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魔法学校編
君と歩む未来
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闘技場内の寒さは異常だった。
観戦している生徒達は両手で肩を掴みブルブルと震えている。
その凄まじい冷気は薄く霧を作り闘技場を漂っている。
その中にキラキラと光る細かい氷が神秘的だった。
アインの髪は青白く発光し、目も青く光る。
その眼光にリューネは息を呑む。
恐らく初めて感じた恐怖だったのだろう。
「まさか……百年に一人いるかどうかのスペシャルスキル所持者とは……」
「これで終わらせる」
アインが一歩前に出ると、リューネも一歩後退りする。
狂人のリューネさえもその圧迫感に押された。
しかし我に帰ったリューネはまた剣を両手で構えてダッシュ体勢を取る。
そして一気にアインとの数メートルの距離を縮め斬りかかる。
アインは地面を勢いよく足で踏む。
すると地面から巨大な氷柱が現れリューネへ突き刺さりそうになる。
リューネは瞬時に反応し、横に回避すると、アインに向かって横から斬りかかる。
「やはり小細工が好きなようだ!」
「……"氷結の結晶剣"!」
アインのこの言葉と同時に持っていたステッキ型の魔法具に氷が纏い十字剣になる。
そしてすぐさまその十字剣を大地に突き刺す。
「……"氷結界"!」
凄まじい爆風と共に白い冷気がアインの周りに巻き起こりリューネの視界を奪う。
だが、リューネは白い冷気の中にある影がアインであることはわかっているため、その影に斬りかかった。
「見えているよ、アイン!」
だが手応えが全くない。
リューネは白い冷気の中を見回すと、青い小さい光が線を帯びて移動している。
「俺の勝ちだリューネ。君はもう負けたんだ」
「何を言ってる!私はまだ立っているぞ!」
リューネがそう叫んだ瞬間、膝を突いた。
何が起こっているのかは全くわからない。
「ハァハァハァ……」
息切れを全く起こさなかったリューネは自分の体の異変に気づく。
いや、気づくのが遅すぎた。
「この闘技場の温度を徐々に下げた。今はマイナス20度くらいだろう。気温は魔法じゃない。エンブレムでは無効化できない」
「クソ……は、肺が……」
そして冷気の中にあった青い小さい光がリューネに近づく。
それはアインの鋭い眼光だった。
「俺の勝ちだ」
「アイン……スペルシア……」
その言葉の後、リューネは倒れ気を失った。
それと同時に冷気は晴れ、アインの髪と目も正常に戻る。
そのままアイン自身も倒れ込んでしまった。
闘技場 医務室
アインが目を覚ますとトッドがそこにいた。
ベッドの横にある椅子に座っていたが、目を覚ましたアインに驚き立ち上がる。
「アイン!大丈夫か!」
「大きい声出さなくても大丈夫さ」
アインはそう言って体を起こす。
あれからそう時間は経っていないようだ。
「マーシャは大丈夫か?」
「ああ、どこも異常は無い、隣で寝てるよ」
マーシャはまだ目を覚ましていないようだったが、無事で何よりとアインは胸を撫で下ろす。
「しかし、アインお前、さっきの……」
トッドは魔法の事を言いたいのだろうと思った。
確かにあんな魔法を使える人間は、恐らくこの世界にはいないだろう。
「他のやつには黙ってて欲しいけど、多分すぐ噂は広まるだろうな……」
「だろうな……俺も初めて見たぞ"氷結の魔法"は……」
見たことある訳がない。
それはもう伝説級の魔法であるからだ。
生まれた時からもう稀に刻まれるという三つあるスペシャルスキルの中の一つ"魔力覚醒"は魔法の性質を変える。
水の魔法は氷結の魔法に変化し、魔法の攻撃性を高める。
「だけど、この魔力覚醒は反動が大きする。何日か魔法が使えなくなるんだ」
「……そうか……なんにせよ勝てたからよかった!まぁまだメインイベントは残ってるけどな!」
トッドの言葉に途端に我に帰るアインは頬を赤らめた。
急に緊張し始めて、居ても立っても居られない状態だ。
アイン達の声を聞いてかマーシャも目を覚ました。
「う、うぅ……」
「お!じゃあ、お邪魔になるから、いくぜ!」
トッドはそう言うとそそくさと医務室を出て行った。
マーシャは目を覚まし、状態を起こし周りを見渡すとマーシャのことを見ていたアインと目が合った。
二人は顔を赤らめ俯く。
先に口を開いたのはアインだった。
「マーシャさん、すいません、いきなりあんな手紙を……」
「いいえ、私の方こそ、アインさんを傷つけてしまって……」
マーシャは涙目になる。
アインが自分を変えてくれると思って、決闘に臨んだが、それは他人をあてにして自分自信では何もしていない。
マーシャはそんな自分に罪悪感を感じていた。
「マーシャさん、俺はこれでよかったと思ってる」
「……」
「俺は今まで誰か決められて生きてきた。周りの反発が嫌で全部従ってきたんだ。でも今日、その弱い自分を乗り越えられた気がする」
「アインさん……」
「だからあらためて、マーシャさん、是非、私とバディを組んで頂けないでしょうか!」
「……はい!」
