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吸血連合篇(前編)
第14話 ルシファー現る
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2人はくっついてきた水の大精霊を連れて11階層に戻った。
「アオイちゃん、大丈夫だった?」
「うん。私が連れ去られたのは、フォカロルさんが私にお姉ちゃんのことが聞きたかったんだってさ。」
「そっか。アイツ、私を孫でもあるかのように可愛がったり心配したりしてたんだよね。昔から。」
「そうだったんだ。じゃあお姉ちゃん、この娘は知ってる?」
「知らないよ。その娘はフォカロルと関係あるの?」
「実はこの娘、フォカロルさんの魔力から生まれた水の大精霊らしいんだけど。保護してほしいって言われたから連れてきたの。」
「え⁉まさか72柱が大精霊を生むなんて。ちなみに、この娘の名前は?」
「聞いたんだけど、何も答えてくれなくて。フォカロルさんも何も言ってなかったし…。」
「じゃあ、私たちで名前を付ければいいんじゃない?」
「え?そんなことして大丈夫なのかな?」
「でも、その娘はフォカロルの頼みで保護してきたんなら、名前が無いと不便だし、かわいそうでしょ?」
「うん。それもそうだね。」
「なら、名前はどうする?ご主人様、何かいい案ない?」
「うーん。そうだな…。」
シドラは考えながらその少女を見つめた。その娘は緑青色をしていた。
そしてシドラは思いついた。
「よし、決まった!この娘の名前はパティーナだ。」
「パティーナ?髪とかの色から決めたの?」
「うん、そうだけど。でも、女の子らしい名前にはなってるでしょ?」
「もしかしてお兄ちゃんってネーミングセンスに自信無いの?」
「ま、まぁ、僕はあんまりそういうことは得意じゃ、ないかな。」
「でも、いいと思うよ。」
「それじゃあこれからよろしくね、パティーナ。」
「…。」
せっかく名前を決めたのに、パティーナはただ少し頬を染めただけで何も言わなかった。
「もしかして、名前気に入らなかった?」
今度は、頭を大きく横に何度も振った。
<侵略者ごときが我が眷属の子に名前を付けるとはいかがなものかな。>
「こ、この声は…。」
<そもそも、侵略者の仲間になる奴も侵略者に自分の子を渡す奴も悪い。72柱も堕ちたものだ。>
「お、お前が堕天王ルシファーか?」
<その通りだ。貴様らには私と面会してもらおう。>
すると、全員の足元に魔法陣が出現し、ワープした。
「ようこそ、50階層へ。」
「な、なんで堕天王ルシファーが大精霊ロキの姿をしているんだ⁉」
「聞いたことは無いか?ルシファーとロキが同一人物だという迷信を。」
「そんな情報、誰も充てにするはずがない。」
「しかし、大昔に1人の文献学者はこの説を唱えた。当時は一巻の終わりだと思ったが、地上の生物たちが馬鹿でその説を信じる者が少なくて助かったよ。」
「なら、なぜお前が72柱を従えているんだ?」
「それは、私が大精霊ロキであると同時に堕天王ルシファーであり、<魔術王の鍵>のレメゲトンであるからだよ。しかし、2代目以降の72柱は私自身でコントロールできない。だから私に復讐を企む奴が出てくるのだ。」
「ルシファー様。私はルシファー様に愛してほしかったんです。なのに、ルシファー様が全く私にかまってくれないから…」
「すでに裏切ったようなものだ。もうお前は72柱に要らない。」
「そんな…。」
「あと、私自身の我が子も返してもらおうか。」
「我が子?まさか、ヴィネアが…。」
「ほら、パパの命令だ。こっちに来なさい、ヨルムンガンド。」
「私のパパはお前じゃないよ。」
「ほう。知らぬ間に口が利けるようになったかと思えば。親に生意気な口を叩くな。さあ、来い。」
「いやだ。」
「なら、ここで強制的に制限は解除しよう。『解放されよ、禁忌の力。其の真名はヨルムンガンド。大精霊ロキの名のもとに本性をここに権限せよ。』」
「いや、いや…ぁああああああ!!!」
そして、ヴィネアは巨体化し、その間に頭に2本の角を生やした巨大すぎる龍へと変貌してしまった。
「なぜこんなことを…」
「なぜって、もともと私の物だったから取り戻したまでだ。」
「こんな姿にしてヴィネアをどうするつもりだ?」
「こんな姿?これが本性だ。敵とはいえ、錯覚してもらっては困る。どうするつもりか、って部分だが、もちろん親子と眷属で世界征服だ。」
「そんなのは親子じゃない!!お前はただヴィネアを利用しようとしているだけだ。」
「そんなことはな。貴様、私にそんな口を利いたことを後悔しろ。さっきの言葉、私と戦って私が勝てば取り消してもらうぞ。」
「なら、もし僕が勝ったらヴィネアをもとの姿に戻してもらうぞ。」
「臨むところだ。」
「オーディン様、ルシファーを発見しました。」
「総員、かかれ!!」
「誰だ⁉」
「あれは…。オーディンとその天空騎士団だ!!」
「アンタらだけじゃないよ。」
「今度こそ討伐してやるぅー!!」
「おい異世界ロキ、また来たのか。何度も言わせるな。ルシファーなど我らで十分だと。」
「いいじゃん。どうせ最後は取り逃がすんだからさ。」
「そもそも、このルシファーはお前らの世界のだろ?そんな無責任な発言していいのか?」
「なあ、結局帰れってのか戦えってのかはっきりしろよ。」
「すまない。やっぱり戦ってくれ。」
「異世界からの援護?」
「あれは異世界のロキと異世界の戦乙女、追放戦乙女だ。」
