50 / 53
第五十話 デートの始まり
しおりを挟む
今日はデートの日。
いつもより起きるのは遅くなってしまった。まだ少し眠い。
外はいい天気。朝ではあるが、少し暑さを感じる。
俺は、まだ頭がボーッとしているところはあったが、いつものように朝食を作り、食べ終える。
時間がそれほどあるわけではないので、全部屋はできないが、主要なところのそうじも行った。
その後、少し休憩する。
俺は彼女に、
「家に迎えに行くよ」
と言ったのだが、
「わたしがおにいちゃんの家に行きますので」
と彼女が言ったので、彼女が来るのを待つことになった。
紗緒里ちゃんは、デ-トの時、恋人を迎えに行くのが、あこがれだったと言っていた。
うん? 恋人?
そうだ。
もう紗緒里ちゃんにとっては、俺は恋人という存在なんだ。
俺は彼女のことを恋人と思っていいのだろうか。
それは、今日の告白がきちんとできるかどうかだろう。
俺は紗緒里ちゃんに告白することに決めた。
紗緒里ちゃんの一途さに、俺は応えていかなくてはいけない。
しかし、今度は告白の仕方について悩み始め、なかなか眠ることができなかった。
その為、ちょっと起きるのがいつもより遅くなってしまい、午前九時起きになってしまった。
午前十一時に彼女は家に来るので、まだ少し時間はあるが、まだ心はフワフワしているところがある。
いくら幼い頃から知っているとは言っても、告白となると話を別だ。
きちんと好きという気持ちを伝えることができるのだろうか。
その時になると、恥ずかしくなって、何も言えなくなってしまうのではないだろうか。
普段の時でさえ、彼女がかわいすぎて。言葉が出なくなる時があるくらいだ。
彼女の方から告白するのを待つという方法もある。
俺から言い出さなければ、彼女の方から言い出すかもしれない。
いや、その可能性は大いにあるだろう。
でもそれでいいのだろうか。
これから恋人どうしとしてうまくやっていくには、俺がリードするくらいにならないといけないと思う。
俺の方も、紗緒里ちゃんと同じ、いやそれ以上に想いを熱くしなければ、恋は続かないだろう。そして、その先にある婚約、結婚にもつながっていかないと思う。
もう迷いは捨てなければならない。
間もなく彼女は家に来る。
今日は、彼女に心ゆくまでデートを楽しんでもらおう。
そして、俺から告白し、恋人どうしになる。
俺は、シャワーを浴び、よく体を洗った。
身だしなみを整え、出かける準備も整えた。後は○○ちゃんが来るのを待つだけだ。
ピンポーン!
俺は玄関に向かった。
扉を開けるとそこには……。
かわいくて、素敵な子がそこにいた。
薄い水色のワンピース。清楚。
いつもいい匂いをしている彼女だが、今日は一段といい匂いがする。
「紗緒里ちゃん、今日は一段とかわいい」
「まあ、おにいちゃんたら。恥ずかしくなってきます」
顔を赤らめる紗緒里ちゃん。
このまま彼女の姿を眺めて、うっとりしていたかったが、そういうわけにもいかない。
「じゃあ、行こう」
「はい」
紗緒里ちゃんはにっこり笑った。
家を出ると、紗緒里ちゃんが申し出る。
「おにいちゃん、今日はずっと手をつないでいきましょう」
「今日ずっと?」
「そうです」
甘い声で俺にささやいてくる紗緒里ちゃん。
今までは、それほど長い時間手をつないでいることはなかった。
それが今日は、一日ずっとしていたいと言う。
さすがに今日ずっとというのは恥ずかしい気がする。
でも俺は、告白という、もっと恥ずかしいことをしようとしている。
それに比べれば、手をつなぐということは、経験はしているので、それが一日ずっとということであっても、受け入れることはできるだろうと思う。
とはいうものの、彼女の手を握ると、心は熱くなってくる。
これは、再会して初めて手を握った時から変わっていない。
次第に慣れてくるものだと思ったのだが、全くそういうことはない。それどころか、熱さは増す一方だ。
それだけ彼女のことが好きになっていっているということなんだろう。
「いいですよね。デートですもの」
俺は彼女の申し出を受けることに決めた。
「いいよ」
「ありがとうございます」
うれしそうな紗緒里ちゃん。
「おにいちゃん。それでは」
紗緒里ちゃんは、顔を赤くしながら、俺の手を握る。
その瞬間、俺の心は一挙に熱くなった。
駅までの通り道に公園がある。木々が青々としている。
風がさわやかで気持ちいい。
その中を俺達は駅まで歩いて行く。
「おにいちゃん、わたし、これだけでも今日はよかったと思っています。今まではちょっとしか手を握れなくて、寂しい思いをしていたんですけど、こんなにいい天気で、さわやかな休日に、おにいちゃんと手をつないで歩けるんですから」
恥ずかしそうに言うその姿がまたかわいい。
「俺も紗緒里ちゃんとこうして歩けてうれしいと思っているけど、まだ今日は始まったばかりだよ。これから二人でもっと楽しい時間を過ごしていこう」
俺は恥ずかしい気持ちになりながらそう言った。
今までの俺には言えなかった言葉。
俺は彼女にこういう言葉を自然と言えるようになってきていると思う。
こういう調子でいけば、今日、告白はできると思うんだけど……。
「そうですね。これからデートをしていくんですものね。おにいちゃん、好きです。好きです。今日いっぱい言いますね」
そう言うと、紗緒里ちゃんは微笑んだ。
いつもより起きるのは遅くなってしまった。まだ少し眠い。
外はいい天気。朝ではあるが、少し暑さを感じる。
俺は、まだ頭がボーッとしているところはあったが、いつものように朝食を作り、食べ終える。
時間がそれほどあるわけではないので、全部屋はできないが、主要なところのそうじも行った。
その後、少し休憩する。
俺は彼女に、
「家に迎えに行くよ」
と言ったのだが、
「わたしがおにいちゃんの家に行きますので」
と彼女が言ったので、彼女が来るのを待つことになった。
紗緒里ちゃんは、デ-トの時、恋人を迎えに行くのが、あこがれだったと言っていた。
うん? 恋人?
