7 / 64
第七話 俺の前世・小学校六年生まで
しおりを挟む
俺の意識はだんだん遠くなっていき、これでもうこの世を去るのだと思っていた。
しかし……。
そう思っていた俺の心に前世の記憶が流れ込んできて、前世のことを思い出し始めた。
俺の前世の名前は倉森喜康(くらもりよしやす)。
普通の家庭に生まれ、ごく平凡な人生を歩んでいくはずの男だった。
はずだったのだけど……。
俺が幼稚園の頃から、両親の仲は悪くなっていく。
いわゆる「性格の不一致」というものだが、詳細についてはわからない。
最初は、ケンカを繰り返していたが、俺が小学校低学年の頃になると、よほどのことがない限りは、お互い口をきくこともなくなっていた。
食事も、母親と俺は一緒にとっていたが、父親は一人でとるようになっていった。
母親と一緒にとるといっても、母親はいつも難しい表情をしていて、会話というものはほとんどない。
それだけならいいが、些細なことで俺に対して怒ることが多くなった。
本人はしつけだと言っていたが、父親に対する不満が貯まりすぎて、俺の方にも矛先を向けているとしか思えなかった。
冷たくて、重くて、暗い雰囲気の俺の家。
今世の俺の家も冷たい雰囲気だったが、それ以上のものだった。
小学校高学年になると、そういう雰囲気が嫌になってきた。
父親とは、既に話をすることが少なくなってきていて、疎遠になる方向に進んでいたが、母親とも疎遠になる方向に進みたかった。
もちろん一緒に住んでいる以上、全く関わらないわけにはいかないが、最小限にしたいと思っていた。
そこで、一人で食事をとるようにしたり、極力話をしないようにして、母親とも疎遠になっていくよう努力をしていった。
家庭が暗かったから、ということを言い訳にはしたくはないが、幼稚園の頃から既に陰気だった俺。
友達ができるわけもなく、幼稚園の頃から一人ぼっちだった。
小学生になると、その傾向はますます拍車がかかり、幼稚園の頃はまだ話しかけてくる人は結構いたのだが、そういう人さえも少なくなっていた。
小学校高学年になると、少しずつカップルというものができ始めてくる。
一人ぼっちの俺でも、カップルで仲良くしている人たちの姿は、嫌でも目に入ってきた。
カップルというわけではなくても、仲良くしている男女の姿も目に入ってくる。
俺は、最初の内はそこまで気にしていなかった。
しかし、小学校五年生の夏が過ぎ、九月になると、次第にそうした人たちがうらやましくなってきた。
仲睦まじさを見せつけられると、腹立たしささえ覚えるようになった。
多分、その頃に思春期を迎えたのだと思う。
俺も次第に、女の子とお付き合いがしたいと思うようになってきた。
家に帰れば、毎日両親の対立でつらく苦しい毎日。
そうした俺を癒してくれる存在がほしかった。
とはいうものの、男の友達すらいない俺。
まして、異性と付き合うとなると、それは果てしなくハードルの高いものだった。
好意をもった女の子がいなかったわけではない。
しかし、そういった女の子に対して、勇気を振り絞り、
「付き合っている人、いる?」
と聞くのだが、
「もう既に他の男の子と付き合っている」
と言われるパターンばかりだった。
そういう女の子しか好意を持てなかった方もどうかしていたのかもしれないが……。
俺の心はますます沈んでいく。
そんな時に出会ったのが冬沼土(ふゆぬまつち)るやのさん。
今世で、俺が失恋したすのなさんと同じタイプ。
俺の理想の人が現れたと思った。
今世のすのなさんと同様、小学校六年生の時、同じクラスになったのだ。
その頃から美少女だった。
俺は、出会った時から彼女に好意を持った。
そして、付き合いたいと思った。
しかし、その想いは今までとは違っていた。
今までは、「ガールフレンド」として付き合いと思っていたのだけど、るやのさんとは、恋人として付き合いと思った。
とはいうものの、その頃の俺に、告白するだけの力はなかった。
告白どころか、そばに行くこともできないまま、月日は過ぎていく。
そんな俺を癒してくれたのは、アニメとアニソンとギャルゲーだった。
特にギャルゲーはプレイをする度に俺を癒してくれる。
今の俺もギャルゲーが大好きだが、前世の俺も、たちまちの内にギャルゲーが大好きになり、はまっていった。
家でも学校でも恵まれない俺の、唯一の楽しみだった。
しかし……。
そう思っていた俺の心に前世の記憶が流れ込んできて、前世のことを思い出し始めた。
俺の前世の名前は倉森喜康(くらもりよしやす)。
普通の家庭に生まれ、ごく平凡な人生を歩んでいくはずの男だった。
はずだったのだけど……。
俺が幼稚園の頃から、両親の仲は悪くなっていく。
いわゆる「性格の不一致」というものだが、詳細についてはわからない。
最初は、ケンカを繰り返していたが、俺が小学校低学年の頃になると、よほどのことがない限りは、お互い口をきくこともなくなっていた。
食事も、母親と俺は一緒にとっていたが、父親は一人でとるようになっていった。
母親と一緒にとるといっても、母親はいつも難しい表情をしていて、会話というものはほとんどない。
それだけならいいが、些細なことで俺に対して怒ることが多くなった。
