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水の国編
カミラの泉
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アルフィスは診療所の外へ出ていた。
ロールもその後を急いで追った。
アゲハは高熱で意識が朦朧としている。
一刻も早く西の泉へ行って薬草を取ってこなければならない。
アルフィスとロールは診療所の入り口にいた。
「ほ、本当に行くのか?魔物がいるんだぞ!」
「それがどうした?こっちには大魔法使いがいるだろうが」
その言葉にロールが冷や汗をかいている。
会った当初の威勢はもう無かった。
「それに俺には泉の場所がわからないし、その薬草がどんな形をしているのかもわからない。あんたが必要なんだ」
「少年……」
ロールは少し震えながら涙目になっていた。
そして意を決したロールは杖を上に掲げて気合を入れた。
「い、いいだろう!この大魔法使いロール様が行ってやろうではないか!」
アルフィスはその姿を見て呆れるが、まぁ上手くいったからよしとした。
そんなやり取りをしていると診療所からヘッケルが出てきた。
「本当に行くんだな。命知らずめ」
「相棒が苦しんでるのを放っておけるかよ。必ず戻る」
アルフィスの言葉を聞いてロールは少し悲しげな表情をしていた。
ヘッケルはため息をつきアルフィスにバックを投げる。
「食料と水が入ってる。あの子は任せておけ、できるだけのことはする」
「ああ、すまない。頼んだ」
出発するアルフィスを慌てて追うロール。
だが、ヘッケルが再度アルフィスを呼び止めた。
「おい、ボウズ、もう一つ聞きたい」
「ん?なんだ?」
「あの嬢ちゃん、ここ最近エンブレムを何度も発動しなかったか?」
アルフィスにとって意味がわからない質問だった。
確かに対抗戦の時は一日に一回は発動していたと思うが、ここ最近は戦うこともなかったのでエンブレムは使っていない。
「いや、ここ最近は使ってないな」
「そうか……ならいい」
ヘッケルはそれだけ言って診療所の中へ入って行った。
アルフィスは頭を傾げて村の入り口へ向かった。
アルフィス、ロールの二人は西の泉へ徒歩で向かった。
______________
夕刻、日も落ちかけた頃にアルフィスとロールは西の泉、カミラの泉の入り口にいた。
カミラの泉は森で囲まれ、中央に小さい泉があるが、面積で言えば森の方が大きい。
アルフィスが先頭を切って森へ入って行いく。
ロールはビクビクしながら後に続いた。
森の中は外界とは完全に遮断されているが如くだった。
その雰囲気は異様で小動物の姿は見えず鳥の囀りさえ聞こえない。
「その薬草ってのはどこにあるんだ?」
「い、泉の近くの洞窟に生えてたはずだ……早く採取して帰ろう……」
アルフィスの後ろで辺りをキョロキョロと見回し落ち着きがないロール。
アルフィスは呆れながらも早足で前進した。
一時間ほど進んだところで、ずっと歩みをやめなかったアルフィスが立ち止まった。
まだ泉は見えず、辺りの風景は森に囲まれている。
「ど、どうしたんだ?少年?」
「……」
アルフィスが無言で辺りの気配を探っている。
ロールがその横顔を見ると真剣そのものだった。
「囲まれたな。こいつらかなりいるぞ」
「……え?」
「これ持っててくれ」
アルフィスはロールに食料と水の入ったバッグを投げる。
その後すぐに周りではカサカサと音が鳴り始め魔獣達が姿を現した。
その数は十匹、二十匹はいた。
「複合魔法……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開したと同時に、魔獣達はアルフィスに一斉に襲い掛かった。
その魔獣達の姿は、ほとんど犬型で人間くらいの大きさだった。