そうだ。
もう紗緒里ちゃんにとっては、俺は恋人という存在なんだ。
俺は彼女のことを恋人と思っていいのだろうか。
それは、今日の告白がきちんとできるかどうかだろう。
俺は紗緒里ちゃんに告白することに決めた。
紗緒里ちゃんの一途さに、俺は応えていかなくてはいけない。
しかし、今度は告白の仕方について悩み始め、なかなか眠ることができなかった。
その為、ちょっと起きるのがいつもより遅くなってしまい、午前九時起きになってしまった。
午前十一時に彼女は家に来るので、まだ少し時間はあるが、まだ心はフワフワしているところがある。
いくら幼い頃から知っているとは言っても、告白となると話を別だ。
きちんと好きという気持ちを伝えることができるのだろうか。
その時になると、恥ずかしくなって、何も言えなくなってしまうのではないだろうか。
普段の時でさえ、彼女がかわいすぎて。言葉が出なくなる時があるくらいだ。
彼女の方から告白するのを待つという方法もある。
俺から言い出さなければ、彼女の方から言い出すかもしれない。
いや、その可能性は大いにあるだろう。
でもそれでいいのだろうか。
これから恋人どうしとしてうまくやっていくには、俺がリードするくらいにならないといけないと思う。
俺の方も、紗緒里ちゃんと同じ、いやそれ以上に想いを熱くしなければ、恋は続かないだろう。そして、その先にある婚約、結婚にもつながっていかないと思う。
もう迷いは捨てなければならない。
間もなく彼女は家に来る。
今日は、彼女に心ゆくまでデートを楽しんでもらおう。
そして、俺から告白し、恋人どうしになる。
俺は、シャワーを浴び、よく体を洗った。
身だしなみを整え、出かける準備も整えた。後は○○ちゃんが来るのを待つだけだ。
ピンポーン!
俺は玄関に向かった。
扉を開けるとそこには……。
かわいくて、素敵な子がそこにいた。
薄い水色のワンピース。清楚。
いつもいい匂いをしている彼女だが、今日は一段といい匂いがする。
「紗緒里ちゃん、今日は一段とかわいい」
「まあ、おにいちゃんたら。恥ずかしくなってきます」
顔を赤らめる紗緒里ちゃん。
このまま彼女の姿を眺めて、うっとりしていたかったが、そういうわけにもいかない。
「じゃあ、行こう」
「はい」
紗緒里ちゃんはにっこり笑った。
家を出ると、紗緒里ちゃんが申し出る。
「おにいちゃん、今日はずっと手をつないでいきましょう」
「今日ずっと?」
「そうです」
甘い声で俺にささやいてくる紗緒里ちゃん。
今までは、それほど長い時間手をつないでいることはなかった。
それが今日は、一日ずっとしていたいと言う。
さすがに今日ずっとというのは恥ずかしい気がする。
でも俺は、告白という、もっと恥ずかしいことをしようとしている。
それに比べれば、手をつなぐということは、経験はしているので、それが一日ずっとということであっても、受け入れることはできるだろうと思う。
とはいうものの、彼女の手を握ると、心は熱くなってくる。
これは、再会して初めて手を握った時から変わっていない。
次第に慣れてくるものだと思ったのだが、全くそういうことはない。それどころか、熱さは増す一方だ。
それだけ彼女のことが好きになっていっているということなんだろう。
「いいですよね。デートですもの」
俺は彼女の申し出を受けることに決めた。
「いいよ」
「ありがとうございます」
うれしそうな紗緒里ちゃん。
「おにいちゃん。それでは」
紗緒里ちゃんは、顔を赤くしながら、俺の手を握る。
その瞬間、俺の心は一挙に熱くなった。
駅までの通り道に公園がある。木々が青々としている。
風がさわやかで気持ちいい。
その中を俺達は駅まで歩いて行く。
「おにいちゃん、わたし、これだけでも今日はよかったと思っています。今まではちょっとしか手を握れなくて、寂しい思いをしていたんですけど、こんなにいい天気で、さわやかな休日に、おにいちゃんと手をつないで歩けるんですから」
恥ずかしそうに言うその姿がまたかわいい。
「俺も紗緒里ちゃんとこうして歩けてうれしいと思っているけど、まだ今日は始まったばかりだよ。これから二人でもっと楽しい時間を過ごしていこう」
俺は恥ずかしい気持ちになりながらそう言った。
今までの俺には言えなかった言葉。
俺は彼女にこういう言葉を自然と言えるようになってきていると思う。
こういう調子でいけば、今日、告白はできると思うんだけど……。
「そうですね。これからデートをしていくんですものね。おにいちゃん、好きです。好きです。今日いっぱい言いますね」
そう言うと、紗緒里ちゃんは微笑んだ。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
俺にはロシア人ハーフの許嫁がいるらしい。
夜兎ましろ
青春
高校入学から約半年が経ったある日。
俺たちのクラスに転入生がやってきたのだが、その転入生は俺――雪村翔(ゆきむら しょう)が幼い頃に結婚を誓い合ったロシア人ハーフの美少女だった……!?
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる