拝啓、国王様。勇者は殺されました。~正直勇者、辺境に逃亡中~

クラプト/松浜神ヰ

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第6話 「オキ・レオンは俺が殺した」(ドヤ顔)

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ファレアが一緒に住むようになってから、少々騒がしくなった。
妹枠だとばかり思っていたが、子供枠の要素?素質?も兼ねていた故にたまにやらかす。
ちなみに、年齢を訊いたら152歳だと言われたが、これでも魔族の間では子供扱いされる年齢らしい。

「お兄ちゃん、ボクの魔眼が間違ってなければ今日中に聖騎士みたいな人たちが来るみたいだよ」

3人で朝食を摂っている時、ファレアのその一言を聞いて俺は危うく吹き出しそうになった。

「も、もっと具体的に分かることはないか?」
「うーん、その中の1人がボクら魔族の知らない固有スキルを持ってるんだけど…」

俺たちが死んだことになっておよそ一週間。既に俺たちの代わりの勇者が召喚されていたらしい。

「それは勇者だな、多分。それで、ソイツの持ってる固有スキルについては?」
「<フェアリーキング>、全ての精霊を強制的に使役して加護をかけさせたり、戦わせたりできるみたい」
「マジか。俺たちは死んでることになってるし、どうする?シーファ」

シーファも流石にマズいと思ったのか険しい顔つきで考えていたが、少ししていい案を思いついたらしい。

「私たちがドッペルゲンガーだってことにすればいいんじゃない?」
「…こっちの世界にもその概念あるんだな」
「さあ。異世界から召喚されたかつての勇者が提言したものだから本当にそんなのがいるかどうかなんて誰も知らないらしいよ」
「でも、やってみる価値はありそうだ」
「じゃあ、私たちはその騎士か何かが来たらドッペルゲンガーとして対応すればいいワケね」
「その場合、俺たちもきっと討伐対象に入るだろうな」



朝食の後、ろくに落ち着いていられない俺たちは各々に準備を進めていた。俺もきっとこれ以上にその勇者が使ってほしくないであろうスキルを生み出すことに成功した。これだったら、直接対決になっても確実に勝てる。

そして、誰かがドアをノックした。

俺が無言でそのドアを開けると、如何にも聖騎士だと思える人気俳優のような顔立ちのイケメン青年がいた。

「ここから強い魔力反応を感じて調査に来た勇者だ。貴様ら、ここに魔王軍幹部を匿って…」

その時、その青年の付き人とおぼしき少女が悲鳴をあげた。

「こ、この人、1週間前に死んだはずの…、前の勇者様です…」
「何!?それはどういうことだ!?」
「1週間前、国王のもとへ勇者は殺された、自分も死ぬと付き人の方から手紙があったはずです…」
「つまり、この男は自らが背負った試練を放棄してこの辺境でのうのうと暮らしていたワケか。それが本当なら、貴様らは生かしておけぬ!!」

やっぱり、ドッペルゲンガー作戦は使うべきなのかな…。まあ、そうしないと勇者の仕事に戻らなくちゃならんくなるし。
ここは、ちょっと強者感出す為にカッコつけた言い方してみるか。

「オキ・レオンは俺が殺した」(ドヤ顔)
「つまり、貴様はドッペルゲンガー!?本人が死ねば消滅するものだと思っていたが、そうではないというのか。ならば貴様、ここで討伐してくれるわ!!」
「おいおい、人様の家で暴れようとすんなよ。せめて外でり合おうか」
「それくらいは許してやろう」

さて、相手は本当に<フェアリーキング>なんて使ってくるのか?
俺たちの距離の中央辺りに新勇者の付き人が立った。

「そ、それでは、よーい、始め!!」

その号令とともに、予想通り新勇者は仕掛けてきた。

「<フェアリーキング>発動!!全てのステータスを2倍に、剣を『聖剣エクスカリバー』と同等に…」

さて、ここからコイツの顔が引きつるぞ。

「<フェアリーキャンセル>発動!!相手の精霊との交渉を2か月遮断!!」

効果はすぐに発揮され、新勇者の周りに展開されていた魔法陣は光の粒となって消えていった。

「あ、あれ…?<フェアリーキング>発動!!…<フェアリーキング>発動!!…。クソ!一体さっきから何がどうなっているんだ!」
「精霊とは2か月オサラバだ。2か月間は<フェアリーキング>が発動しないってことで」
「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁ!!!!人間のコピー、偽物のクセに生意気なんだよ!この下衆が!!」
「いくら罵っても無駄だ。はいお疲れ、解散解散」(途中から子〇氏の声真似)
「いつか絶対に、お前を殺す」
「まあ、せいぜい頑張ることだな」

こうして、あっさり新勇者たちは帰っていった。

「なあ、これからもここに住むのか?寝てる間に襲撃されたら終わりだぞ」
「じゃあ、お兄ちゃんが結界スキル作ればいいじゃん」
「あ、その手はなかった」

こうして、俺はスキル<マジックフィールド:アンチエネミー>を生成、早速展開した。



魔王城にて

「何、勇者のドッペルゲンガーのところにファリアが行った!?ていうか、は?ドッペルゲンガー!?私作ってないよ、アイツらのドッペルゲンガー」

ドッペルゲンガーを作って人類を脅かしていた魔王は、自分以上の脅威がいることを知った。
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