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第五話 婚約破棄
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ルアンソワ様からの厳しい言葉。
婚約破棄。
このままでは、わたしの苦労は全くの無駄になってしまう。
なんとか巻き返すことはできないのだろうか。
そう思うのだけど、ではどうすればいいのだろうか。
「わたしはきみに何度かチャンスを与えた。しかし、きみはそれに応えようとせず、わたしに反対をし続けた。わたしとしても、もう我慢の限界まできている。これ以上の我慢はできない」
ルアンソワ様は一回言葉を切った後、
「わたしは、イレーレナと婚約することにした。父上や母上には、後で言っておく、両親が反対しようがしまいが、もう決めたことだ」
と言った。
「わたしと婚約してくださるって、本当なんですか?」
驚くイレーレナさん。
「もちろんだ」
「うれしい、ありがとうございます」
イレーレナさんは、満面の笑顔になった。
イレーレナさんと婚約?
わたしは聞き違いかと思った。
わたしとの婚約を破棄した後、すぐ次の婚約者を決め。それをもとの婚約者の前で発表する。
こんな残酷なことがあっていいものだろうか、と思う。
「それは本当のことなのですか?」
「わたしがきみに嘘を言う必要はないではないか」
「でも、いくらなんでも残酷すぎる仕打ちだと思います。婚約者の目の前でそういうことを言うのは……」
「何を言うんだきみは。今まで婚約者だったからこそ、その幸せを分け与えようとしているんだよ。なあ、イレーレナ。きみも幸せだろう?」
ルアンソワ様は、イレーレナさんの方を向きながらそう言う。
「もちろんです。こんなに幸せなことはありません」
微笑みながら言うイレーレナさん。
「きみもこの幸せをフローラリンデに分け与えたいと思うだろう?」
ルアンソワ様の方を向いていたイレーレナさんは、わたしの方を向く。
「わたしもそう思います。わたしたちの愛の力で、婚約破棄された哀れなフローラリンデさんを幸せな気持ちにしたいです」
微笑んではいるが、どうもわたしのことを憐れんでいるようだ。
怒ってはいけない。我慢しなければならない。
しかし、決して心は穏やかではない。
「わたしはまだルアンソワ様の婚約者なんです。あなたはルアンソワ様の婚約者ではありません」
わたしがそう言うと、イレーレナさんは表情を急に厳しくした。
「まだそんなことを言っているんですか? いい加減にしたらどうなんですか? 今、ルアンソワ様がおっしゃったではないですか。あなたとの婚約を破棄すると」
先程までは、わたしに少し遠慮する様子はあり、発言をあまりしなかった彼女だったが、自分が婚約者になったので、もう遠慮する必要はなくなったと思っているようだ。
「ですから、それは認められないと言っているではないですか。あまりにも一方的です。納得ができません」
「あなたが納得しようとしまいと、もうルアンソワ様がお決めになったことです。従うしかないでしょう」
イレーレナさんがそう言うと、
「イレーレナの言う通りだ。もうきみの言うことを聞いていてもしょうがない。きみとの婚約は破棄した。もうそれは決まったことだ」
とルアンソワ様はわたしに冷たく言った。
「わたしはルアンソワ様の為に、一生懸命努力してきたつもりです。それでも婚約を破棄し、イレーレナさんと婚約者にするとおっしゃるのですか?」
「何度もしつこく言ってくる人なんだな、きみは」
「お願いです。わたしを婚約者のままでいさせてください」
わたしは、一生懸命ルアンソワ様を振り向かせようとした。
このまま結婚まで進んで行きたいと思っていた。
婚約破棄。
このままでは、わたしの苦労は全くの無駄になってしまう。
なんとか巻き返すことはできないのだろうか。
そう思うのだけど、ではどうすればいいのだろうか。
「わたしはきみに何度かチャンスを与えた。しかし、きみはそれに応えようとせず、わたしに反対をし続けた。わたしとしても、もう我慢の限界まできている。これ以上の我慢はできない」
ルアンソワ様は一回言葉を切った後、
「わたしは、イレーレナと婚約することにした。父上や母上には、後で言っておく、両親が反対しようがしまいが、もう決めたことだ」
と言った。
「わたしと婚約してくださるって、本当なんですか?」
驚くイレーレナさん。
「もちろんだ」
「うれしい、ありがとうございます」
イレーレナさんは、満面の笑顔になった。
イレーレナさんと婚約?
わたしは聞き違いかと思った。
わたしとの婚約を破棄した後、すぐ次の婚約者を決め。それをもとの婚約者の前で発表する。
こんな残酷なことがあっていいものだろうか、と思う。
「それは本当のことなのですか?」
「わたしがきみに嘘を言う必要はないではないか」
「でも、いくらなんでも残酷すぎる仕打ちだと思います。婚約者の目の前でそういうことを言うのは……」
「何を言うんだきみは。今まで婚約者だったからこそ、その幸せを分け与えようとしているんだよ。なあ、イレーレナ。きみも幸せだろう?」
ルアンソワ様は、イレーレナさんの方を向きながらそう言う。
「もちろんです。こんなに幸せなことはありません」
微笑みながら言うイレーレナさん。
「きみもこの幸せをフローラリンデに分け与えたいと思うだろう?」
ルアンソワ様の方を向いていたイレーレナさんは、わたしの方を向く。
「わたしもそう思います。わたしたちの愛の力で、婚約破棄された哀れなフローラリンデさんを幸せな気持ちにしたいです」
微笑んではいるが、どうもわたしのことを憐れんでいるようだ。
怒ってはいけない。我慢しなければならない。
しかし、決して心は穏やかではない。
「わたしはまだルアンソワ様の婚約者なんです。あなたはルアンソワ様の婚約者ではありません」
わたしがそう言うと、イレーレナさんは表情を急に厳しくした。
「まだそんなことを言っているんですか? いい加減にしたらどうなんですか? 今、ルアンソワ様がおっしゃったではないですか。あなたとの婚約を破棄すると」
先程までは、わたしに少し遠慮する様子はあり、発言をあまりしなかった彼女だったが、自分が婚約者になったので、もう遠慮する必要はなくなったと思っているようだ。
「ですから、それは認められないと言っているではないですか。あまりにも一方的です。納得ができません」
「あなたが納得しようとしまいと、もうルアンソワ様がお決めになったことです。従うしかないでしょう」
イレーレナさんがそう言うと、
「イレーレナの言う通りだ。もうきみの言うことを聞いていてもしょうがない。きみとの婚約は破棄した。もうそれは決まったことだ」
とルアンソワ様はわたしに冷たく言った。
「わたしはルアンソワ様の為に、一生懸命努力してきたつもりです。それでも婚約を破棄し、イレーレナさんと婚約者にするとおっしゃるのですか?」
「何度もしつこく言ってくる人なんだな、きみは」
「お願いです。わたしを婚約者のままでいさせてください」
わたしは、一生懸命ルアンソワ様を振り向かせようとした。
このまま結婚まで進んで行きたいと思っていた。
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