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第三話 反撃開始
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俺はすのなさんに対する話を続ける。
「今は少し俺への想いが弱くなっていると思いますけど、もう一度、想いを強くしてほしいと思っています。告白をしてもらった時のように。もちろん、俺の嫌なところがあったら言ってください。そこは改善していきます。俺は、すのなさんが好きなんです。この気持ち受け取ってください」
俺はそう言ってすのなさんに対して頭を下げた。
想いよ、通じてほしい。
そう強く思った。
しかし……。
「島森くん、わたしはね、後悔しているの」
すのなさんからの言葉は、予想外のものだった。
後悔……。
それはどういう意味なんだろう?
そう思っていると、すのなさんは、
「わたしはいろいろな男の人に告白されてきた。それこそ小学生の頃からね。自慢するわけではないけど、わたしはモテる女性だったのよ。今まで誰一人として付き合いたいと思う人はいなかった。やさしくて、歯の浮くような言葉をかけてくる人も多かったけど、結局それはすべてうわべだけのものでしかなかった。そして、みんなわたしのタイプではなかったのね。残念ながら。そんな時に、わたしの近くにいたのが島森くんだった、あなたとは、小学校六年生の時に出会い、その後ずっと一緒のクラスで過ごしてきた。心の底からやさしそうな人だとは思っていたし、顔も好みの方だったので、好意は持っていた。そして、コツコツ努力をしていくところにも好意を持っていた。わたしの周囲にいる男の人の中では、一番タイプに近いと思ってはいたの。でも付き合うつもりはなかった。島森くん以上のわたしのタイプの男性が現れることを夢見ていたから。でも一向に現れる様はない。それでも持ち続けていると、わたしの周囲で島森くんにあこがれを持つす女性たちが少しずつ出てきていた。島森くんは、いつも一人ぼっちで、人を寄せ付ける雰囲気がなかった。そして、男性、女性、どちらとも話をすることはほとんどなかった。そうした状態だったので、好意を持つ女性はわたし以外いないだろうと思っていたのに……。その女性たちは、わたしと同じように、島森くんのいいところに好意を持つようになっていたのだと思う。このままでは島森くんに告白する女性が出てきてしまう。もしその女性と島森くんが付き合い出してしまったら、もうわたしの出る幕はない。この島森くんに好意を持っている女性たちと島森くんを付き合わせない為には、わたしが島森くんと付き合うしかないと思うようになってきたの」
「俺は自分ではモテないタイプだとずっと思ってきたんです。好意を持っていた女性たちがいるというのは、初めて聞く話です」
「このままわたしが何もアプローチを島森くんにしなかったら、その女性たちの一人に島森くんを取られてしまう可能性が強かった。わたしはそれに耐えることはできそうもない。島森くんに好意は持っていたけど、それだけでは告白することはなかったと思っている。島森くんに告白した理由の一つは、その女性たちに島森くんへの告白をさせないということだったの」
俺は返す言葉がなかった。
「海定くんが好きになったので、告白したんです」
「海定くんへの好意が強くなってきたので、告白したんです」
すのなさんにはこのような言葉を言ってほしかったのに……。
「そして、周囲でどんどんカップルが誕生していて、おのろけ話を聞かされることも多くなってきた。作り笑いをしながら対応はしていたけど、わたしにとっては自慢話をされているようで、気分は決していいものではないどころか、だんだん聞くだけでもつらいものに変化していった。わたしだって、おのろけ話をして自慢をしたかった。それには男性と付き合わなければならない。でも誰とでもいいわけじゃない。今の時点では、付き合える男性は島森くん以外にいない。島森くんの方はどうなのだろう? わたしに好意を持っていそうな気がする。彼の告白してくるのを待つべくだろうか? いや、奥手であろう彼の告白を待っていたら、それこそ他の女性に奪われてしまう。島森くん以上の男性が現れず、あせっていたわたしは、『わたしの方から告白するしかない』と思った。そして、あなたに告白をしたの。その時点であなたに恋をしていたわけではない。