上 下
35 / 109

第三十五話 楽しいことの連続 (すのなサイド)

しおりを挟む
 わたしとイケメン先輩は恋人どうしとして進んでいく。

 それからしばらくは、楽しいことの連続だった。

 クリスマスイブの日、イケメン先輩はわたしを高級レストランに招待してくれた。

 港とその周辺を一望することができ、夜景がとてもきれい。

 そこで豪華な料理を提供された。

 今まで食べたことがないほどのおいしい料理だった。

 招待なので、費用はイケメン先輩持ち。

 さすが、お金持ちは違う。

 イケメン先輩の恋人になっていなければ、来ることはできなかった場所だ。

 島森くんと別れてよかったと思う。

 イケメン先輩には感謝したい。

 でも一方で、わたしは、学校一の美少女なのだから、これくらいはしてもらっても当然だという気持ちもあった。

 イケメン先輩の方も、わたしのような美少女がいなければ、こういうところには来づらかったのではないかと思う。

 周囲は美男美女でいっぱいなのだから。

 わたしほどの美しさのない女性と、もしここに来た場合、恥ずかしく思ってしまって、食事どころではなくなってしまうはずだ。

 わたしの方も、イケメン先輩から感謝されてもいいのではないかと思う。

 食事が終わった後、イケメン先輩は、

「どう? いい味だったでしょう?」

 と微笑みながら聞いてくる。

「もちろんです。ありがとうございます。先輩の恋人になれてよかったです」

 わたしがそう応えると、

「気に入ってもらってよかった」

 とイケメン先輩は応える。

 そして、わたしたちは、港の近くにある公園に行った。

 周囲はカップルだらけ。

 わたしもイケメン先輩とキスがしたくなってくる。

 イケメン先輩も同じ気持ちだろう。

「すのな、好きだ」

「先輩、好きです」

 重なり合う二人の唇と唇。

 思い出に残る甘いキス。

 もうわたしはイケメン先輩に夢中だった。



 正月も一緒に出かけたし、その後も週一度は一緒にでかけていた。

 仲はどんどん深まっていったと思ったのだけど……。

 わたしは次第に、もどかしく思うようになってきた。

 それは……。

 イケメン先輩は、一月中旬のデート以降、わたしに対してキス以上のことを求めなくなった。

 今まで付き合った女性たちとも、ある一定の時期が過ぎると、二人だけの世界に入らなくなっていたという。

 わたしもイケメン先輩に飽きられてきたのでは……。

 そう思わないこともなかったが、イケメン先輩の方も疲れるのだろうと思い直した。

 こちらから求めるのははしたないことだ。

 わたしのことを大切に思うので、会う度にではなく、一回おきにするとか、そういう配慮をしているのかもしれない。

 求められる時だけ応じればいいと思い、悩まないようにすることにした。

 とはいうものの、わたしとしてはイケメン先輩と、二人だけの世界にたくさん入っていきたかった。

 恋人どうしであれば、そこまで到達していきたいと思っていた。

 一月中旬のデート以降も、わたしは、いつ求められてもいいように準備をしていた。

 服もイケメン先輩の喜びそうなものを選んで着ていった、

 デートをした後は、そのままホテルに行って、二人だけの世界に入っていくのが普通だと思っていたのだけど、それ以上には進むことはなく帰ることになってしまった。

 こういうことがだんだん続くようになり、その度にわたしは落胆した。

 どうして二人だけの世界に入ってくれないのだろう。

 期待していたのに……。

 今思うと、クリスマスイブのデートは特別なもので、素敵だった。

 イケメン先輩も、

「きみとの今日は最高の思い出を作ることができた。ありがとう」

 と言ってくれたのに……。

 どうして進んでくれなくなってしまったのだろう……。

 その後もデートをして、キスまでは進む。

 しかし、依然としてそれ以上には進まない。

 わたしは、

「二人だけの世界に入っていきたいです!」

 という直接的な表現するのは、嫌われてしまうかもしれないと思ったし、それ以前に恥ずかしくて無理だった。

 その為、

「先輩、もう少し一緒にいたいです」

「先輩、わたしはもっと仲良くしたいです」

 と言う遠回しの表現で、イケメン先輩を誘惑しようとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

処理中です...