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日本神話篇
第1話 和の領域ジッパン、そして偶像
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王国オデヌヘイムの王女と帝国フェリエの王子の見合いの途中、謎の侵略によって国王が死亡。その地域は新しい国ができるという話になった。
「王様、へルヴィアがいなくなって数日経ちますが…」
「いや、あれでよかった。第一へルヴィアはあの見合いを嫌がっていたし、もしも殺さなければならなくなった時に俺が殺せるなら」
「…そうですか」
「そうだシドラたち、新しい任務を頼もうじゃないか。ジッパンという地域を聞いたことはあるか?」
「ありますが、そこがどうかしましたか?」
「実は、あの地域はあの『七つの大罪』のベルゼブブが支配していて、異世界のニッポンという国からの召喚者が多く集う地域だ」
「そうですか、あのベルゼブブが支配しているから気をつけろ、っていうことですか?」
「それだけじゃない。あの地域は偶像、という衣装を着た少年少女が歌ったり踊ったりする文化が盛んで、その影響で起こる犯罪も多いようだ。」
「それは、白拍子というものですかな?」
「あなたは?」
「失礼。儂は先日の侵攻を実行したうちの1人、安達藤九郎盛長でございます。儂の知る白拍子というのはですな、遊女が歌舞でございまして、佐どのも大変気に召していました。特に反逆児、九郎義経の妻であった静御前は都でも評判の良い遊女でして…」
「貴様、どうやらジッパンについて詳しいようだな。本来ならば不法侵入は重罪に問うべきだが、シドラたちの偵察について行ってサポートをし、無事に連れ帰って来ることができたら赦してやろう」
「ご容赦、まことに感謝致します」
「それではシドラ、頼むぞ」
*
その日の夜、僕たちは全員で集合した後、藤九郎さんのテレポーションですぐにジッパンへ行くことができた。
そこは、本でしか見たことがない『和』という生活様式になっていた。どうやら、王様の言っていた偶像のショーらしきものが丁度行われているらしく、周囲は歓声を上げる人々であふれていた。
すると、拡声魔法でも使っているのか、解説者らしき人の声が聞こえた。
「さて、今日のラストを飾るのは、デビューわずか数か月で人気アイドルの一員になったこの娘、モーネス・グディーンです!!!」
ひときわ大きくなる歓声と、そのどこかで聞いたような名前に釣られてステージの上を見ると、そこには銀髪を揺らす兎人の少女がいた。
「みんなー、いっくよー!!」
(作者:ここでMitchie Mの「ビバハピ」とか来たらテンション上がるくね?最悪アイドル系の曲なら)
*
気が付くと、僕はその歌に聞き入っていた。すると、横から誰かに腕をグイと引っ張られた。
「アンタもモネ子の歌気に入ったか?」
「あなたは誰…って、『七つの大罪』のベルゼブブ!?」
「せやで。そう驚かんでもええんとちゃうか?」
「あ、確かこの地域というか、ジッパンを支配してるんですっけ?」
「支配ちゃう、統治任されとるだけやわ。で、今日はどないしたん?」
「シグルド様にこの地域を偵察してこいって言われたので…」
「あのドアホ!何べん心配いらへん言うても送り込んで来やがって…」
そんなことを話していると、ステージの方から誰かが走ってきた。
「シドラくーん!!ひっさしぶり!!」
「…やっぱり、モネちゃんだった?大きくなったね」
「どこ見て言ってるのかな~?なんてね。さっきのライブ、見てくれたよね?」
「うん…。可愛かったよ」
「褒める時に顔が赤くなるのは昔っから変わってないみたいだね。嬉しい♪」
「お兄ちゃん、この人誰?」
「ご主人様、もしかして知り合い?」
「と言うか…、幼なじみ、です」
「「えぇ~~!?」」
「シドラくん、何水臭いこと言ってるの?私たち、ずっと遠距離恋愛してたカップルでしょ?」
「「「…え?」」」
「で、でも、モネちゃんだって昔は違うって…」
「でも、今はカップルだと思ってるよ。仲良くしてくれたし、私がドジした時は絆創膏とかくれたし、何より、ずっと私のそばに居てくれたじゃん。」
「…けど、僕はモネちゃんを傷つけた。」
「…何の話?私、1回もシドラくんに傷つけられたことなんか…」
「それに、今の僕にはもう1人好きになってしまった人がいる」
「…っ!?そ、それ、どういうこと?じょ、冗談だよね?」
「世界樹に行った時、アスモデウスが連れていた72柱の1人、ゼパルに呪いをかけられて、その所為で、この娘、アオイまで好きになっちゃったんだ…。今でもモネちゃんのことは好きなのに、モネちゃんの方が好きなのに…」
「…え?お兄ちゃん、私を好きだったのって、そういうこと、だったの?ウソだよね、ねぇ、ウソって言ってよ!」
「僕はもう好きな人にウソは吐けないんだ!!モネちゃんに吐いたウソは、今でもモネちゃんのトラウマになってるかもしれないのに…。あの祭りの日の化け物の話…」
「え?あの化け物とシドラくんって何か関係あったの?」
「ああ、あったよ。しかも…」
「さっきから何話しとるか知らんけど一旦終いにしてくれや。モネ子、いつもの店で打ち上げや」
