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第三十九話 殿下の妹様

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殿下は続けて言う。

「わたしは、『王国の為に、王国のこれからの発展の為に必要な人材です』と言って説得しました」

「反対されていたということでしょうか?」

反対されていたとなると、これから王宮で働くことになったとしても、お二人には嫌な思いが残るかもしれない。

「反対というところまではなかったです」

殿下の言葉を聞いて、ちょっとホッとした。

「ただ、なかなか同意はしてくれませんでした。反対はしないけれども同意もしないというところですね。これは仕方のないところだと思います。しかし、結局、受け入れてもらうことができました」

「受け入れていただいたんですね」

「『王太子が選んだ人材だから、わが王国の役に立ってくれることを信じたい』と国王陛下はおっしゃってくれました」

「ありがとうございます」

「ただ……」

ちょっと殿下は言いにくそう。

「どうされたのですか?」

「お疲れのところ申し訳ないのですが、国王陛下と王妃殿下があなたに会いたいとおっしゃっていまして」

「お二人がわたしに?」

「そうです。もうフローラリンデさんの待遇は決まったのですから、明日以降でいいのでは、と言ったのですが、今すぐ会いたいとおっしゃられて……」

「疲れの方はそこまでではないので、大丈夫です」

「申し訳ありません。では謁見に行っていただけますね?」

「わたしでよろしければ、向かわせていただきます」

「ただ、その服のまま行くわけにもいかないですね」

殿下はそう言った。

わたしの着ている服は、旅行用の服。

この服で行くのは、お二人に失礼になってしまうだろう。

とはいっても、ドレスは持ってきていない。

「ドレスはお持ちではないですよね」

「申し訳ありません」

「お気になさる必要はありません」

殿下はそう言うと、執事を呼んだ。

「フローラリンデさんのドレスを用意してもらいたいと思います。わが妹を呼んでいただけますか。お願いします」

「かしこまりました」

執事はそう言うと、外へ出て行った。

「妹さまがいらっしゃるのですか?」

わたしがそう言うと、

「あなたと同い年の子です。名はラディアーヌと言います。やさしい子で、恋の話が好きで、おせっかいのところがありますが、きっとあなたと気が合うと思います。少しお待ちください」

と殿下は微笑みながら言った。



少し時間が経った後、

「おにいさま、お呼びでしょうか」

と言いながら、ラディアーヌ様が入ってきた。

手にはドレスを持っている。

なかなかの美少女だ。

「待っていましたよ」

「ドレスが必要だということで、もってきました」

「ありがとう。この方に着せたいと思いましてね」

「この方ですか?」

とラディアーヌ様は言う。

「初めまして。フローラリンデと申します。よろしくお願いします」

わたしは頭を下げた。

「殿下の妹、ラディアーヌですよろしくお願いします」

ラディアーヌ様も頭を下げる。

性格は良さそうな印象を受けた。

この方とはうまくやっていけるかもしれない。

ラディアーヌ様は微笑みながら、

「フローラリンデさんは、おにいさまの恋人なのですか?」

と殿下に言う。

殿下は、

「い、いや、そういう人ではなくて……」

と恥ずかしそうに言った。

わたしも恥ずかしくなってきた。

「おにいさまが赤くなっている……」

ラディアーヌ様はからかうように言う。

「この方とはそういう関係ではありません。これからこの王宮で、一緒に仕事をしていただく為にここに来ていただ
いたのです」

と殿下は言った。

しかし、殿下の顔は、どんどん赤くなってきている。

もしかすると、わたしのことを異性として意識していただいているのだろうか。

そうだとうれしいのだけど。
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