「いいだろう‼我々72柱と堕天使で貴様らを返り討ちにしてくれるわ!!!」
続く 次回、世界樹での戦い
「アオイちゃん、大丈夫だった?」
「うん。私が連れ去られたのは、フォカロルさんが私にお姉ちゃんのことが聞きたかったんだってさ。」
「そっか。アイツ、私を孫でもあるかのように可愛がったり心配したりしてたんだよね。昔から。」
「そうだったんだ。じゃあお姉ちゃん、この娘は知ってる?」
「知らないよ。その娘はフォカロルと関係あるの?」
「実はこの娘、フォカロルさんの魔力から生まれた水の大精霊らしいんだけど。保護してほしいって言われたから連れてきたの。」
「え⁉まさか72柱が大精霊を生むなんて。ちなみに、この娘の名前は?」
「聞いたんだけど、何も答えてくれなくて。フォカロルさんも何も言ってなかったし…。」
「じゃあ、私たちで名前を付ければいいんじゃない?」
「え?そんなことして大丈夫なのかな?」
「でも、その娘はフォカロルの頼みで保護してきたんなら、名前が無いと不便だし、かわいそうでしょ?」
「うん。それもそうだね。」
「なら、名前はどうする?ご主人様、何かいい案ない?」
「うーん。そうだな…。」
シドラは考えながらその少女を見つめた。その娘は緑青色をしていた。
そしてシドラは思いついた。
「よし、決まった!この娘の名前はパティーナだ。」
「パティーナ?髪とかの色から決めたの?」
「うん、そうだけど。でも、女の子らしい名前にはなってるでしょ?」
「もしかしてお兄ちゃんってネーミングセンスに自信無いの?」
「ま、まぁ、僕はあんまりそういうことは得意じゃ、ないかな。」
「でも、いいと思うよ。」
「それじゃあこれからよろしくね、パティーナ。」
「…。」
せっかく名前を決めたのに、パティーナはただ少し頬を染めただけで何も言わなかった。
「もしかして、名前気に入らなかった?」
今度は、頭を大きく横に何度も振った。
<侵略者ごときが我が眷属の子に名前を付けるとはいかがなものかな。>
「こ、この声は…。」
<そもそも、侵略者の仲間になる奴も侵略者に自分の子を渡す奴も悪い。72柱も堕ちたものだ。>
「お、お前が堕天王ルシファーか?」
<その通りだ。貴様らには私と面会してもらおう。>
すると、全員の足元に魔法陣が出現し、ワープした。
「ようこそ、50階層へ。」
「な、なんで堕天王ルシファーが大精霊ロキの姿をしているんだ⁉」
「聞いたことは無いか?ルシファーとロキが同一人物だという迷信を。」
「そんな情報、誰も充てにするはずがない。」
「しかし、大昔に1人の文献学者はこの説を唱えた。当時は一巻の終わりだと思ったが、地上の生物たちが馬鹿でその説を信じる者が少なくて助かったよ。」
「なら、なぜお前が72柱を従えているんだ?」
「それは、私が大精霊ロキであると同時に堕天王ルシファーであり、<魔術王の鍵>のレメゲトンであるからだよ。しかし、2代目以降の72柱は私自身でコントロールできない。だから私に復讐を企む奴が出てくるのだ。」
「ルシファー様。私はルシファー様に愛してほしかったんです。なのに、ルシファー様が全く私にかまってくれないから…」
「すでに裏切ったようなものだ。もうお前は72柱に要らない。」
「そんな…。」
「あと、私自身の我が子も返してもらおうか。」
「我が子?まさか、ヴィネアが…。」
「ほら、パパの命令だ。こっちに来なさい、ヨルムンガンド。」
「私のパパはお前じゃないよ。」
「ほう。知らぬ間に口が利けるようになったかと思えば。親に生意気な口を叩くな。さあ、来い。」
「いやだ。」
「なら、ここで強制的に制限は解除しよう。『解放されよ、禁忌の力。其の真名はヨルムンガンド。大精霊ロキの名のもとに本性をここに権限せよ。』」
「いや、いや…ぁああああああ!!!」
そして、ヴィネアは巨体化し、その間に頭に2本の角を生やした巨大すぎる龍へと変貌してしまった。
「なぜこんなことを…」
「なぜって、もともと私の物だったから取り戻したまでだ。」
「こんな姿にしてヴィネアをどうするつもりだ?」
「こんな姿?これが本性だ。敵とはいえ、錯覚してもらっては困る。どうするつもりか、って部分だが、もちろん親子と眷属で世界征服だ。」
「そんなのは親子じゃない!!お前はただヴィネアを利用しようとしているだけだ。」
「そんなことはな。貴様、私にそんな口を利いたことを後悔しろ。さっきの言葉、私と戦って私が勝てば取り消してもらうぞ。」
「なら、もし僕が勝ったらヴィネアをもとの姿に戻してもらうぞ。」
「臨むところだ。」
「オーディン様、ルシファーを発見しました。」
「総員、かかれ!!」
「誰だ⁉」
「あれは…。オーディンとその天空騎士団だ!!」
「アンタらだけじゃないよ。」
「今度こそ討伐してやるぅー!!」
「おい異世界ロキ、また来たのか。何度も言わせるな。ルシファーなど我らで十分だと。」
「いいじゃん。どうせ最後は取り逃がすんだからさ。」
「そもそも、このルシファーはお前らの世界のだろ?そんな無責任な発言していいのか?」
「なあ、結局帰れってのか戦えってのかはっきりしろよ。」
「すまない。やっぱり戦ってくれ。」
「異世界からの援護?」
「あれは異世界のロキと異世界の戦乙女、追放戦乙女だ。」
「いいだろう‼我々72柱と堕天使で貴様らを返り討ちにしてくれるわ!!!」
続く 次回、世界樹での戦い
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