本人はしつけだと言っていたが、父親に対する不満が貯まりすぎて、俺の方にも矛先を向けているとしか思えなかった。
冷たくて、重くて、暗い雰囲気の俺の家。
今世の俺の家も冷たい雰囲気だったが、それ以上のものだった。
小学校高学年になると、そういう雰囲気が嫌になってきた。
父親とは、既に話をすることが少なくなってきていて、疎遠になる方向に進んでいたが、母親とも疎遠になる方向に進みたかった。
もちろん一緒に住んでいる以上、全く関わらないわけにはいかないが、最小限にしたいと思っていた。
そこで、一人で食事をとるようにしたり、極力話をしないようにして、母親とも疎遠になっていくよう努力をしていった。
家庭が暗かったから、ということを言い訳にはしたくはないが、幼稚園の頃から既に陰気だった俺。
友達ができるわけもなく、幼稚園の頃から一人ぼっちだった。
小学生になると、その傾向はますます拍車がかかり、幼稚園の頃はまだ話しかけてくる人は結構いたのだが、そういう人さえも少なくなっていた。
小学校高学年になると、少しずつカップルというものができ始めてくる。
一人ぼっちの俺でも、カップルで仲良くしている人たちの姿は、嫌でも目に入ってきた。
カップルというわけではなくても、仲良くしている男女の姿も目に入ってくる。
俺は、最初の内はそこまで気にしていなかった。
しかし、小学校五年生の夏が過ぎ、九月になると、次第にそうした人たちがうらやましくなってきた。
仲睦まじさを見せつけられると、腹立たしささえ覚えるようになった。
多分、その頃に思春期を迎えたのだと思う。
俺も次第に、女の子とお付き合いがしたいと思うようになってきた。
家に帰れば、毎日両親の対立でつらく苦しい毎日。
そうした俺を癒してくれる存在がほしかった。
とはいうものの、男の友達すらいない俺。
まして、異性と付き合うとなると、それは果てしなくハードルの高いものだった。
好意をもった女の子がいなかったわけではない。
しかし、そういった女の子に対して、勇気を振り絞り、
「付き合っている人、いる?」
と聞くのだが、
「もう既に他の男の子と付き合っている」
と言われるパターンばかりだった。
そういう女の子しか好意を持てなかった方もどうかしていたのかもしれないが……。
俺の心はますます沈んでいく。
そんな時に出会ったのが冬沼土(ふゆぬまつち)るやのさん。
今世で、俺が失恋したすのなさんと同じタイプ。
俺の理想の人が現れたと思った。
今世のすのなさんと同様、小学校六年生の時、同じクラスになったのだ。
その頃から美少女だった。
俺は、出会った時から彼女に好意を持った。
そして、付き合いたいと思った。
しかし、その想いは今までとは違っていた。
今までは、「ガールフレンド」として付き合いと思っていたのだけど、るやのさんとは、恋人として付き合いと思った。
とはいうものの、その頃の俺に、告白するだけの力はなかった。
告白どころか、そばに行くこともできないまま、月日は過ぎていく。
そんな俺を癒してくれたのは、アニメとアニソンとギャルゲーだった。
特にギャルゲーはプレイをする度に俺を癒してくれる。
今の俺もギャルゲーが大好きだが、前世の俺も、たちまちの内にギャルゲーが大好きになり、はまっていった。
家でも学校でも恵まれない俺の、唯一の楽しみだった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ
みずがめ
恋愛
俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。
そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。
渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。
桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。
俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。
……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。
これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比世界は大変らしい。(ただしイケメンに限る)
@aozora
ファンタジー
ひろし君は狂喜した。「俺ってこの世界の主役じゃね?」
このお話は、男女比が狂った世界で女性に優しくハーレムを目指して邁進する男の物語…ではなく、そんな彼を端から見ながら「頑張れ~」と気のない声援を送る男の物語である。
「第一章 男女比世界へようこそ」完結しました。
男女比世界での脇役少年の日常が描かれています。
「第二章 中二病には罹りませんー中学校編ー」完結しました。
青年になって行く佐々木君、いろんな人との交流が彼を成長させていきます。
ここから何故かあやかし現代ファンタジーに・・・。どうしてこうなった。
「カクヨム」さんが先行投稿になります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる