【カクヨムに移行】【火、木以外毎日更新】ヴァンパイア・エンパイア英雄譚~吸血族は悪じゃない~

クラプト/松浜神ヰ

文字の大きさ
上 下
34 / 36
日本神話篇

第1話 和の領域ジッパン、そして偶像

しおりを挟む
王国オデヌヘイムの王女と帝国フェリエの王子の見合いの途中、謎の侵略によって国王が死亡。その地域は新しい国ができるという話になった。

「王様、へルヴィアがいなくなって数日経ちますが…」
「いや、あれでよかった。第一へルヴィアはあの見合いを嫌がっていたし、もしも殺さなければならなくなった時に俺が殺せるなら」
「…そうですか」
「そうだシドラたち、新しい任務を頼もうじゃないか。ジッパンという地域を聞いたことはあるか?」
「ありますが、そこがどうかしましたか?」
「実は、あの地域はあの『七つの大罪』のベルゼブブが支配していて、異世界のニッポンという国からの召喚者が多く集う地域だ」
「そうですか、あのベルゼブブが支配しているから気をつけろ、っていうことですか?」
「それだけじゃない。あの地域は偶像アイドル、という衣装を着た少年少女が歌ったり踊ったりする文化が盛んで、その影響で起こる犯罪も多いようだ。」

「それは、白拍子というものですかな?」
「あなたは?」
「失礼。わしは先日の侵攻を実行したうちの1人、安達藤九郎盛長でございます。儂の知る白拍子というのはですな、遊女が歌舞でございまして、佐どのも大変気に召していました。特に反逆児、九郎義経の妻であった静御前しずごぜんは都でも評判の良い遊女でして…」

「貴様、どうやらジッパンについて詳しいようだな。本来ならば不法侵入は重罪に問うべきだが、シドラたちの偵察について行ってサポートをし、無事に連れ帰って来ることができたらゆるしてやろう」
「ご容赦、まことに感謝致します」
「それではシドラ、頼むぞ」


その日の夜、僕たちは全員で集合した後、藤九郎さんのテレポーションですぐにジッパンへ行くことができた。
そこは、本でしか見たことがない『和』という生活様式になっていた。どうやら、王様の言っていた偶像アイドルのショーらしきものが丁度行われているらしく、周囲は歓声を上げる人々であふれていた。
すると、拡声魔法でも使っているのか、解説者らしき人の声が聞こえた。

「さて、今日のラストを飾るのは、デビューわずか数か月で人気アイドルの一員になったこの、モーネス・グディーンです!!!」

ひときわ大きくなる歓声と、そのどこかで聞いたような名前に釣られてステージの上を見ると、そこには銀髪を揺らす兎人カニーナーの少女がいた。

「みんなー、いっくよー!!」
(作者:ここでMitchie Mの「ビバハピ」とか来たらテンション上がるくね?最悪アイドル系の曲なら)


気が付くと、僕はその歌に聞き入っていた。すると、横から誰かに腕をグイと引っ張られた。

「アンタもモネ子の歌気に入ったか?」
「あなたは誰…って、『七つの大罪』のベルゼブブ!?」
「せやで。そうおどろかんでもええんとちゃうか?」
「あ、確かこの地域というか、ジッパンを支配してるんですっけ?」
「支配ちゃう、統治任されとるだけやわ。で、今日はどないしたん?」
「シグルド様にこの地域を偵察してこいって言われたので…」
「あのドアホ!何べん心配いらへん言うても送り込んでやがって…」

そんなことを話していると、ステージの方から誰かが走ってきた。

「シドラくーん!!ひっさしぶり!!」
「…やっぱり、モネちゃんだった?大きくなったね」
「どこ見て言ってるのかな~?なんてね。さっきのライブ、見てくれたよね?」
「うん…。可愛かったよ」
「褒める時に顔が赤くなるのは昔っから変わってないみたいだね。嬉しい♪」

「お兄ちゃん、この人誰?」
「ご主人様、もしかして知り合い?」
「と言うか…、幼なじみ、です」
「「えぇ~~!?」」

「シドラくん、何水臭いこと言ってるの?私たち、ずっと遠距離恋愛してたカップルでしょ?」
「「「…え?」」」
「で、でも、モネちゃんだって昔は違うって…」
「でも、今はカップルだと思ってるよ。仲良くしてくれたし、私がドジした時は絆創膏とかくれたし、何より、ずっと私のそばに居てくれたじゃん。」
「…けど、僕はモネちゃんを傷つけた。」
「…何の話?私、1回もシドラくんに傷つけられたことなんか…」
「それに、今の僕にはもう1人好きになってしまった人がいる」
「…っ!?そ、それ、どういうこと?じょ、冗談だよね?」
世界樹ユグドラシルに行った時、アスモデウスが連れていた72柱の1人、ゼパルに呪いをかけられて、その所為で、この娘、アオイまで好きになっちゃったんだ…。今でもモネちゃんのことは好きなのに、モネちゃんの方が好きなのに…」

「…え?お兄ちゃん、私を好きだったのって、そういうこと、だったの?ウソだよね、ねぇ、ウソって言ってよ!」
「僕はもう好きな人にウソはけないんだ!!モネちゃんに吐いたウソは、今でもモネちゃんのトラウマになってるかもしれないのに…。あの祭りの日の化け物の話…」
「え?あの化け物とシドラくんって何か関係あったの?」
「ああ、あったよ。しかも…」

「さっきから何話しとるか知らんけど一旦しまいにしてくれや。モネ子、いつもの店で打ち上げや」
「う、うん。シドラくんたちも来る?」

「…なら、お言葉に甘えて」

こうして、突然の再開は、僕を苦しませた。

続く
※キャラ紹介②の情報を更新しました。
しおりを挟む
物干しざおの勇者の公式:https://www.youtube.com/channel/UC2NYvYka59n9KGEt1dhSV2A
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...