「う、うん。シドラくんたちも来る?」
「…なら、お言葉に甘えて」
こうして、突然の再開は、僕を苦しませた。
続く
※キャラ紹介②の情報を更新しました。
「王様、へルヴィアがいなくなって数日経ちますが…」
「いや、あれでよかった。第一へルヴィアはあの見合いを嫌がっていたし、もしも殺さなければならなくなった時に俺が殺せるなら」
「…そうですか」
「そうだシドラたち、新しい任務を頼もうじゃないか。ジッパンという地域を聞いたことはあるか?」
「ありますが、そこがどうかしましたか?」
「実は、あの地域はあの『七つの大罪』のベルゼブブが支配していて、異世界のニッポンという国からの召喚者が多く集う地域だ」
「そうですか、あのベルゼブブが支配しているから気をつけろ、っていうことですか?」
「それだけじゃない。あの地域は偶像、という衣装を着た少年少女が歌ったり踊ったりする文化が盛んで、その影響で起こる犯罪も多いようだ。」
「それは、白拍子というものですかな?」
「あなたは?」
「失礼。儂は先日の侵攻を実行したうちの1人、安達藤九郎盛長でございます。儂の知る白拍子というのはですな、遊女が歌舞でございまして、佐どのも大変気に召していました。特に反逆児、九郎義経の妻であった静御前は都でも評判の良い遊女でして…」
「貴様、どうやらジッパンについて詳しいようだな。本来ならば不法侵入は重罪に問うべきだが、シドラたちの偵察について行ってサポートをし、無事に連れ帰って来ることができたら赦してやろう」
「ご容赦、まことに感謝致します」
「それではシドラ、頼むぞ」
*
その日の夜、僕たちは全員で集合した後、藤九郎さんのテレポーションですぐにジッパンへ行くことができた。
そこは、本でしか見たことがない『和』という生活様式になっていた。どうやら、王様の言っていた偶像のショーらしきものが丁度行われているらしく、周囲は歓声を上げる人々であふれていた。
すると、拡声魔法でも使っているのか、解説者らしき人の声が聞こえた。
「さて、今日のラストを飾るのは、デビューわずか数か月で人気アイドルの一員になったこの娘、モーネス・グディーンです!!!」
ひときわ大きくなる歓声と、そのどこかで聞いたような名前に釣られてステージの上を見ると、そこには銀髪を揺らす兎人の少女がいた。
「みんなー、いっくよー!!」
(作者:ここでMitchie Mの「ビバハピ」とか来たらテンション上がるくね?最悪アイドル系の曲なら)
*
気が付くと、僕はその歌に聞き入っていた。すると、横から誰かに腕をグイと引っ張られた。
「アンタもモネ子の歌気に入ったか?」
「あなたは誰…って、『七つの大罪』のベルゼブブ!?」
「せやで。そう驚かんでもええんとちゃうか?」
「あ、確かこの地域というか、ジッパンを支配してるんですっけ?」
「支配ちゃう、統治任されとるだけやわ。で、今日はどないしたん?」
「シグルド様にこの地域を偵察してこいって言われたので…」
「あのドアホ!何べん心配いらへん言うても送り込んで来やがって…」
そんなことを話していると、ステージの方から誰かが走ってきた。
「シドラくーん!!ひっさしぶり!!」
「…やっぱり、モネちゃんだった?大きくなったね」
「どこ見て言ってるのかな~?なんてね。さっきのライブ、見てくれたよね?」
「うん…。可愛かったよ」
「褒める時に顔が赤くなるのは昔っから変わってないみたいだね。嬉しい♪」
「お兄ちゃん、この人誰?」
「ご主人様、もしかして知り合い?」
「と言うか…、幼なじみ、です」
「「えぇ~~!?」」
「シドラくん、何水臭いこと言ってるの?私たち、ずっと遠距離恋愛してたカップルでしょ?」
「「「…え?」」」
「で、でも、モネちゃんだって昔は違うって…」
「でも、今はカップルだと思ってるよ。仲良くしてくれたし、私がドジした時は絆創膏とかくれたし、何より、ずっと私のそばに居てくれたじゃん。」
「…けど、僕はモネちゃんを傷つけた。」
「…何の話?私、1回もシドラくんに傷つけられたことなんか…」
「それに、今の僕にはもう1人好きになってしまった人がいる」
「…っ!?そ、それ、どういうこと?じょ、冗談だよね?」
「世界樹に行った時、アスモデウスが連れていた72柱の1人、ゼパルに呪いをかけられて、その所為で、この娘、アオイまで好きになっちゃったんだ…。今でもモネちゃんのことは好きなのに、モネちゃんの方が好きなのに…」
「…え?お兄ちゃん、私を好きだったのって、そういうこと、だったの?ウソだよね、ねぇ、ウソって言ってよ!」
「僕はもう好きな人にウソは吐けないんだ!!モネちゃんに吐いたウソは、今でもモネちゃんのトラウマになってるかもしれないのに…。あの祭りの日の化け物の話…」
「え?あの化け物とシドラくんって何か関係あったの?」
「ああ、あったよ。しかも…」
「さっきから何話しとるか知らんけど一旦終いにしてくれや。モネ子、いつもの店で打ち上げや」
「う、うん。シドラくんたちも来る?」
「…なら、お言葉に甘えて」
こうして、突然の再開は、僕を苦しませた。
続く
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