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第四十六話 告白へ進み始める伸七郎
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伸七郎と俺の話は続く。
「それは、あまりにも褒めすぎだと思う。今日だって、お前に後でつらい思いをさせたくないという思いで、アドバイスをしていただけだし」
「そういうところがいいんだなあ。自分が的確なアドバイスをしているのに、全く誇らないのは、たいしたものだと思っている」
「自分では。たいしたものだとは思っていないけど、そう言ってもらえるのはありがたいと思っている」
俺がそう言うと、
「今日は、俺の悩みを聞いてもって、いいアドバイスをもらった。ありがとう。これから俺は、数日以内に舞居子ちゃんに告白をする方向で検討することにしたいと思う。ただ……」
と言って、伸七郎は少し悩むような表情になる。
「告白すれば、舞居子ちゃんは受け入れてくれると思ったんだけど、受け入れてくれない可能性もあるのでは、と思ったんだ。もし、そうなると、今までの幼馴染の関係自体が壊れてしまうのではないかと思う。そう思うと、告白していいものかどうか、わからなくなってくるんだ。俺にとっては、大切な幼馴染。その関係を壊したくはない。今は疎遠になっているけれど、いい思い出は持っている。その思い出も、告白が失敗すれば、忘れたい思い出になってしまうかもしれないんだ。告白しなければ、今後、離れ離れになったとしても、いい思い出だけは残り続けると思う」
伸七郎の気持ちも理解はできる。
俺には幼馴染はいないが、子供の頃のいい思い出というのはなくはない。
その思い出が、告白を受け入れられないことにより、壊れてしまうのはつらいことだろう。
しかし、ここで告白をしなければ、より一層の苦しみがやってくる。
好きな人に告白をしないというのは、それだけつらいことだと思う。
俺は前世でそれを味わされた。
「お前の言うことはわからなくはない。でも告白しないで、このまま年月が経ってしまう方が、よっぽどつらくなると思う。それに、さっきも言ったけど、初林さんはきっとお前の告白を待っている。一度目は幼馴染ということもあって、もしかすると、受け入れないかもしれないけど、あきらめずにアプローチしていけば、きっと受け入れてくれるはず。もちろん、それは、お前の初林さんへの想いが、熱いものであるかどうかによると思う」
伸七郎は俺の言うことを黙って聞いていたが、
「お前の言う通りだな。このまま告白しなければ、多分、後でつらい思いをしそうだ。まだ告白するかどうかの決断はできないけど、前向きに検討していくことにする」
と言って少し笑った。
「うん。前向きに検討するのが一番いいと思う。いい結果になることを期待しているぜ」
「ありがとう。お前の方も、恋人ができて、楽しくていい夏休みを過ごしてほしいと思う。いい方向に、お互い進んでいけるといいと思っている」
「ありがとう。俺も期待に応えられるよう努力していくよ」
「その意気だぜ。お互い、いい夏休みを送れるようにしよう」
伸七郎は微笑んだ。
伸七郎の方は、相手の初林さんも伸七郎のことを心の奥底で好きだと思っていると思う。
伸七郎さえ本気になれば、時間はかかっても、相思相愛になっていけると思う。
それに比べると、俺は乃百合さんとのあいさつも満足にできない状態だ。
でも伸七郎は、告白に向けて検討すると言っている。
俺も乃百合さんとの仲を進めるべく、より一層努力していくべきだろう。
俺はそう思うのだった。
「それは、あまりにも褒めすぎだと思う。今日だって、お前に後でつらい思いをさせたくないという思いで、アドバイスをしていただけだし」
「そういうところがいいんだなあ。自分が的確なアドバイスをしているのに、全く誇らないのは、たいしたものだと思っている」
「自分では。たいしたものだとは思っていないけど、そう言ってもらえるのはありがたいと思っている」
俺がそう言うと、
「今日は、俺の悩みを聞いてもって、いいアドバイスをもらった。ありがとう。これから俺は、数日以内に舞居子ちゃんに告白をする方向で検討することにしたいと思う。ただ……」
と言って、伸七郎は少し悩むような表情になる。
「告白すれば、舞居子ちゃんは受け入れてくれると思ったんだけど、受け入れてくれない可能性もあるのでは、と思ったんだ。もし、そうなると、今までの幼馴染の関係自体が壊れてしまうのではないかと思う。そう思うと、告白していいものかどうか、わからなくなってくるんだ。俺にとっては、大切な幼馴染。その関係を壊したくはない。今は疎遠になっているけれど、いい思い出は持っている。その思い出も、告白が失敗すれば、忘れたい思い出になってしまうかもしれないんだ。告白しなければ、今後、離れ離れになったとしても、いい思い出だけは残り続けると思う」
伸七郎の気持ちも理解はできる。
俺には幼馴染はいないが、子供の頃のいい思い出というのはなくはない。
その思い出が、告白を受け入れられないことにより、壊れてしまうのはつらいことだろう。
しかし、ここで告白をしなければ、より一層の苦しみがやってくる。
好きな人に告白をしないというのは、それだけつらいことだと思う。
俺は前世でそれを味わされた。
「お前の言うことはわからなくはない。でも告白しないで、このまま年月が経ってしまう方が、よっぽどつらくなると思う。それに、さっきも言ったけど、初林さんはきっとお前の告白を待っている。一度目は幼馴染ということもあって、もしかすると、受け入れないかもしれないけど、あきらめずにアプローチしていけば、きっと受け入れてくれるはず。もちろん、それは、お前の初林さんへの想いが、熱いものであるかどうかによると思う」
伸七郎は俺の言うことを黙って聞いていたが、
「お前の言う通りだな。このまま告白しなければ、多分、後でつらい思いをしそうだ。まだ告白するかどうかの決断はできないけど、前向きに検討していくことにする」
と言って少し笑った。
「うん。前向きに検討するのが一番いいと思う。いい結果になることを期待しているぜ」
「ありがとう。お前の方も、恋人ができて、楽しくていい夏休みを過ごしてほしいと思う。いい方向に、お互い進んでいけるといいと思っている」
「ありがとう。俺も期待に応えられるよう努力していくよ」
「その意気だぜ。お互い、いい夏休みを送れるようにしよう」
伸七郎は微笑んだ。
伸七郎の方は、相手の初林さんも伸七郎のことを心の奥底で好きだと思っていると思う。
伸七郎さえ本気になれば、時間はかかっても、相思相愛になっていけると思う。
それに比べると、俺は乃百合さんとのあいさつも満足にできない状態だ。
でも伸七郎は、告白に向けて検討すると言っている。
俺も乃百合さんとの仲を進めるべく、より一層努力していくべきだろう。
俺はそう思うのだった。
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