二人は満面の笑みだった。
こうしてアインとマーシャのバディはここに結成された。
観戦している生徒達は両手で肩を掴みブルブルと震えている。
その凄まじい冷気は薄く霧を作り闘技場を漂っている。
その中にキラキラと光る細かい氷が神秘的だった。
アインの髪は青白く発光し、目も青く光る。
その眼光にリューネは息を呑む。
恐らく初めて感じた恐怖だったのだろう。
「まさか……百年に一人いるかどうかのスペシャルスキル所持者とは……」
「これで終わらせる」
アインが一歩前に出ると、リューネも一歩後退りする。
狂人のリューネさえもその圧迫感に押された。
しかし我に帰ったリューネはまた剣を両手で構えてダッシュ体勢を取る。
そして一気にアインとの数メートルの距離を縮め斬りかかる。
アインは地面を勢いよく足で踏む。
すると地面から巨大な氷柱が現れリューネへ突き刺さりそうになる。
リューネは瞬時に反応し、横に回避すると、アインに向かって横から斬りかかる。
「やはり小細工が好きなようだ!」
「……"氷結の結晶剣"!」
アインのこの言葉と同時に持っていたステッキ型の魔法具に氷が纏い十字剣になる。
そしてすぐさまその十字剣を大地に突き刺す。
「……"氷結界"!」
凄まじい爆風と共に白い冷気がアインの周りに巻き起こりリューネの視界を奪う。
だが、リューネは白い冷気の中にある影がアインであることはわかっているため、その影に斬りかかった。
「見えているよ、アイン!」
だが手応えが全くない。
リューネは白い冷気の中を見回すと、青い小さい光が線を帯びて移動している。
「俺の勝ちだリューネ。君はもう負けたんだ」
「何を言ってる!私はまだ立っているぞ!」
リューネがそう叫んだ瞬間、膝を突いた。
何が起こっているのかは全くわからない。
「ハァハァハァ……」
息切れを全く起こさなかったリューネは自分の体の異変に気づく。
いや、気づくのが遅すぎた。
「この闘技場の温度を徐々に下げた。今はマイナス20度くらいだろう。気温は魔法じゃない。エンブレムでは無効化できない」
「クソ……は、肺が……」
そして冷気の中にあった青い小さい光がリューネに近づく。
それはアインの鋭い眼光だった。
「俺の勝ちだ」
「アイン……スペルシア……」
その言葉の後、リューネは倒れ気を失った。
それと同時に冷気は晴れ、アインの髪と目も正常に戻る。
そのままアイン自身も倒れ込んでしまった。
闘技場 医務室
アインが目を覚ますとトッドがそこにいた。
ベッドの横にある椅子に座っていたが、目を覚ましたアインに驚き立ち上がる。
「アイン!大丈夫か!」
「大きい声出さなくても大丈夫さ」
アインはそう言って体を起こす。
あれからそう時間は経っていないようだ。
「マーシャは大丈夫か?」
「ああ、どこも異常は無い、隣で寝てるよ」
マーシャはまだ目を覚ましていないようだったが、無事で何よりとアインは胸を撫で下ろす。
「しかし、アインお前、さっきの……」
トッドは魔法の事を言いたいのだろうと思った。
確かにあんな魔法を使える人間は、恐らくこの世界にはいないだろう。
「他のやつには黙ってて欲しいけど、多分すぐ噂は広まるだろうな……」
「だろうな……俺も初めて見たぞ"氷結の魔法"は……」
見たことある訳がない。
それはもう伝説級の魔法であるからだ。
生まれた時からもう稀に刻まれるという三つあるスペシャルスキルの中の一つ"魔力覚醒"は魔法の性質を変える。
水の魔法は氷結の魔法に変化し、魔法の攻撃性を高める。
「だけど、この魔力覚醒は反動が大きする。何日か魔法が使えなくなるんだ」
「……そうか……なんにせよ勝てたからよかった!まぁまだメインイベントは残ってるけどな!」
トッドの言葉に途端に我に帰るアインは頬を赤らめた。
急に緊張し始めて、居ても立っても居られない状態だ。
アイン達の声を聞いてかマーシャも目を覚ました。
「う、うぅ……」
「お!じゃあ、お邪魔になるから、いくぜ!」
トッドはそう言うとそそくさと医務室を出て行った。
マーシャは目を覚まし、状態を起こし周りを見渡すとマーシャのことを見ていたアインと目が合った。
二人は顔を赤らめ俯く。
先に口を開いたのはアインだった。
「マーシャさん、すいません、いきなりあんな手紙を……」
「いいえ、私の方こそ、アインさんを傷つけてしまって……」
マーシャは涙目になる。
アインが自分を変えてくれると思って、決闘に臨んだが、それは他人をあてにして自分自信では何もしていない。
マーシャはそんな自分に罪悪感を感じていた。
「マーシャさん、俺はこれでよかったと思ってる」
「……」
「俺は今まで誰か決められて生きてきた。周りの反発が嫌で全部従ってきたんだ。でも今日、その弱い自分を乗り越えられた気がする」
「アインさん……」
「だからあらためて、マーシャさん、是非、私とバディを組んで頂けないでしょうか!」
「……はい!」
二人は満面の笑みだった。
こうしてアインとマーシャのバディはここに結成された。
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