アルフィスは一体、一体の噛みつき、引っ掻きを全て回避して、顎やボディに拳を叩き込んだ。
「援護を頼む!数が多すぎる!」
ロールは足が震えて杖を両手で持ち放心状態だったが、アルフィスの言葉にハッと我に返り、詠唱を始めた。
「み、み、み、水よ、わ、わ、我、て、て、て敵を……」
置かれた状況に動揺し詠唱を全く唱えられないロール。
そこに一体の魔獣がロールへ襲い掛かった。
「ひぃー!」
ロールは魔獣に押し倒され、噛みつかれそうになるが、寸前に持っていた杖を噛ませた。
ロールが持っていた杖が異様に大きいおかげで魔獣の歯をもってしても折れなかった。
「た、た、助けてー!」
悲痛に叫ぶロールだが、アルフィスに襲いかかる魔獣の数が多すぎて処理しきれず助けに行けない。
「くっそ!このままじゃやべえ!」
アルフィス、ロールの限界が近づいてたその時だった。
ロールの上にいた魔獣に横から猛スピードで弓矢が当たる。
その衝撃は凄まじく、魔獣は吹き飛ばされ、さらに弓矢が木に刺さり魔獣が磔にされた。
「あんた達!こっちへ!」
弓矢が飛んできた方向から女性の呼び声が聞こえる。
アルフィスはその声に反応し、声がした方向へダッシュした。
……が、ロールは全く逆方向へと走り去っていた。
「おい!そっちじゃねぇ!」
アルフィスは叫ぶが、ロールには全く聞こえていない。
ロールは森の奥への消えて行ってしまった。
アルフィスが声の方向へ走っていると、そこには洞窟があった。
ダッシュで洞窟へ入るアルフィス。
真っ暗闇の中、目を凝らすと一人の女性がいた。
「あんた、よくこんな所まで来たわね……」
その姿は金髪のツインテールで上が青い軍服で下はロングスカート。
スカートは動きやすいようにか片側が腰の辺りまでカットされており素足が見えていた。
年齢はアルフィスと同い年くらいで容姿端麗だった。
そして手には大きめの弓を持っている。
「あんた、中央から来たっていう聖騎士か?」
「聖騎士……まぁそうなるわね」
歯切れが悪い返答だった。
そもそもアルフィスは弓を使う聖騎士は初めて見た。
聖騎士はみんな近接戦闘型の前衛だと思っていたが、まさか遠距離型もいるとは思わなかった。
「あなた、その服、魔法学校の卒業生?なんでこんなところに来たのよ」
「相棒が熱出してな。薬草を取りに来たんだがこのざまだ。薬草のことを知ってるやつとも逸れちまったし」
アルフィスはためため息をつく。
それを見た弓使いの聖騎士は苦笑いを浮かべた。
「おめでとう。あなたが探す薬草はここにあるわよ。まぁ採取しても出られないんだけどね」
アルフィスは洞窟の奥を見ると白い綺麗な花が沢山生えているのが見えた。
「なるほど、ここが目的地だったんだな……」
アルフィスも苦笑いしてその場に座り込む。
「あんた、名前は?俺はアルフィス」
「私はメルティーナよ」
そう言ってメルティーナもその場に座る。
その表情は思った以上に疲れ切っていた。
ヘッケルの話しだと一週間はこの森にいることになる。
「あいつらこの洞窟には入れないのか?」
「ええ、魔獣は暗い所は見えないから入ってこないのよ。だから活動するのは日が出てる時だけ」
「ん?だったら夜になったら移動すればいいんじゃないのか?」
ごくごく当たり前のことだったがメルティーナは間髪入れずに反論した。
「夜に薄暗い森を歩くほど危険なことはないと思うけど」
「確かに……」
これもまたごくごく当たり前のことだった。
星や月の明かりがあると言っても森の中には届かない。
「どうすることもできないってことか……とりあえず寝るか」
「は?」
そう言ってアルフィスが横になる。
完全に寝る体制だった。
メルティーナはこの緊迫した状況で寝れる神経がわからなかった。
「"果報は寝て待て"って言うだろ」
「あ、あんた変わってるわね……」
