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魔法学校編
魔法学校の優等生
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魔法学校入学式
セントラル学校講堂
室内は入学式ともあって皆、緊張や興奮が講堂に広がっていた。
そういう意味ではアイン・スペルシアも同じだった。
父上からは家柄が大きいため、皆から見られることが多くなるから行動には気をつけなさいと言われていた。
「やっぱり、みんな見るよな……」
注目されるのが苦手なアインは周りを少し見渡すが、アインを見ている者は一人もいなかった。
むしろ男子達の神経は、妙な風貌の男子生徒に集中していた。
アインが振り向くとその男子生徒は数メール後方の席に座っていた。
髪は短髪のボサボサで、ネクタイもしていない、シャツははだけて椅子にふんぞり返っている。
それだけでなく、凄まじい眼光で周囲を睨んでいる異様な生徒だった。
「なんだ、あいつは……」
アインも目を細めて、その生徒を見たが、少し目が合うとすぐ逸らして前を向く。
「やばそうな奴だな……関わらない方がよさそうだ」
ふとアインは聖騎士学校の生徒達が座る方を見る。
すると席に着こうと歩く一人の女子が目に入る。
他の女子達もその生徒を見てざわざわしていた。
「そこ、私の席のようです、前を失礼します」
黒髪の長髪、ポニーテールの女子は凛とした表情で席に着く。
アインはその姿に見惚れていた。
そうこうしていると全体のライトが消え、壇上だけが照らされていた。
壇上中央には講演台が置かれている。
魔法学校校長と聖騎士団団長挨拶のようだ。
ルイ校長はこのセントラルでも五本の指に入るほどの魔法使い。
賢者とも言われ、さらにそのクールな立ち振る舞いにはファンも多い。
「やっぱり校長だけあって威厳を感じるな」
アインは小声でそう感想をもらすのも、アイン自身もファンの一人だったからだ。
「セントラル魔法学校の校長、ルイ・ディケインだ。君たちの入学、心から歓迎する」
魔力量ならアインの方が当然多いが、表面的に滲み出るオーラは、今までの経験によるもので、それはすぐには身につけられないだろうとアインは感じた。
次に聖騎士団団長の登壇だ。
講演台の前に立つが、背が小さいせいで、マイクに届かず跳ねている。
「あ、あれ?すまない!なんか台かなにかもってきてくれ!」
そそくさと騎士見習い出てきて、講演台のところに木箱を置く。
「なんだあのチビ」
講堂内が凍りつく。
アインはさっきの妙な男子生徒が発した言葉であると容易に想像できた。
「なんてやつだ……相手は聖騎士団長だぞ……」
アインは怒りを通り越して呆れていた。
自分達、魔法使いが絶対勝てない相手にあんな暴言を吐くなんて信じられなかった。
その後も暴言を続けるその男子生徒を魔法学校、聖騎士学校の生徒は白い目で見ていた。
入学式の一切が終わり皆が寮へ移動していた。
アインの目の前に、例の男子生徒がいて、両脇で他の生徒の首を絞めている。
なにやら揉めているようだ。
「関わりたく無いって思うと、逆に目の前に現れるものだな」
アインはその出来事を見なかったことにしてその場を離れた。
魔法学校寮
「102号。ここだな」
アインは新しい生活に胸の高鳴りを感じると同時に、必ず妹を救うとの決意の眼差しで自室のドアに向き合っていた。
「やぁ、お隣さんだね」
アインは不意に声を掛けられた。
そこに立っていたのは、男子でありながら長髪で目の下にクマがある、顔色が悪い男子生徒だった。
「ああ、よろしく頼むよ。俺はアイン・スペルシア」
アインは握手を求めて手を差し出す。
その男子生徒は笑顔で快くアインの手を握る。
「僕はレイア・セレスティー。よろしく」
「レイア……?」
握手をしながらアインは男性なのに女性の名前なんだなと驚いた。
「ああ、やっぱり気になるよね」
「ご、ごめん、気に障ったかな……」
アインはとっさに謝る。
さすがに名前に対してとやかく言うのは失礼だと感じたからだ。
「いいんだよ。みんなそんな反応さ。これからよろしくね」
レイアはそうニッコリ笑って部屋へ入っていった。
アインも自室に入るが、荷物があまりない殺風景な部屋を眺めながら自分の軽率さを恥じた。
______________________
魔法学校校内
アインは誰もが認める優等生だった。
学科はさることながら、特に実技の成績が良く、入学して最初の実力テストでは他を圧倒していた。
実力テストから一ヶ月後、その結果が校内の掲示板に張り出されており、その前には人だかりができていた。
アインも胸を高鳴らせて掲示板へ向かう。
見ると大きい紙に、名前がびっしりと書かれており、真ん中に書かれている生徒なんて到底見つけられない。
魔法学校は15クラスあり、1クラス三十人ほどだった。
「アイン君すごいね!この人数がいる中で一位だなんて!」
「やっぱスペルシア家は違うな!」
「魔力量も間違いなく学校で一番だろ!」
アインは少し恥ずかしかったが、悪い気はしなかった。
自分の頑張りが認められて嬉しかった。
家にいたときは、かなり厳しくされたが、今は同年代に囲まれて、一緒に切磋琢磨できることが本当に楽しかったのだ。
「それにしても、この最下位のやつ、学科も実技もゼロって、どうやったらこんな点数取れんだか」
「こんなやつバディすら見つからんだろ」
「二年に上がる前に落第して消えるさ」
