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第九話 料理のうまい紗緒里ちゃん
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俺は今、夢の世界にいる。
エプロンを着けた美少女が、俺の家でこれから晩ご飯を作ろうとしているのだ。
満面の笑みを浮かべ、料理を作っていく女の子。
楽しそうだ。
その姿を見ているだけでも、心が高揚していく。
俺はこういうシチュエーションに、中学校の頃からあこがれていた。でも、女の子の友達すらほとんどいない俺には、無理な話だと思っていた。
あきらめていたわけではない。
俺は今高校二年生。高校卒業まで後二年ある。この間に恋人を作り、家で手料理を作ってもらうのだ。
もちろん、それだけではない。デートをしたり、いろいろ楽しい思い出を一緒に作りたい。
その想いが強くなっていた。
そうしたところへ、俺の前に現れた美少女。
容姿は俺好み。料理もこなしてくれるとなれば、好意は強まっていくのが普通だ。
ああ抱きしめたい。そして、キスしたい。
そういう気持ちが大きくなってきている。
しかし……。
一方では、そういう気持ちを抱いていいのだろうかという気持ちも根強い。その思いは、さっきからずっと俺の心の中で湧き上がり続けている。
紗緒里ちゃん。俺のいとこ。
いとこでなければ、と痛切に思う。
もちろん結婚はできるので、付き合うこと自体も何の問題もない。
ないんだけど……。
妹的存在から一挙に恋人へと言うのは、あまりにも飛躍がすごすぎる。
彼女の方だってそうだ。
兄として慕っていた人間を恋人として想うことなんてできるものなんだろうか。
それとも世間ではそういう例が、俺が知らないだけで結構多いということなんだろうか。
もし結構多いとしたら、別に特別なことではないのかもしれない。
いや、これは、一般的にどうなのかということではなくて、俺がどう思うかということなんだろう。
俺が彼女を恋する対象として、想えるかどうか、それだけだと思う。
そこはどうなんだろう。そう想えることができるのだろうか。
うーん。今はまだ結論は出せない。
魅力的な子に育っているのは間違いないのだが……。
俺がいろいろ悩んでいると、
「おにいちゃん、出来ましたよ」
と言って、紗緒里ちゃんが料理を運んでくる。
紗緒里ちゃんは、肉じゃがを作ってくれた。いい匂いがする。おいしそうだ。
「おにいちゃんの口に合うかどうかはわからないですけど」
「いや、作ってくれるだけでうれしいよ。なにせいつもは、食材の買い出しから料理まで全部やらなくちゃいけなくて。結構手間なんだよな」
俺と紗緒里ちゃんは席に着く。
「いただきます」
俺がそう言うと、紗緒里ちゃんも
「いただきます」
と言った。
二人とも食べ始める。
「おいしい」
味付けがとてもいい。
五年前までは、料理をしていた印象はなかったのだが、それから料理をするようになったのだろう。ここまで上達している。たいしたものだ。
「ありがとうございます。褒めていただいてうれしいです」
「こんなおいしい料理を食べさせてくれてありがとう」
「そんな。わたしは精一杯作っただけです。今までおにいちゃんの為にと思って、家で料理を練習してきました。最初は下手だったんですけど、最近ようやく自信をもってきたところでした」
「そうだったんだ」
たくさん練習してきたんだなあ。
「でもこれでおにいちゃんのお嫁さんに一歩近づいたかも」
顔を赤くする紗緒里ちゃん。
「お、お嫁さん……」
「はい。そうです」
恥ずかしそうに言う紗緒里ちゃん。
俺が今、彼女に、
「俺と結婚してほしい」
と言えばOKしてくれて、俺のお嫁さんになってくれるのだろう。
そう言いたい気持ちも強くなってくる。
でも俺達はまだ付き合ってもいないのだ。すべてはそれからだ。
食べた後の片付けは二人でする。
洗い物は俺。彼女にはテーブルをふいてもらった。
最初彼女は、
「片付けもわたしがしますから、おにいちゃんはくつろいでください」
と言ってくれたのだが、彼女にばかりしてもらうわけにはいかないので、
「いや、いつも自分でしていることだから。紗緒里ちゃんこそ疲れただろう。少し休んで」
と言った。
「おにいちゃん、優しいですね」
「だって、こんなにおいしい料理を作ってもらったんだ。片付けくらいはしないとね」
「でも……」
「いいって。これくらい」
「じゃあ、せめてテ-ブルだけでもふかせてください」
「うーん。テーブルもやるつもりだったんだけど」
「いいですよね」
「まあ紗緒里ちゃんが大変じゃないなら」
「ありがとうございます。おにいちゃん、わたしのことを想っていてくれてうれしいです」
そして、二人で分担した片付けは終わった。
今はソファに座り、コーヒーを飲みながらくつろいでいた。
ソファでは隣りどうし。
「おにいちゃん、いつも大変なんですね」
「まあ一人で住んでいるんだからあたり前のことだけどな」
「でも毎日それを続けることができているんですから、尊敬します」
「尊敬するほどじゃないと思うよ。だって、自分で作らなきゃ、毎日外食か弁当になっちゃうじゃない。もちろん、その方がいいと思う人もいると思うけど、俺にとっては自分で作った方が味の調節ができるからいい気がするよ」