「よく言われるよ」
そう言ってアルフィスはメルティーナの事や魔獣を一切気にせず、しばしの休憩と眠りについた。
ロールもその後を急いで追った。
アゲハは高熱で意識が朦朧としている。
一刻も早く西の泉へ行って薬草を取ってこなければならない。
アルフィスとロールは診療所の入り口にいた。
「ほ、本当に行くのか?魔物がいるんだぞ!」
「それがどうした?こっちには大魔法使いがいるだろうが」
その言葉にロールが冷や汗をかいている。
会った当初の威勢はもう無かった。
「それに俺には泉の場所がわからないし、その薬草がどんな形をしているのかもわからない。あんたが必要なんだ」
「少年……」
ロールは少し震えながら涙目になっていた。
そして意を決したロールは杖を上に掲げて気合を入れた。
「い、いいだろう!この大魔法使いロール様が行ってやろうではないか!」
アルフィスはその姿を見て呆れるが、まぁ上手くいったからよしとした。
そんなやり取りをしていると診療所からヘッケルが出てきた。
「本当に行くんだな。命知らずめ」
「相棒が苦しんでるのを放っておけるかよ。必ず戻る」
アルフィスの言葉を聞いてロールは少し悲しげな表情をしていた。
ヘッケルはため息をつきアルフィスにバックを投げる。
「食料と水が入ってる。あの子は任せておけ、できるだけのことはする」
「ああ、すまない。頼んだ」
出発するアルフィスを慌てて追うロール。
だが、ヘッケルが再度アルフィスを呼び止めた。
「おい、ボウズ、もう一つ聞きたい」
「ん?なんだ?」
「あの嬢ちゃん、ここ最近エンブレムを何度も発動しなかったか?」
アルフィスにとって意味がわからない質問だった。
確かに対抗戦の時は一日に一回は発動していたと思うが、ここ最近は戦うこともなかったのでエンブレムは使っていない。
「いや、ここ最近は使ってないな」
「そうか……ならいい」
ヘッケルはそれだけ言って診療所の中へ入って行った。
アルフィスは頭を傾げて村の入り口へ向かった。
アルフィス、ロールの二人は西の泉へ徒歩で向かった。
______________
夕刻、日も落ちかけた頃にアルフィスとロールは西の泉、カミラの泉の入り口にいた。
カミラの泉は森で囲まれ、中央に小さい泉があるが、面積で言えば森の方が大きい。
アルフィスが先頭を切って森へ入って行いく。
ロールはビクビクしながら後に続いた。
森の中は外界とは完全に遮断されているが如くだった。
その雰囲気は異様で小動物の姿は見えず鳥の囀りさえ聞こえない。
「その薬草ってのはどこにあるんだ?」
「い、泉の近くの洞窟に生えてたはずだ……早く採取して帰ろう……」
アルフィスの後ろで辺りをキョロキョロと見回し落ち着きがないロール。
アルフィスは呆れながらも早足で前進した。
一時間ほど進んだところで、ずっと歩みをやめなかったアルフィスが立ち止まった。
まだ泉は見えず、辺りの風景は森に囲まれている。
「ど、どうしたんだ?少年?」
「……」
アルフィスが無言で辺りの気配を探っている。
ロールがその横顔を見ると真剣そのものだった。
「囲まれたな。こいつらかなりいるぞ」
「……え?」
「これ持っててくれ」
アルフィスはロールに食料と水の入ったバッグを投げる。
その後すぐに周りではカサカサと音が鳴り始め魔獣達が姿を現した。
その数は十匹、二十匹はいた。
「複合魔法……」
アルフィスの足元に魔法陣が展開したと同時に、魔獣達はアルフィスに一斉に襲い掛かった。
その魔獣達の姿は、ほとんど犬型で人間くらいの大きさだった。
アルフィスは一体、一体の噛みつき、引っ掻きを全て回避して、顎やボディに拳を叩き込んだ。
「援護を頼む!数が多すぎる!」
ロールは足が震えて杖を両手で持ち放心状態だったが、アルフィスの言葉にハッと我に返り、詠唱を始めた。
