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外伝 紅の鎖苦羅解放軍
第2話 安達藤九郎盛長
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村の診療所で診断を受け、体中を骨折していることが分かった神撫は入院、リハビリを経て殴り込みからおよそ7か月が経ち、9歳も半分以上終わっていた。
「ごめんね、幸那。私が誘ったのに待たせちゃって」
「いいんだよ。だって神撫は私の親友だからさ。それで、革命って具体的にはどうやってやるの?」
「えっと…。そ、そうだ!まずはこの村で協力してくれる人を探して、あの国に行くまでに通る町でも探して、あとは…当たって砕けろだ」
「ほんと神撫って計画性無いよね…、まあ神撫らしくて嫌いじゃないけど。そんな危ないことするならもっと計画的にやらないと神撫のお父さんとお母さんが悲しむよ」
「そ、それはそうだね。でも、仲間ってどうやって集めれば…」
「村のみんなに私たちの計画を伝えて共感してもらうしかないよ」
その幸那の提案で、私たちは村で協力者を休むことなく探し続けた。でも、誰一人として協力者にはなってくれなかった。
「どうしよう…。このままじゃ革命が…」
「もうアイツに頼るしかないのかな」
「アイツって…。もしかして幸那、まだあのことを根に…」
「そりゃあれは私も悪かったのかもしれないけど、一番悪いのはアイツなんだからね!?された側は忘れないよ!」
「それでも幸那は…」
「神撫の為なら私は何だっていいの!」
「そっか。ありがとう」
*
「リリー、久しぶりに来たぞ。」
「神撫、久しいね。今日は一人か?」
「いや、幸那も来てるけど入り口のところに隠れてるだけ」
「おい幸那、今日もノーパ…」
「そういうことは外に聞こえる大きい声で言わないでよ‼まったく、あのことまだ反省してないでしょ!?」
「あ、覚えてたのか。てっきり忘れてるモンだと思って…」
「言い訳はいいから、早く依頼受けてよ!」
「はいはい。で、どんな傑隷が欲しい?」
「主に従順で、文武両道で、主の為にどんなこともできるような男の傑隷かな」
「注文が多いんだよ。召喚する側の身にもなりやがれ。…まあ、親友?ではあるし割引はしといてやるよ」
「今親友の後に“?”付いてたよね!?まあ、実際私に酷いことしたけどさ!」
「それは幸那がノ…」
「それ以上言っちゃダメ!!」
「それじゃあリリー、召喚頼むよ。」
「その間、オレの邪魔したら許さねぇからな」
そう言うと、リリーは傑隷の召喚を始めた。
リリー ―― 百合・ロメニア。
召喚術師としては若い16歳にして自由な条件に合わせて異世界人を召喚、隷属にする隷属召喚の術を生み出し、世界から注目を集めている私の幼馴染みだ。
他人にいいように使われるのが気に入らなかったのか、あの王国オデヌヘイムからの招待すら拒んだけど、私はリリーがそうした理由を知っている。何しろ、あの娘は人見知りでツンデレ(デレマシマシ)で鋭い直感の持ち主という複合属性だから。
「神撫、今私の属性が云々とか考えたりしてんじゃないだろうな?」
「そ、そんなことは考えてないけど…」
「けど何だ?」
「…何でもない」
「図星だったか。おっと、もう召喚されるぞ」
すると目の前の魔法陣が赤色に光り始め、そこに竜巻が起こった。
竜巻が収まると、そこには異世界から来たご先祖様が口承や絵で残してきたニッポンの装備、ヨロイをした馬面(⁉)の老武者が現れた。
「はて、ここは…?」
「ここは貴方の元居た世界とは違う異世界です。」
「では、佐どのは?」
「佐どのとは誰のことですか?」
「佐どのは鎌倉幕府の偉大なる御所様、源頼朝でございます」
「源頼朝、ですか。貴方は召喚され、全く未知の世界に来ているので、その人に会うことは難しいと思います。そして残念なことかもしれませんが、貴方は今から私たちの部下です。」
「では、儂は佐どのに仕える代わりに貴女に仕えればいいというわけですな?」
「はい。それでは、貴方の名前を教えてください」
「儂は鎌倉幕府の御所たる佐どの、源頼朝の流人時代からの側近にして御台所、北条政子との橋渡しを担った者、安達藤九郎盛長である。」
「私は神撫。よろしく。こっちは幸那とリリーだよ」
「よろしくね、藤九郎」
「オレがお前を召喚した術師だ、よろしく」
「では、これからは最善を尽くしてご奉仕させていただきます」
「で、神撫。支払いについてはこっちの要求を吞んでもらうからな」
「あまり無茶は言わないでくれよ」
「私をお前らの革命とやらに連れてけ」
「え?本当にそんなことでいいの?」
「オレがいいって言ってんだからそれでいいだろ?それとも、オレが付いてっちゃ不都合か?」
「いや、そんなこと無いけど…。もし行ったら一生帰って来れないかもしれないんだぞ?」
「あのな、オレには頼れる人間が少ないんだ。だからもしお前らが死んだら誰に頼りゃいいんだよ?って話だ。それに、オレが召喚したんだからもしもコイツが何かやらかしたらオレが責任取らなきゃ道理に合わんだろ?オレが付いてく理由はそれで充分だろ」
