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第二十四話 男性と賊の対決
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男性とリーダーが対決する。
「このやろう!」
リーダーは男性に斬りかかる。
すごい闘志だ。
剣さばきが、先程の四人とは違うし、男性との体格差もかなりある。
とにかく体が大きく、それにともなって力もとても強い気がする。
さすがにこれは厳しく、倒されてしまうのでは、と心配になってしまう。
しかし、それはわたしの思い過ごしだった。
十何度も打ち込まれたが、すべて余裕を持って反撃している。
「お前、俺をおちょくっているのか?」
「なぜそう思うのです?」
「俺の攻撃を苦もなく受け、しかも全部反撃されている。普通だったら、今頃俺の手で切り刻まれているはずなのに!」
「それは相手が良くなかったのですね」
「他人事のように言うな! お前のように涼しい顔をして戦うやつは、腹が立ってしょうがない! 俺はお前を絶対倒す!」
再び打ち込むリーダー。
それは激しいもので、普通だったら耐えるのは難しいと思う。
しかし、それも難なく反撃する。
「こんなやつ、初めてだ……」
リーダーは、しだいに疲れてきたようだ。
肩で息をし始めている。
側近に剣を突きつけられている四人は、無言であるが、リーダーの勝利を一生懸命願っているようだ。
「なんて強いやつなんだ!」
「あなたも相当強い方だと思います」
「褒めてくれてありがとうな。だが、褒められたからと言って手加減はしない! 俺はお前より強いんだ!」
「全力で来てもらって結構ですよ」
リーダーはさらに激しい勢いで打ち込む。それでも男性は、涼しい顔。
リーダーの疲労はますます増してくる。
「どうしてお前はそんなに余裕なんだ? 俺は全力で打ち込んでいるのに?」
「わたしはこの王国の力になる為に剣の腕を磨いているんです。あなた方のように私利私欲で剣を振り回している人たちとは違うんです」
「また生意気な口を!」
リーダーの剣と男性の剣がぶつかり合う。
「そろそろ決着をつけた方がよろしいですね」
「何が決着だ!」
「では行きますよ!」
攻勢に出た男性の剣は、今までも速かったが、それよりも段違いの速さ。
リーダーは防戦一方。
男性は、気合を入れると、リーダーの持っていた剣を叩き落とした。
そして、男性はリーダーの顔に剣を突きつける。
「こんなにすごいやつだとは思わなかった。四人がやられたのも、そして俺がやられたのも理解できる」
「これで勝負はありましたね」
穏やかな表情で言う男性。
「悔しいが俺の負けだ」
「そのまま地面に座ってください」
男性は剣をリーダーに突きつけたまま、リーダーを地面に座らせる。
そして、落ちていたリーダーの剣を、先程の四人の剣と同じようなところに投げる。
このリーダーの剣も四人の剣と同じく、後で回収するのだろう。
「お前は大したやつだ。この俺に勝ったのだからな。お前にだったら、斬られてもいい。さあ、斬ってくれ」
「それはできません」
「お前、いったい何を言っているんだ。俺が斬ってくれと頼んでいるのに」
「生命をもっと大切にすることです。それは、自分だけでなく、他人の生命も。あなたはまだ賊の道を捨てていませんが、もうそれを捨てて、新しい、もっと建設的な道に進むべきです」
「何を言い出すんだ。俺は生まれてから、賊として生きてきた。今さら他の道になど進むことはできない」
「いや、できると思います。あなたには、その力は十分あります。あなただけではない。他の四人も十分力があります」
男性はやさしく言うのだった。
「このやろう!」
リーダーは男性に斬りかかる。
すごい闘志だ。
剣さばきが、先程の四人とは違うし、男性との体格差もかなりある。
とにかく体が大きく、それにともなって力もとても強い気がする。
さすがにこれは厳しく、倒されてしまうのでは、と心配になってしまう。
しかし、それはわたしの思い過ごしだった。
十何度も打ち込まれたが、すべて余裕を持って反撃している。
「お前、俺をおちょくっているのか?」
「なぜそう思うのです?」
「俺の攻撃を苦もなく受け、しかも全部反撃されている。普通だったら、今頃俺の手で切り刻まれているはずなのに!」
「それは相手が良くなかったのですね」
「他人事のように言うな! お前のように涼しい顔をして戦うやつは、腹が立ってしょうがない! 俺はお前を絶対倒す!」
再び打ち込むリーダー。
それは激しいもので、普通だったら耐えるのは難しいと思う。
しかし、それも難なく反撃する。
「こんなやつ、初めてだ……」
リーダーは、しだいに疲れてきたようだ。
肩で息をし始めている。
側近に剣を突きつけられている四人は、無言であるが、リーダーの勝利を一生懸命願っているようだ。
「なんて強いやつなんだ!」
「あなたも相当強い方だと思います」
「褒めてくれてありがとうな。だが、褒められたからと言って手加減はしない! 俺はお前より強いんだ!」
「全力で来てもらって結構ですよ」
リーダーはさらに激しい勢いで打ち込む。それでも男性は、涼しい顔。
リーダーの疲労はますます増してくる。
「どうしてお前はそんなに余裕なんだ? 俺は全力で打ち込んでいるのに?」
「わたしはこの王国の力になる為に剣の腕を磨いているんです。あなた方のように私利私欲で剣を振り回している人たちとは違うんです」
「また生意気な口を!」
リーダーの剣と男性の剣がぶつかり合う。
「そろそろ決着をつけた方がよろしいですね」
「何が決着だ!」
「では行きますよ!」
攻勢に出た男性の剣は、今までも速かったが、それよりも段違いの速さ。
リーダーは防戦一方。
男性は、気合を入れると、リーダーの持っていた剣を叩き落とした。
そして、男性はリーダーの顔に剣を突きつける。
「こんなにすごいやつだとは思わなかった。四人がやられたのも、そして俺がやられたのも理解できる」
「これで勝負はありましたね」
穏やかな表情で言う男性。
「悔しいが俺の負けだ」
「そのまま地面に座ってください」
男性は剣をリーダーに突きつけたまま、リーダーを地面に座らせる。
そして、落ちていたリーダーの剣を、先程の四人の剣と同じようなところに投げる。
このリーダーの剣も四人の剣と同じく、後で回収するのだろう。
「お前は大したやつだ。この俺に勝ったのだからな。お前にだったら、斬られてもいい。さあ、斬ってくれ」
「それはできません」
「お前、いったい何を言っているんだ。俺が斬ってくれと頼んでいるのに」
「生命をもっと大切にすることです。それは、自分だけでなく、他人の生命も。あなたはまだ賊の道を捨てていませんが、もうそれを捨てて、新しい、もっと建設的な道に進むべきです」
「何を言い出すんだ。俺は生まれてから、賊として生きてきた。今さら他の道になど進むことはできない」
「いや、できると思います。あなたには、その力は十分あります。あなただけではない。他の四人も十分力があります」
男性はやさしく言うのだった。
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