197 / 200
最終章
真紅と漆黒
しおりを挟む
火の塔 最上階
部屋は灼熱地獄と化していた。
門を背負い立つアルフィス、玉座を背負い立つロゼ。
その中央には、人間の体ほどの大きさの"真紅の大剣"が突き刺さっていた。
竜の骨で作られたその大剣の形は禍々しい。
大剣が突き刺さった場所から亀裂が無数の亀裂が入り、それが天井まで至る。
亀裂からは真っ赤な炎が吹き出し、触れれば人の体など一瞬で溶けてしまうほどの熱量だった。
「今度は……俺からいくか」
ロゼの闘気は実質見えない。
それは、この部屋を覆い尽くすほどの大きさのため、アルフィスには闘気による先読みができなかった。
ロゼの立つ場所に爆発が起きた。
その衝撃を利用して猛スピードで移動する。
玉座から、入り口の門へ、天井、そこからアルフィスへ向けて急降下。
アルフィスの立つ場所へ拳を打ちつける。
それを中央の方へ回避したアルフィスは、真紅の大剣を背負う形だ。
「そっちに回避していいのか?」
「なに?」
瞬間、床に突き刺ささる大剣から凄まじい熱波が放たれた。
アルフィスは熱波による高熱と衝撃を背中に感じると、一気にロゼの方へと吹き飛ばされる。
「なんだと!?」
「お帰り、お坊ちゃん」
ロゼの真紅の炎を纏った右ストレート。
その拳はアルフィスの頬を直撃した。
当たった瞬間、凄まじい爆発を起こすと爆炎が上がり、アルフィスは大剣の方へと吹き飛ばされる。
「"極炎破龍"」
魔法はロゼ本体からではなく、大剣から発生した。
大剣全体から炎が渦を巻き、巨大な炎の竜が現れ、床を転がったアルフィスに襲いかかる。
「"炎龍結界"!!」
転がるアルフィスは瞬時に受け身を取ると、熱波のフィールドを展開。
巨大な炎の竜は、熱波の威力で吹き飛んだ。
攻撃を受けながらも、アルフィスはロゼの攻撃に冷静に対処していた。
完全に真紅の大剣を背負う形のアルフィスは、その熱量を背中で感じつつ、ロゼの方を見る。
だが、入り口の門前にいたはずのロゼは姿を消していた。
「どこ行った!?」
「ここだ、ここ」
ロゼはまたしても爆発の衝撃を利用して高速移動していた。
横の壁から斜め上へ飛び、天井から急降下、アルフィスの目の前に降り立ったロゼは左拳を腰に構える。
「"魔力武装"……ああ、あと、これもオマケだ……闘気・破拳」
左拳はアルフィスのボディに入った。
それは、あまりの衝撃で、空圧が広がる。
さらにロゼの左拳は大爆発を起こし、背中から大剣に激突する。
「がはぁ!!」
背中は灼熱の温度を持つ大剣によって凄まじい熱さに焼かれる。
意識が吹き飛びそうになるほどの激痛が走った。
「こういうのも、なかなか面白いな」
「くそっ!!」
ロゼは、さらに一歩踏み込み、両拳による無数の連打を放つ。
アルフィスにも匹敵するほどの高速連打は上半身の骨を砕く。
「こうやるんだったか?」
「が、はぁ……」
背後にある灼熱の業火と、正面からの猛打撃はアルフィスを無慈悲に痛めつけた。
そして、追い討ち、ロゼは顔面狙いで右ストレートを放つ。
「舐めてんじゃねぇぞ!!テメェ!!」
アルフィスの激昂。
瞬時に一歩踏み込み、こちらも右ストレートを放った。
拳と拳がぶつかると、ドン!という鈍い音とともに、部屋の中央に大爆発が起こる。
爆煙が上がり、視界が遮られる中、再び巨大な炎の竜が飛び出すと、アルフィスを咥えて四方八方、壁や天井、床を抉るように叩きつけた。
部屋の入り口付近、空中。
滞空中のアルフィスは熱波のフィールドを展開すると、炎の竜を消した。
しかし、消し飛ばした瞬間、真下にロゼが現れ拳を放つ。
拳がアルフィスの胸に直撃した。
叩き込んだ瞬間の轟音は部屋に響き、さらに大爆発を起こすと、アルフィスは天井に大の字で叩きつけられた。
ロゼは、その攻撃による爆発の衝撃を利用して、急降下。
着地した瞬間、さらに爆発を起こして高速移動し、玉座の前に立った。
「これで終わりとは言わんよな?アルフィス・ハートル。お前は、この玉座を求めて来たのだから」
ロゼは笑みを浮かべ、天井から落ちるアルフィスを目で追った。
それは期待感からだった。
"落ちる途中、消えて、目の前に現れて攻撃を再開する"……そんな動きを期待していた。
だが、アルフィスは、そのまま床へ落ちた。
胸には拳ほどの大きさの穴が空いたままだ。
「そうか……惜しいな……」
ロゼの大きな溜め息は部屋に響くほどだった。
笑顔は消え、玉座を触る。
そのまま、ロゼは玉座に座ろうと腰を下ろしかけた瞬間だった。
玉座の横から何かがロゼを襲ったのだ。
「いや!!そうこなくては……せっかちはよくないよなぁ。俺の悪い癖だ」
巨大な"黒炎竜"に咥えられたロゼは壁に叩きつけられさらに天井へ、最後は玉座の少し前の床に叩きつけられる。
そして黒炎竜は大爆発を起こし、ロゼは爆炎に包まれた。
「ロゼ……俺は何がなんでも、お前に勝つ……俺の願いを叶えるために」
アルフィスは入り口付近に立っていた。
お互いが、最初の位置に戻った形だった。
「いいねぇ。俺は、お前が気に入ったよ、アルフィス・ハートル。お前の名は永遠に忘れることは無いだろう」
黒煙に包まれていたロゼは熱波で、それを吹き飛ばした。
口に溜まった血を唾と一緒に勢いよく床に飛ばす。
上半身は焼け焦げた跡があり、そこから見るにダメージは確実にあった。
「俺も本気でいく……ヴォルヴ・ケイン……リミッター解除」
アルフィスの立つ場所に熱波が何度も広がる。
黒炎が部屋を覆い尽くし、赤かった部屋を漆黒に染め上げる。
アルフィスの白髪は腰まで伸び、目元には赤く血管が浮き出る。
両腕のシルバーガンドレットは形状を変えて、胸まで覆った。
その姿を見たロゼは、今までに感じたことのないような高揚感の中、ニヤリと笑った。
「最終ラウンド……"真紅"と"漆黒"、どちらの炎が強いか……決着をつけようではないか」
「ああ。名残惜しいが……決着はつけねぇとな」
アルフィスも笑みを溢していた。
それは間違いなく、アルフィス自身も高揚していることを意味するものだった。
"今まで経験したことのない最高の戦い"
そう思うと、自然に口元が緩む。
アルフィスとロゼの戦いは、いよいよ終わりを迎えようとしていた。
部屋は灼熱地獄と化していた。
門を背負い立つアルフィス、玉座を背負い立つロゼ。
その中央には、人間の体ほどの大きさの"真紅の大剣"が突き刺さっていた。
竜の骨で作られたその大剣の形は禍々しい。
大剣が突き刺さった場所から亀裂が無数の亀裂が入り、それが天井まで至る。
亀裂からは真っ赤な炎が吹き出し、触れれば人の体など一瞬で溶けてしまうほどの熱量だった。
「今度は……俺からいくか」
ロゼの闘気は実質見えない。
それは、この部屋を覆い尽くすほどの大きさのため、アルフィスには闘気による先読みができなかった。
ロゼの立つ場所に爆発が起きた。
その衝撃を利用して猛スピードで移動する。
玉座から、入り口の門へ、天井、そこからアルフィスへ向けて急降下。
アルフィスの立つ場所へ拳を打ちつける。
それを中央の方へ回避したアルフィスは、真紅の大剣を背負う形だ。
「そっちに回避していいのか?」
「なに?」
瞬間、床に突き刺ささる大剣から凄まじい熱波が放たれた。
アルフィスは熱波による高熱と衝撃を背中に感じると、一気にロゼの方へと吹き飛ばされる。
「なんだと!?」
「お帰り、お坊ちゃん」
ロゼの真紅の炎を纏った右ストレート。
その拳はアルフィスの頬を直撃した。
当たった瞬間、凄まじい爆発を起こすと爆炎が上がり、アルフィスは大剣の方へと吹き飛ばされる。
「"極炎破龍"」
魔法はロゼ本体からではなく、大剣から発生した。
大剣全体から炎が渦を巻き、巨大な炎の竜が現れ、床を転がったアルフィスに襲いかかる。
「"炎龍結界"!!」
転がるアルフィスは瞬時に受け身を取ると、熱波のフィールドを展開。
巨大な炎の竜は、熱波の威力で吹き飛んだ。
攻撃を受けながらも、アルフィスはロゼの攻撃に冷静に対処していた。
完全に真紅の大剣を背負う形のアルフィスは、その熱量を背中で感じつつ、ロゼの方を見る。
だが、入り口の門前にいたはずのロゼは姿を消していた。
「どこ行った!?」
「ここだ、ここ」
ロゼはまたしても爆発の衝撃を利用して高速移動していた。
横の壁から斜め上へ飛び、天井から急降下、アルフィスの目の前に降り立ったロゼは左拳を腰に構える。
「"魔力武装"……ああ、あと、これもオマケだ……闘気・破拳」
左拳はアルフィスのボディに入った。
それは、あまりの衝撃で、空圧が広がる。
さらにロゼの左拳は大爆発を起こし、背中から大剣に激突する。
「がはぁ!!」
背中は灼熱の温度を持つ大剣によって凄まじい熱さに焼かれる。
意識が吹き飛びそうになるほどの激痛が走った。
「こういうのも、なかなか面白いな」
「くそっ!!」
ロゼは、さらに一歩踏み込み、両拳による無数の連打を放つ。
アルフィスにも匹敵するほどの高速連打は上半身の骨を砕く。
「こうやるんだったか?」
「が、はぁ……」
背後にある灼熱の業火と、正面からの猛打撃はアルフィスを無慈悲に痛めつけた。
そして、追い討ち、ロゼは顔面狙いで右ストレートを放つ。
「舐めてんじゃねぇぞ!!テメェ!!」