「そうだね。ありがとう」
こうして、私たちの革命計画は順調(?)なスタートを切ったのであった。
続く 次回、藤九郎の能力が判明する!?(しません)
「ごめんね、幸那。私が誘ったのに待たせちゃって」
「いいんだよ。だって神撫は私の親友だからさ。それで、革命って具体的にはどうやってやるの?」
「えっと…。そ、そうだ!まずはこの村で協力してくれる人を探して、あの国に行くまでに通る町でも探して、あとは…当たって砕けろだ」
「ほんと神撫って計画性無いよね…、まあ神撫らしくて嫌いじゃないけど。そんな危ないことするならもっと計画的にやらないと神撫のお父さんとお母さんが悲しむよ」
「そ、それはそうだね。でも、仲間ってどうやって集めれば…」
「村のみんなに私たちの計画を伝えて共感してもらうしかないよ」
その幸那の提案で、私たちは村で協力者を休むことなく探し続けた。でも、誰一人として協力者にはなってくれなかった。
「どうしよう…。このままじゃ革命が…」
「もうアイツに頼るしかないのかな」
「アイツって…。もしかして幸那、まだあのことを根に…」
「そりゃあれは私も悪かったのかもしれないけど、一番悪いのはアイツなんだからね!?された側は忘れないよ!」
「それでも幸那は…」
「神撫の為なら私は何だっていいの!」
「そっか。ありがとう」
*
「リリー、久しぶりに来たぞ。」
「神撫、久しいね。今日は一人か?」
「いや、幸那も来てるけど入り口のところに隠れてるだけ」
「おい幸那、今日もノーパ…」
「そういうことは外に聞こえる大きい声で言わないでよ‼まったく、あのことまだ反省してないでしょ!?」
「あ、覚えてたのか。てっきり忘れてるモンだと思って…」
「言い訳はいいから、早く依頼受けてよ!」
「はいはい。で、どんな傑隷が欲しい?」
「主に従順で、文武両道で、主の為にどんなこともできるような男の傑隷かな」
「注文が多いんだよ。召喚する側の身にもなりやがれ。…まあ、親友?ではあるし割引はしといてやるよ」
「今親友の後に“?”付いてたよね!?まあ、実際私に酷いことしたけどさ!」
「それは幸那がノ…」
「それ以上言っちゃダメ!!」
「それじゃあリリー、召喚頼むよ。」
「その間、オレの邪魔したら許さねぇからな」
そう言うと、リリーは傑隷の召喚を始めた。
リリー ―― 百合・ロメニア。
召喚術師としては若い16歳にして自由な条件に合わせて異世界人を召喚、隷属にする隷属召喚の術を生み出し、世界から注目を集めている私の幼馴染みだ。
他人にいいように使われるのが気に入らなかったのか、あの王国オデヌヘイムからの招待すら拒んだけど、私はリリーがそうした理由を知っている。何しろ、あの娘は人見知りでツンデレ(デレマシマシ)で鋭い直感の持ち主という複合属性だから。
「神撫、今私の属性が云々とか考えたりしてんじゃないだろうな?」
「そ、そんなことは考えてないけど…」
「けど何だ?」
「…何でもない」
「図星だったか。おっと、もう召喚されるぞ」
すると目の前の魔法陣が赤色に光り始め、そこに竜巻が起こった。
竜巻が収まると、そこには異世界から来たご先祖様が口承や絵で残してきたニッポンの装備、ヨロイをした馬面(⁉)の老武者が現れた。
「はて、ここは…?」
「ここは貴方の元居た世界とは違う異世界です。」
「では、佐どのは?」
「佐どのとは誰のことですか?」
「佐どのは鎌倉幕府の偉大なる御所様、源頼朝でございます」
「源頼朝、ですか。貴方は召喚され、全く未知の世界に来ているので、その人に会うことは難しいと思います。そして残念なことかもしれませんが、貴方は今から私たちの部下です。」
「では、儂は佐どのに仕える代わりに貴女に仕えればいいというわけですな?」
「はい。それでは、貴方の名前を教えてください」
「儂は鎌倉幕府の御所たる佐どの、源頼朝の流人時代からの側近にして御台所、北条政子との橋渡しを担った者、安達藤九郎盛長である。」
「私は神撫。よろしく。こっちは幸那とリリーだよ」
「よろしくね、藤九郎」
「オレがお前を召喚した術師だ、よろしく」
「では、これからは最善を尽くしてご奉仕させていただきます」
「で、神撫。支払いについてはこっちの要求を吞んでもらうからな」
「あまり無茶は言わないでくれよ」
「私をお前らの革命とやらに連れてけ」
「え?本当にそんなことでいいの?」
「オレがいいって言ってんだからそれでいいだろ?それとも、オレが付いてっちゃ不都合か?」
「いや、そんなこと無いけど…。もし行ったら一生帰って来れないかもしれないんだぞ?」
「あのな、オレには頼れる人間が少ないんだ。だからもしお前らが死んだら誰に頼りゃいいんだよ?って話だ。それに、オレが召喚したんだからもしもコイツが何かやらかしたらオレが責任取らなきゃ道理に合わんだろ?オレが付いてく理由はそれで充分だろ」
「そうだね。ありがとう」
こうして、私たちの革命計画は順調(?)なスタートを切ったのであった。
続く 次回、藤九郎の能力が判明する!?(しません)
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