


日も沈みかけた夕刻。
メイアとクロードがギルドに向かう途中のことだった。

馬のひずめの音が住宅地に反響し、それが2人に近付いていた。
目の前から来るのは馬に乗った女騎士のようだ。

「これはちょうどよかったね」

クロードは笑みをこぼした。
馬上にいたのは騎士のジェニスだったからだ。

「ああ、君たちか。何かわかったかい?」

ジェニスは馬から降りることなく質問する。
彼女を見上げるクロードは横に少し首を振った。

「そうか……」

「ただ、少し聞きたいことがある」

「なんだい?」

「"アンジェリカ"という少女を知ってるか?」

「アンジェリカ……どこかで聞いたことがあるわね……」

「恐らく貴族だと思う。時計塔にいた老人が仕えていた女性のようだ」

「ああ。たまに見かける爺さんね。どこの誰だかはわからないけど、いつも時計塔を見上げてる。でも、その少女のことは思い出せないわね」

「そうか。あと、もう一人……"スージー"という女性は?」

「それは聞かない名だわ。……と言っても町を探せば何人も出てくるようなありきたりな名前ね。けど私の知り合いにはいない」

「わかった。そういえばカトレアに婚約者がいたという話は聞いたことあるかい?」

ジェニスは眉を顰めてから、深いため息をついた。

「婚約者か……まぁ、いたわね」

「なにかあったのかい?」

「かなり前に死んでるのよ。それこそ秩序造物主オーダー・クリエイターという存在がまだこの町に現れる前のこと」

「なるほど。その彼はどこで仕事をしていたかはわかるかい?」

「どこでも何もない。カトレアと結婚するはずだった男は"冒険者"よ」

クロードとメイアは首を傾げた。
また謎が深まってしまったからだ。
老人の話では、婚約者である老人の息子は冒険者ではないはずだ。

「死因は?」

「殺傷。街中で殺された。犯人は捕まってないわ」

「目星もついてないのか?」

「私が思うに揉み消されたわね。恐らく貴族に関係する人間だったんじゃないかな」

「そうなれば、かなり有力な家柄と考えるが」

「でしょうね。"どこ"の貴族とも言えないけど、この町で一番力のあるところが関係しているんじゃないかと私は思ってるよ」

「君のところはどうかな?」

不意なクロードの言葉にジェニスは驚いた表情をする。
ここで初めて自分も疑われているのだと知った。

「え……なぜ私なの?」

「女性を突き動かすのは、やはり色恋沙汰か……君とカトレアの年齢はだいたい一緒だろ?恋のもつれとも予想できる」

「確かに彼は魅力的な男性で街を歩けば女性から声をかけられてた。オーラみたいなものでもあったのかしら?でも私は好みじゃなかったわ。なにか……妙に胡散臭かったのよ」

「胡散臭かった?」

「ええ。言葉で人を操っているような……そんな気がした」

「今いる"デュラン・リンバーグ"もそんな印象だが」

「まぁ、そう思うのも無理はない。彼らは同じパーティメンバーだったからね」

これは新たな情報であった。
カトレアの婚約者とデュランは同じパーティメンバーだった。
つまりデュランは仲間を殺されたことで復讐者となって秩序造物主オーダー・クリエイターを名乗り、町を綺麗にする行動に出るということもあり得る。

「あとはデュランからでも話を聞くといいわ」

「そうするよ」

「そういえば、君のところの若い子」

「ああ、ガイのことかな」

「さっき街中で見かけたけど、ずっと猫を追い回してたわよ」

メイアとクロードは顔を見合わせた。
ガイはあれだけ嫌がっていた"猫探し"の依頼を受けたようだ。

2人はガイを慰めるためにギルドへ向かった。
デュランですら3日も掛かったとされる"猫探し"をガイが1人で達成できるはずもないと思ったからだった。
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