「それはそうかもしれないですけど。でも、やっぱり自分で作るのはすごいと思います」
エプロンを着けた美少女が、俺の家でこれから晩ご飯を作ろうとしているのだ。
満面の笑みを浮かべ、料理を作っていく女の子。
楽しそうだ。
その姿を見ているだけでも、心が高揚していく。
俺はこういうシチュエーションに、中学校の頃からあこがれていた。でも、女の子の友達すらほとんどいない俺には、無理な話だと思っていた。
あきらめていたわけではない。
俺は今高校二年生。高校卒業まで後二年ある。この間に恋人を作り、家で手料理を作ってもらうのだ。
もちろん、それだけではない。デートをしたり、いろいろ楽しい思い出を一緒に作りたい。
その想いが強くなっていた。
そうしたところへ、俺の前に現れた美少女。
容姿は俺好み。料理もこなしてくれるとなれば、好意は強まっていくのが普通だ。
ああ抱きしめたい。そして、キスしたい。
そういう気持ちが大きくなってきている。
しかし……。
一方では、そういう気持ちを抱いていいのだろうかという気持ちも根強い。その思いは、さっきからずっと俺の心の中で湧き上がり続けている。
紗緒里ちゃん。俺のいとこ。
いとこでなければ、と痛切に思う。
もちろん結婚はできるので、付き合うこと自体も何の問題もない。
ないんだけど……。
妹的存在から一挙に恋人へと言うのは、あまりにも飛躍がすごすぎる。
彼女の方だってそうだ。
兄として慕っていた人間を恋人として想うことなんてできるものなんだろうか。
それとも世間ではそういう例が、俺が知らないだけで結構多いということなんだろうか。
もし結構多いとしたら、別に特別なことではないのかもしれない。
いや、これは、一般的にどうなのかということではなくて、俺がどう思うかということなんだろう。
俺が彼女を恋する対象として、想えるかどうか、それだけだと思う。
そこはどうなんだろう。そう想えることができるのだろうか。
うーん。今はまだ結論は出せない。
魅力的な子に育っているのは間違いないのだが……。
俺がいろいろ悩んでいると、
「おにいちゃん、出来ましたよ」
と言って、紗緒里ちゃんが料理を運んでくる。
紗緒里ちゃんは、肉じゃがを作ってくれた。いい匂いがする。おいしそうだ。
「おにいちゃんの口に合うかどうかはわからないですけど」
「いや、作ってくれるだけでうれしいよ。なにせいつもは、食材の買い出しから料理まで全部やらなくちゃいけなくて。結構手間なんだよな」
俺と紗緒里ちゃんは席に着く。
「いただきます」
俺がそう言うと、紗緒里ちゃんも
「いただきます」
と言った。
二人とも食べ始める。
「おいしい」
味付けがとてもいい。
五年前までは、料理をしていた印象はなかったのだが、それから料理をするようになったのだろう。ここまで上達している。たいしたものだ。
「ありがとうございます。褒めていただいてうれしいです」
「こんなおいしい料理を食べさせてくれてありがとう」
「そんな。わたしは精一杯作っただけです。今までおにいちゃんの為にと思って、家で料理を練習してきました。最初は下手だったんですけど、最近ようやく自信をもってきたところでした」
「そうだったんだ」
たくさん練習してきたんだなあ。
「でもこれでおにいちゃんのお嫁さんに一歩近づいたかも」
顔を赤くする紗緒里ちゃん。
「お、お嫁さん……」
「はい。そうです」
恥ずかしそうに言う紗緒里ちゃん。
俺が今、彼女に、
「俺と結婚してほしい」
と言えばOKしてくれて、俺のお嫁さんになってくれるのだろう。
そう言いたい気持ちも強くなってくる。
でも俺達はまだ付き合ってもいないのだ。すべてはそれからだ。
食べた後の片付けは二人でする。
洗い物は俺。彼女にはテーブルをふいてもらった。
最初彼女は、
「片付けもわたしがしますから、おにいちゃんはくつろいでください」
と言ってくれたのだが、彼女にばかりしてもらうわけにはいかないので、
「いや、いつも自分でしていることだから。紗緒里ちゃんこそ疲れただろう。少し休んで」
と言った。
「おにいちゃん、優しいですね」
「だって、こんなにおいしい料理を作ってもらったんだ。片付けくらいはしないとね」
「でも……」
「いいって。これくらい」
「じゃあ、せめてテ-ブルだけでもふかせてください」
「うーん。テーブルもやるつもりだったんだけど」
「いいですよね」
「まあ紗緒里ちゃんが大変じゃないなら」
「ありがとうございます。おにいちゃん、わたしのことを想っていてくれてうれしいです」
そして、二人で分担した片付けは終わった。
今はソファに座り、コーヒーを飲みながらくつろいでいた。
ソファでは隣りどうし。
「おにいちゃん、いつも大変なんですね」
「まあ一人で住んでいるんだからあたり前のことだけどな」
「でも毎日それを続けることができているんですから、尊敬します」
「尊敬するほどじゃないと思うよ。だって、自分で作らなきゃ、毎日外食か弁当になっちゃうじゃない。もちろん、その方がいいと思う人もいると思うけど、俺にとっては自分で作った方が味の調節ができるからいい気がするよ」
「それはそうかもしれないですけど。でも、やっぱり自分で作るのはすごいと思います」
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