「み、み、み、水よ、わ、わ、我、て、て、て敵を……」
置かれた状況に動揺し詠唱を全く唱えられないロール。
そこに一体の魔獣がロールへ襲い掛かった。
「ひぃー!」
ロールは魔獣に押し倒され、噛みつかれそうになるが、寸前に持っていた杖を噛ませた。
ロールが持っていた杖が異様に大きいおかげで魔獣の歯をもってしても折れなかった。
「た、た、助けてー!」
悲痛に叫ぶロールだが、アルフィスに襲いかかる魔獣の数が多すぎて処理しきれず助けに行けない。
「くっそ!このままじゃやべえ!」
アルフィス、ロールの限界が近づいてたその時だった。
ロールの上にいた魔獣に横から猛スピードで弓矢が当たる。
その衝撃は凄まじく、魔獣は吹き飛ばされ、さらに弓矢が木に刺さり魔獣が磔にされた。
「あんた達!こっちへ!」
弓矢が飛んできた方向から女性の呼び声が聞こえる。
アルフィスはその声に反応し、声がした方向へダッシュした。
……が、ロールは全く逆方向へと走り去っていた。
「おい!そっちじゃねぇ!」
アルフィスは叫ぶが、ロールには全く聞こえていない。
ロールは森の奥への消えて行ってしまった。
アルフィスが声の方向へ走っていると、そこには洞窟があった。
ダッシュで洞窟へ入るアルフィス。
真っ暗闇の中、目を凝らすと一人の女性がいた。
「あんた、よくこんな所まで来たわね……」
その姿は金髪のツインテールで上が青い軍服で下はロングスカート。
スカートは動きやすいようにか片側が腰の辺りまでカットされており素足が見えていた。
年齢はアルフィスと同い年くらいで容姿端麗だった。
そして手には大きめの弓を持っている。
「あんた、中央から来たっていう聖騎士か?」
「聖騎士……まぁそうなるわね」
歯切れが悪い返答だった。
そもそもアルフィスは弓を使う聖騎士は初めて見た。
聖騎士はみんな近接戦闘型の前衛だと思っていたが、まさか遠距離型もいるとは思わなかった。
「あなた、その服、魔法学校の卒業生?なんでこんなところに来たのよ」
「相棒が熱出してな。薬草を取りに来たんだがこのざまだ。薬草のことを知ってるやつとも逸れちまったし」
アルフィスはためため息をつく。
それを見た弓使いの聖騎士は苦笑いを浮かべた。
「おめでとう。あなたが探す薬草はここにあるわよ。まぁ採取しても出られないんだけどね」
アルフィスは洞窟の奥を見ると白い綺麗な花が沢山生えているのが見えた。
「なるほど、ここが目的地だったんだな……」
アルフィスも苦笑いしてその場に座り込む。
「あんた、名前は?俺はアルフィス」
「私はメルティーナよ」
そう言ってメルティーナもその場に座る。
その表情は思った以上に疲れ切っていた。
ヘッケルの話しだと一週間はこの森にいることになる。
「あいつらこの洞窟には入れないのか?」
「ええ、魔獣は暗い所は見えないから入ってこないのよ。だから活動するのは日が出てる時だけ」
「ん?だったら夜になったら移動すればいいんじゃないのか?」
ごくごく当たり前のことだったがメルティーナは間髪入れずに反論した。
「夜に薄暗い森を歩くほど危険なことはないと思うけど」
「確かに……」
これもまたごくごく当たり前のことだった。
星や月の明かりがあると言っても森の中には届かない。
「どうすることもできないってことか……とりあえず寝るか」
「は?」
そう言ってアルフィスが横になる。
完全に寝る体制だった。
メルティーナはこの緊迫した状況で寝れる神経がわからなかった。
「"果報は寝て待て"って言うだろ」
「あ、あんた変わってるわね……」
「よく言われるよ」
そう言ってアルフィスはメルティーナの事や魔獣を一切気にせず、しばしの休憩と眠りについた。
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