でもさっきもいったように、あなたに好意はもっていた。そして、付き合っていけば、恋をしていけるかもしれないと思ったの。わたしが思っていた通り、付き合っているうちに、だんだんあなたのことを好きになっていった。そして、恋というところまで到達し、あなたと『恋人どうし』になったという認識をした時に告白してくれたのが先輩。わたしは先輩に告白された時、あなたと付き合ったのは失敗だと思った。なんで付き合ってしまったのだろうと思った。先輩とあなたとは魅力が違いすぎたの。学校一のイケメンというのが何と言っても大きいと言えるわ。もうわたしはその時から先輩に夢中になった。あなたの顔も、いいとは思うし、わたしにとっても好みの方だったけど、先輩と比べると大きな差があった。今も思うと、あなたの告白を受けずに、先輩の告白を待っていればよかったと後悔しているわ」
と俺に対して厳しい言葉を言ってくる。
「先輩の告白を待っていればよかった……」
「そうよ。おかげで無駄な時間を過ごすことになってしまったわ」
「そこまでいうことは……。俺にとっては楽しい時間だったのに……」
「それに、あなたはさっき、『もしかしたら結婚する女性ではないかと思ってきました』と言っていたけど、思い上がりも大概にしてほしいわ。どうしてそういうことを思うのかしら。わたしは先輩こそ、結婚する相手だと思っているのに……」
すのなさんはイケメン先輩のことで頭がいっぱいになっているようだ。
このままではイケメン先輩にすのなさんを奪われてしまう。
いや、もう既に奪われかけてしまっている。
どうすれば巻き返すことができるのだろう?
俺は対策が立てられず、苦しみ始めていた。
そんな俺の苦悶を理解するはずもなく……。
「すのな、状況を理解しようとしない人に、もう一度見せつけてやろう」
「はい、先輩。島森くんには、わたしが先輩の恋人であることを、強く認識してもらおうと思います」
二人は抱きしめ合う。
「俺はすのなが好きだ。すのなは俺のものだ。あきらめることだな!」
「わたしは先輩のものです、先輩、好きです!」
うっとりした表情のすのなさん。
そして、唇と唇を重ね合っていく。
ああ、すのなさん……。
どうして、どうして、すのなさんはイケメン先輩のものに……。
「今は少し俺への想いが弱くなっていると思いますけど、もう一度、想いを強くしてほしいと思っています。告白をしてもらった時のように。もちろん、俺の嫌なところがあったら言ってください。そこは改善していきます。俺は、すのなさんが好きなんです。この気持ち受け取ってください」
俺はそう言ってすのなさんに対して頭を下げた。
想いよ、通じてほしい。
そう強く思った。
しかし……。
「島森くん、わたしはね、後悔しているの」
すのなさんからの言葉は、予想外のものだった。
後悔……。
それはどういう意味なんだろう?
そう思っていると、すのなさんは、
「わたしはいろいろな男の人に告白されてきた。それこそ小学生の頃からね。自慢するわけではないけど、わたしはモテる女性だったのよ。今まで誰一人として付き合いたいと思う人はいなかった。やさしくて、歯の浮くような言葉をかけてくる人も多かったけど、結局それはすべてうわべだけのものでしかなかった。そして、みんなわたしのタイプではなかったのね。残念ながら。そんな時に、わたしの近くにいたのが島森くんだった、あなたとは、小学校六年生の時に出会い、その後ずっと一緒のクラスで過ごしてきた。心の底からやさしそうな人だとは思っていたし、顔も好みの方だったので、好意は持っていた。そして、コツコツ努力をしていくところにも好意を持っていた。わたしの周囲にいる男の人の中では、一番タイプに近いと思ってはいたの。でも付き合うつもりはなかった。島森くん以上のわたしのタイプの男性が現れることを夢見ていたから。でも一向に現れる様はない。それでも持ち続けていると、わたしの周囲で島森くんにあこがれを持つす女性たちが少しずつ出てきていた。島森くんは、いつも一人ぼっちで、人を寄せ付ける雰囲気がなかった。そして、男性、女性、どちらとも話をすることはほとんどなかった。そうした状態だったので、好意を持つ女性はわたし以外いないだろうと思っていたのに……。その女性たちは、わたしと同じように、島森くんのいいところに好意を持つようになっていたのだと思う。このままでは島森くんに告白する女性が出てきてしまう。もしその女性と島森くんが付き合い出してしまったら、もうわたしの出る幕はない。この島森くんに好意を持っている女性たちと島森くんを付き合わせない為には、わたしが島森くんと付き合うしかないと思うようになってきたの」
