僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第二十七話

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わたしの場合、香奈ちゃんとは違ってカタチから入らないとどうにも行動ができない。
だからこそ、今履いているルーズソックスがなによりの証拠である。
ルーズソックスを履いていると、いつもよりも勇気が出るような…気がする。
気のせいなんだろうけど……。
ただでさえ、これを買うだけでも相当な勇気が必要だった。
なにしろ流行があったのはかなり昔みたいだから、今も通用するのかかなり不安だったからだ。

「さっそくだけど、一緒に寝よっか?」

わたしは、ベッドの上に座るとわざとらしく誘ってみる。
チェック柄のミニスカートを穿いたままの状態で座っているから、このアングルからだとスカートが少しだけめくれて中があらわになっているだろうな。
ちなみに、今日の下着はそこまで可愛いものは穿いていない。いつもの白の下着だ。
だから見られてしまうと、それなりに恥ずかしかったりする。
楓君は意識してのことなのか、わたしから視線を逸らしている。
あくまでも見ないつもりらしい。
普通の男の子らしい配慮だ。

「それはさすがに……。でも他のことをするなら──」
「そうね。初めてのことをするなら、わたしもいいかなって──」

楓君にエッチなことをされるのなら、わたしは全然構わない。
残念ながら、わたしの部屋の中にはゲーム機とかはない。
2人きりで初めてのことをするという表現では、アレしか思いつかないと思う。
楓君はどう思っているんだろう。

「なにをするつもりなの?」

楓君は思案げな表情でそう訊いてきた。

「えっとね……。今日はその……」

わたしは、言葉を詰まらせる。
実はわたし自身、今日の計画を明確に決めたわけじゃないのだ。
だからこそ、街で楓君とデートした後の計画は特に決めてないことを楓君には悟られたくない。
でも、できるだけ長く楓君と一緒にいたいのは確かで、そこだけは香奈ちゃんと同じだ。
もしかしたら、みんなも同じ気持ちかもしれない。
いつの間にか返答に迷いが生じていたみたいだ。
わたしは、楓君の手を取って言う。

「今日はね。わたしと一緒にデートをしてくれてありがとうって言いたかったのと、これからもわたしたちと変わらずに付き合ってねって伝えたかったの。それと──」
「えっ」

わたしは、次の言葉を言ってしまう前に、そっと楓君の唇にキスをする。
流れでそうしてしまうわたしに、楓君はなんて思っているんだろうか。
楓君はしばらくの間、呆然とした表情のままわたしのキスを受け入れている。
拒絶しないあたりがまた嬉しかったりするのだが……。
気持ち的には色々と『複雑』だったりするのかな──
楓君は、動揺を隠しきれずに口を開いた。

「ちょっ! 理恵先輩!」
「わたしからの『お礼』だよ。ありがとうね」
「お礼って──。僕はなにも……」
「内緒にしてくれると嬉しいかも。特に香奈ちゃんには……」
「たぶんできそうには──」
「できそうにない? わたしたちとの間の秘密のことだよ? …できると思うんだけどな」
「隠し事が通じる相手じゃないんだよなぁ……。特に香奈姉ちゃんには……」

楓君は、なにやら香奈ちゃんに恐怖心を抱いている様子だ。
鋭いところがあるからな。香奈ちゃんは──
楓君にそんな感情を出させてる時点でどうだろう。
でも恋愛については、わたしだって負けたくはない。
積極的にとはいかなくても、わたしなりに楓君とスキンシップをとりたいし。
適度な距離感がちょうど良かったりする。
わたしは、楓君の手をギュッと握る。

「大丈夫だよ。わたしは香奈ちゃんたちと違って、だらしのない不純異性交友はしないから」
「うん。そこは安心してるから大丈夫なんだけど……。理恵先輩の今の格好がその…気になるっていうか……」
「えっ」

楓君の視線はわたしのスカートの方に行っていた。
スカートはすっかりめくれてしまっていて、中の下着があらわになっている。
恥ずかしいって言えば恥ずかしいのだが、楓君しか見ていないので、さほど羞恥心は湧き上がらないのは、わたしだけではないだろう。
見せても平気ってわけでもないが。
どちらにしても、そっちに気を遣わなかったのだから恥ずかしいのは当然だ。
あらためてスカートを元の位置に直しても、座り方が悪い以上、どうにもならない。
わたしは、わざと恥ずかしい素振りを見せる。

「そんなに見られてしまうと…やっぱり恥ずかしいな」
「ご、ごめん……。つい……」
「『つい』って……。やっぱり気になっちゃうものなの?」
「そんなことはないんだけど……。どちらかというと理恵先輩の服装が──」
「わたしの服装? なにか気になるところでもあった?」
「なんか学校の制服に近いなって思って──。理恵先輩って、そういう系のものが好みだったりするのかなって思ってさ」
「そんなことは…ないけど」

楓君にそう言われても、わたしの洋服ダンスの中には、そこまでオシャレなものは置いてない。
ちょっと地味目な下着とか、洋服とか、そういうものがほとんどだ。
今回の服装も、楓君が一緒っていうことで比較的オシャレなもので決めてみただけなんだけど……。やっぱりダメだったのかな?

「もしかして、あんまり可愛くなかった…かな?」

わたしは、不安になってしまいそんなことを訊いていた。
こんなことを男の子に訊くのは、ちょっと変だったりするかもしれない。

「そんなことないよ。よく似合っているよ。理恵先輩らしいかなって──」
「わたしらしいって、どのあたりがそうらしいかな?」
「う~ん……。詳しくは言えないけど、控えめで優しい理恵先輩らしいっていうか……」

控えめで優しい…か。
周囲にもよく言われることだけに、楓君にもそう思われると、ちょっと悔しいっていうか。
認めなくちゃいけないことなのかな。
嬉しいことなのはたしかなんだけど……。

「ちょっと嬉しくないかも──」
「えっ」
「わたしって、そんな風に思われてるって思うと、ちょっとね」
「違うの?」
「違わないけど……。積極的だったりするのは、香奈ちゃんだけじゃないんだよ。わたしだって──」

そう言って、わたしは楓君に優しい笑みを見せる。
香奈ちゃんは、なにを思って楓君とのデートを許したのかわからないが、わたしなりに想いの伝え方があるのはたしかだ。

「理恵先輩は、意外と負けず嫌いなんだね」
「それはわたしだけじゃなくて、みんなが…だと思うよ。特に楓君のことに限って…の話だけど」

わたしたちにとって、楓君は弟みたいなものだ。
だから、間違ったところに行かないようにわたしがしっかりしないと。
でも、裸の関係をもつのは悪くないよね?
みんなだってなにかしらの形で関係を持ってるんだし。

「そういうことだから。わたしとも仲良くしよっか?」

わたしは両手を伸ばし、楓君を誘う。
楓君は、絶対に断らないはずだ。
他の女の子は良くて、わたしはダメっていうことはないだろうし。
やるとしたら、まずはスカートの中の下着から──
ちょっと恥ずかしいけど、みんなもやったことだから我慢する。
わたしにここまでさせて、なにもしない選択肢はないだろう。

「僕に拒否権は?」
「もちろん『無い』よ。はやくして──」

その往生際の悪さも逆に評価できるところだ。
だからこそ、楓君にはわたしのことをもっと見てほしい。

「それじゃ、遠慮なく」
「うん」

わたしの返事に、楓君は躊躇いなくスカートの中の下着に手を伸ばしてきた。
──あとのことは、わたしにはなにも言えない。
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