アインも掲示板にあった、その最下位の生徒の名前を見る。
"アルフィス・ハートル"
アインはこの時、初めてこの名前を知った。
セントラル学校講堂
室内は入学式ともあって皆、緊張や興奮が講堂に広がっていた。
そういう意味ではアイン・スペルシアも同じだった。
父上からは家柄が大きいため、皆から見られることが多くなるから行動には気をつけなさいと言われていた。
「やっぱり、みんな見るよな……」
注目されるのが苦手なアインは周りを少し見渡すが、アインを見ている者は一人もいなかった。
むしろ男子達の神経は、妙な風貌の男子生徒に集中していた。
アインが振り向くとその男子生徒は数メール後方の席に座っていた。
髪は短髪のボサボサで、ネクタイもしていない、シャツははだけて椅子にふんぞり返っている。
それだけでなく、凄まじい眼光で周囲を睨んでいる異様な生徒だった。
「なんだ、あいつは……」
アインも目を細めて、その生徒を見たが、少し目が合うとすぐ逸らして前を向く。
「やばそうな奴だな……関わらない方がよさそうだ」
ふとアインは聖騎士学校の生徒達が座る方を見る。
すると席に着こうと歩く一人の女子が目に入る。
他の女子達もその生徒を見てざわざわしていた。
「そこ、私の席のようです、前を失礼します」
黒髪の長髪、ポニーテールの女子は凛とした表情で席に着く。
アインはその姿に見惚れていた。
そうこうしていると全体のライトが消え、壇上だけが照らされていた。
壇上中央には講演台が置かれている。
魔法学校校長と聖騎士団団長挨拶のようだ。
ルイ校長はこのセントラルでも五本の指に入るほどの魔法使い。
賢者とも言われ、さらにそのクールな立ち振る舞いにはファンも多い。
「やっぱり校長だけあって威厳を感じるな」
アインは小声でそう感想をもらすのも、アイン自身もファンの一人だったからだ。
「セントラル魔法学校の校長、ルイ・ディケインだ。君たちの入学、心から歓迎する」
魔力量ならアインの方が当然多いが、表面的に滲み出るオーラは、今までの経験によるもので、それはすぐには身につけられないだろうとアインは感じた。
次に聖騎士団団長の登壇だ。
講演台の前に立つが、背が小さいせいで、マイクに届かず跳ねている。
「あ、あれ?すまない!なんか台かなにかもってきてくれ!」
そそくさと騎士見習い出てきて、講演台のところに木箱を置く。
「なんだあのチビ」
講堂内が凍りつく。
アインはさっきの妙な男子生徒が発した言葉であると容易に想像できた。
「なんてやつだ……相手は聖騎士団長だぞ……」
アインは怒りを通り越して呆れていた。
自分達、魔法使いが絶対勝てない相手にあんな暴言を吐くなんて信じられなかった。
その後も暴言を続けるその男子生徒を魔法学校、聖騎士学校の生徒は白い目で見ていた。
入学式の一切が終わり皆が寮へ移動していた。
アインの目の前に、例の男子生徒がいて、両脇で他の生徒の首を絞めている。
なにやら揉めているようだ。
「関わりたく無いって思うと、逆に目の前に現れるものだな」
アインはその出来事を見なかったことにしてその場を離れた。
魔法学校寮
「102号。ここだな」
アインは新しい生活に胸の高鳴りを感じると同時に、必ず妹を救うとの決意の眼差しで自室のドアに向き合っていた。
「やぁ、お隣さんだね」
アインは不意に声を掛けられた。
そこに立っていたのは、男子でありながら長髪で目の下にクマがある、顔色が悪い男子生徒だった。
「ああ、よろしく頼むよ。俺はアイン・スペルシア」
アインは握手を求めて手を差し出す。
その男子生徒は笑顔で快くアインの手を握る。
「僕はレイア・セレスティー。よろしく」
「レイア……?」
握手をしながらアインは男性なのに女性の名前なんだなと驚いた。
「ああ、やっぱり気になるよね」
「ご、ごめん、気に障ったかな……」
アインはとっさに謝る。
さすがに名前に対してとやかく言うのは失礼だと感じたからだ。
「いいんだよ。みんなそんな反応さ。これからよろしくね」
レイアはそうニッコリ笑って部屋へ入っていった。
アインも自室に入るが、荷物があまりない殺風景な部屋を眺めながら自分の軽率さを恥じた。
______________________
魔法学校校内
アインは誰もが認める優等生だった。
学科はさることながら、特に実技の成績が良く、入学して最初の実力テストでは他を圧倒していた。
実力テストから一ヶ月後、その結果が校内の掲示板に張り出されており、その前には人だかりができていた。
アインも胸を高鳴らせて掲示板へ向かう。
見ると大きい紙に、名前がびっしりと書かれており、真ん中に書かれている生徒なんて到底見つけられない。
魔法学校は15クラスあり、1クラス三十人ほどだった。
「アイン君すごいね!この人数がいる中で一位だなんて!」
「やっぱスペルシア家は違うな!」
「魔力量も間違いなく学校で一番だろ!」
アインは少し恥ずかしかったが、悪い気はしなかった。
自分の頑張りが認められて嬉しかった。
家にいたときは、かなり厳しくされたが、今は同年代に囲まれて、一緒に切磋琢磨できることが本当に楽しかったのだ。
「それにしても、この最下位のやつ、学科も実技もゼロって、どうやったらこんな点数取れんだか」
「こんなやつバディすら見つからんだろ」
「二年に上がる前に落第して消えるさ」
アインも掲示板にあった、その最下位の生徒の名前を見る。
"アルフィス・ハートル"
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