「俺は自分ではモテないタイプだとずっと思ってきたんです。好意を持っていた女性たちがいるというのは、初めて聞く話です」
「このままわたしが何もアプローチを島森くんにしなかったら、その女性たちの一人に島森くんを取られてしまう可能性が強かった。わたしはそれに耐えることはできそうもない。島森くんに好意は持っていたけど、それだけでは告白することはなかったと思っている。島森くんに告白した理由の一つは、その女性たちに島森くんへの告白をさせないということだったの」
俺は返す言葉がなかった。
「海定くんが好きになったので、告白したんです」
「海定くんへの好意が強くなってきたので、告白したんです」
すのなさんにはこのような言葉を言ってほしかったのに……。
「そして、周囲でどんどんカップルが誕生していて、おのろけ話を聞かされることも多くなってきた。作り笑いをしながら対応はしていたけど、わたしにとっては自慢話をされているようで、気分は決していいものではないどころか、だんだん聞くだけでもつらいものに変化していった。わたしだって、おのろけ話をして自慢をしたかった。それには男性と付き合わなければならない。でも誰とでもいいわけじゃない。今の時点では、付き合える男性は島森くん以外にいない。島森くんの方はどうなのだろう? わたしに好意を持っていそうな気がする。彼の告白してくるのを待つべくだろうか? いや、奥手であろう彼の告白を待っていたら、それこそ他の女性に奪われてしまう。島森くん以上の男性が現れず、あせっていたわたしは、『わたしの方から告白するしかない』と思った。そして、あなたに告白をしたの。その時点であなたに恋をしていたわけではない。でもさっきもいったように、あなたに好意はもっていた。そして、付き合っていけば、恋をしていけるかもしれないと思ったの。わたしが思っていた通り、付き合っているうちに、だんだんあなたのことを好きになっていった。そして、恋というところまで到達し、あなたと『恋人どうし』になったという認識をした時に告白してくれたのが先輩。わたしは先輩に告白された時、あなたと付き合ったのは失敗だと思った。なんで付き合ってしまったのだろうと思った。先輩とあなたとは魅力が違いすぎたの。学校一のイケメンというのが何と言っても大きいと言えるわ。もうわたしはその時から先輩に夢中になった。あなたの顔も、いいとは思うし、わたしにとっても好みの方だったけど、先輩と比べると大きな差があった。今も思うと、あなたの告白を受けずに、先輩の告白を待っていればよかったと後悔しているわ」
と俺に対して厳しい言葉を言ってくる。
「先輩の告白を待っていればよかった……」
「そうよ。おかげで無駄な時間を過ごすことになってしまったわ」
「そこまでいうことは……。俺にとっては楽しい時間だったのに……」
「それに、あなたはさっき、『もしかしたら結婚する女性ではないかと思ってきました』と言っていたけど、思い上がりも大概にしてほしいわ。どうしてそういうことを思うのかしら。わたしは先輩こそ、結婚する相手だと思っているのに……」
すのなさんはイケメン先輩のことで頭がいっぱいになっているようだ。
このままではイケメン先輩にすのなさんを奪われてしまう。
いや、もう既に奪われかけてしまっている。
どうすれば巻き返すことができるのだろう?
俺は対策が立てられず、苦しみ始めていた。
そんな俺の苦悶を理解するはずもなく……。
「すのな、状況を理解しようとしない人に、もう一度見せつけてやろう」
「はい、先輩。島森くんには、わたしが先輩の恋人であることを、強く認識してもらおうと思います」
二人は抱きしめ合う。
「俺はすのなが好きだ。すのなは俺のものだ。あきらめることだな!」
「わたしは先輩のものです、先輩、好きです!」
うっとりした表情のすのなさん。
そして、唇と唇を重ね合っていく。
ああ、すのなさん……。
どうして、どうして、すのなさんはイケメン先輩のものに……。
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