アルフィスの激昂。
瞬時に一歩踏み込み、こちらも右ストレートを放った。
拳と拳がぶつかると、ドン!という鈍い音とともに、部屋の中央に大爆発が起こる。
爆煙が上がり、視界が遮られる中、再び巨大な炎の竜が飛び出すと、アルフィスを咥えて四方八方、壁や天井、床を抉るように叩きつけた。
部屋の入り口付近、空中。
滞空中のアルフィスは熱波のフィールドを展開すると、炎の竜を消した。
しかし、消し飛ばした瞬間、真下にロゼが現れ拳を放つ。
拳がアルフィスの胸に直撃した。
叩き込んだ瞬間の轟音は部屋に響き、さらに大爆発を起こすと、アルフィスは天井に大の字で叩きつけられた。
ロゼは、その攻撃による爆発の衝撃を利用して、急降下。
着地した瞬間、さらに爆発を起こして高速移動し、玉座の前に立った。
「これで終わりとは言わんよな?アルフィス・ハートル。お前は、この玉座を求めて来たのだから」
ロゼは笑みを浮かべ、天井から落ちるアルフィスを目で追った。
それは期待感からだった。
"落ちる途中、消えて、目の前に現れて攻撃を再開する"……そんな動きを期待していた。
だが、アルフィスは、そのまま床へ落ちた。
胸には拳ほどの大きさの穴が空いたままだ。
「そうか……惜しいな……」
ロゼの大きな溜め息は部屋に響くほどだった。
笑顔は消え、玉座を触る。
そのまま、ロゼは玉座に座ろうと腰を下ろしかけた瞬間だった。
玉座の横から何かがロゼを襲ったのだ。
「いや!!そうこなくては……せっかちはよくないよなぁ。俺の悪い癖だ」
巨大な"黒炎竜"に咥えられたロゼは壁に叩きつけられさらに天井へ、最後は玉座の少し前の床に叩きつけられる。
そして黒炎竜は大爆発を起こし、ロゼは爆炎に包まれた。
「ロゼ……俺は何がなんでも、お前に勝つ……俺の願いを叶えるために」
アルフィスは入り口付近に立っていた。
お互いが、最初の位置に戻った形だった。
「いいねぇ。俺は、お前が気に入ったよ、アルフィス・ハートル。お前の名は永遠に忘れることは無いだろう」
黒煙に包まれていたロゼは熱波で、それを吹き飛ばした。
口に溜まった血を唾と一緒に勢いよく床に飛ばす。
上半身は焼け焦げた跡があり、そこから見るにダメージは確実にあった。
「俺も本気でいく……ヴォルヴ・ケイン……リミッター解除」
アルフィスの立つ場所に熱波が何度も広がる。
黒炎が部屋を覆い尽くし、赤かった部屋を漆黒に染め上げる。
アルフィスの白髪は腰まで伸び、目元には赤く血管が浮き出る。
両腕のシルバーガンドレットは形状を変えて、胸まで覆った。
その姿を見たロゼは、今までに感じたことのないような高揚感の中、ニヤリと笑った。
「最終ラウンド……"真紅"と"漆黒"、どちらの炎が強いか……決着をつけようではないか」
「ああ。名残惜しいが……決着はつけねぇとな」
アルフィスも笑みを溢していた。
それは間違いなく、アルフィス自身も高揚していることを意味するものだった。
"今まで経験したことのない最高の戦い"
そう思うと、自然に口元が緩む。
アルフィスとロゼの戦いは、いよいよ終わりを迎えようとしていた。
0
お気に入りに追加
429
あなたにおすすめの小説
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
婚約者に裏切られた女騎士は皇帝の側妃になれと命じられた
ミカン♬
恋愛
小国クライン国に帝国から<妖精姫>と名高いマリエッタ王女を側妃として差し出すよう命令が来た。
マリエッタ王女の侍女兼護衛のミーティアは嘆く王女の監視を命ぜられるが、ある日王女は失踪してしまった。
義兄と婚約者に裏切られたと知ったミーティアに「マリエッタとして帝国に嫁ぐように」と国王に命じられた。母を人質にされて仕方なく受け入れたミーティアを帝国のベルクール第二皇子が迎えに来た。
二人の出会いが帝国の運命を変えていく。
ふわっとした世界観です。サクッと終わります。他サイトにも投稿。完結後にリカルドとベルクールの閑話を入れました、宜しくお願いします。
2024/01/19
閑話リカルド少し加筆しました。
最弱勇者は世界を壊す「いや、壊さねぇよ!?」
とらとら
ファンタジー
RPGマジリスペクトな神様に勇者として召喚されたTHE平凡な主人公。その神からもらった能力は勇者には縁遠い剥ぎ取りスキルと神様印の一冊の本。神「この本に滅ぼしたい種族の名前を書けば、その種は滅びます」…って、そんな怖いもん持たせんなぁ!!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる