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第二十四話

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翌朝。
僕が目を覚ますと、めずらしいことに香奈姉ちゃんはまだ眠っていた。
いつもなら香奈姉ちゃんが先に起きていて、女子校の制服姿などを見せびらかしてくるのに。
しかし、こうして改めて見ると、どうしても目のやり場に困ってしまう。
やっぱり胸を隠すこともなく裸体を晒しているのって、他の女の子には真似できない事だ。
健康にはいいものなのかもしれないが。
せめてタオルケットくらいは掛けてほしいものである。

「んっ。ん~」

香奈姉ちゃんは、寝ていて何を思ったのか寝返りをうつ。
そのまま僕の体に覆い被さってくる。
僕の方も全裸だったため、そんなことされたら勃っている大事なあそこに悪影響を及ぼしかねない。
僕のあそこは、今日も元気な状態だ。
健康的な男子の生理現象なのだが、香奈姉ちゃんの裸を見ると余計に興奮してしまう。

「いい朝に余計なことは考えるな! ここは冷静に──」

僕は、自分に言い聞かせるようにそう言って、起きあがろうとする。
しかし、簡単にはいかないのが常である。

「ん~。ダメだよ、弟くん。こんな時は、お姉ちゃんの言うことを聞かないと──」

香奈姉ちゃんがそう言って僕の体を抱きすくめてきたのだ。
寝てるからなのか、いつもよりか強い力で抱きついてくる。
途端、香奈姉ちゃんの大きなおっぱいの感触が体に伝わってきた。
とても気持ちいいけど、はやくベッドから出ないと。
今日のお弁当作りができなくなってしまう。
こうなったら、香奈姉ちゃんを起こすしかない。

「香奈姉ちゃん。もう朝だよ。起きてお弁当を作らないと──」
「ん? 朝?」

香奈姉ちゃんは、まだ寝ぼけている。
全裸で寝てしまうと、どうしてもこうなってしまうらしいけど。油断しすぎだ。
香奈姉ちゃんの眠そうな顔が、だんだんとシャキッとしていく。と思ったが、なかなか直らないみたいだ。

「あ。そっか。お弁当ね……。そっかそっか」

香奈姉ちゃんは、抱きつくのをやめてベッドから起き上がると、そのままの格好で僕の部屋から出ようとする。

「ちょっ……。ストップ! まだ裸のままだよ、香奈姉ちゃん!」

僕は急いで起き上がり、全力で香奈姉ちゃんを引き留めた。
全裸で僕の部屋から出したら、それこそ大変だ。
居間には兄や母もいるだろうし。
朝っぱらから、ちょっとした騒動になりかねない。

「ん?」

香奈姉ちゃんは、思案げな表情で僕を見てくる。
その顔は、ホントに何もわかってなさそうだ。
僕は、綺麗に整頓されている香奈姉ちゃんの服を手に取って、そのまま香奈姉ちゃんに渡す。
その中には、下着も含まれている。

「ほら、これ。香奈姉ちゃんの服だから。僕の部屋を出るのなら、せめて服を着てからにしてよ」
「うん。そうだったね。なんか、色々とごめんね」

香奈姉ちゃんは、ようやく気づいてくれたのか、服を受け取った。

「別にいいよ。とりあえず、僕が先に部屋を出るから。着替えが終わったら、声をかけてよ」

僕は、そう言いながらハンガーに掛けてある自分の制服に手を伸ばす。
裸なのでもちろん下着を穿くのを忘れないようにした。
香奈姉ちゃんの制服に関しては、香奈姉ちゃん自身こんなこともあろうかと思ってなのか、一応持ってきているみたいだ。
現に、香奈姉ちゃんは今、女子校の制服に着替えているし……。
制服って基本、一着しかないと思うのだが……。
どちらにせよ、僕が手渡した服は着ないみたいだ。

「そんなことをしなくても大丈夫だよ。弟くんは、心配性なんだから」

香奈姉ちゃんは、そう言って僕を引き留めてくる。
そういえば、香奈姉ちゃんの胸を抑えるブラジャーはどうするつもりなんだろうか。
着替えと言ったって、女物の下着なんて僕の部屋にはなかったような……。
香奈姉ちゃんも、そのことに気づいたのかハッとなって口を開く。

「ねぇ、弟くん。ブラのことなんだけど」
「どうしたの?」

たしかに香奈姉ちゃんのブラジャーは、紐が千切れてしまって、ソレとしての役割を果たしていない。
だからといって、そのことを僕に言ってくるのはどうかと思う。
まさか、ね。

「うん。ちょっと私の家に行って、下着の上下一式を取ってきてくれないかな?」
「まさか……」
「うん。その、『まさか』かな。厳密に言うと、下着のことまで考えてなかったっていうか。その……」

僕は、あきらかにわかりやすいような渋い表情をしてしまう。
それは香奈姉ちゃんらしくない忘れ物だ。
まさか僕が香奈姉ちゃんの家に行って、香奈姉ちゃんの下着一式を取りに行かないといけないなんて……。
一体、どんな罰ゲームなんだろう。
下手をしたら、ただの下着泥棒に見られかねない。

「それは、さすがに……。下手をしたら下着泥棒になりかねないし……。ちょっと無理かな」
「そんなこと言わずに、ね? 私からの許可があるんだし。そうはならないから、ね?」

そんな甘えるような表情で言ってこられても……。
無理なものは無理としか──
しかし両腕を組んでその大きな胸を抑える姿は、とてもツラそうだ。
その証拠に、少しだけ前屈みになっている。

「どうしても、ダメ?」

さらに追いうちをかけるかのように訊いてくる。
頼むからそんな哀しそうな顔で言ってこないでほしいな。
とても断りにくい状態になるから。

「ダメっていうことはないけど……。たぶん花音が家にいるよね?」
「うん。絶対にいると思う」
「そっか。絶対にいるんだね。それはそれで難しいような……」

そんな自信満々に言われてもな……。
とてもじゃないけど、花音や香奈姉ちゃんの母親がいるような状況で下着一式を取りに行くっていうのは、無理なことなんじゃないのか。
そんなことを考えてしまうが、香奈姉ちゃんの顔を見たら、断ることなんかできそうにないし。

「ダメかな?」
「う~ん。大丈夫だとは思うけど……。とりあえず、わかったよ。取りに行ってみるよ」
「ありがとう。弟くんなら、そう言ってくれると思っていたよ」
「色は、何色がいいの?」
「任せるよ。弟くんが良いなって思う色で選んでよ」

香奈姉ちゃんは、なんの恥ずかしげもなく笑顔でそう言った。
下着の色を任せるっていうことは、僕の独断と偏見に任せるっていう事になる。
そんなのでホントにいいのかな。でも……。

「行ってくるね。ちょっと待ってて──」
「うん。いってらっしゃい」

香奈姉ちゃんの嬉しそうな言葉を聞きながら、僕は自分の部屋を後にした。
とりあえず、朝ごはんとお弁当作りは後回しにして、香奈姉ちゃんの下着一式を取りに行かないと。
なるべく誰とも会わないようにしよう。
僕は足早に歩き、香奈姉ちゃんの家に向かっていった。
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