僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第二十三話

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やっぱり楓の部屋って安心感がある。
そう思い楓のベッドの上で横になりくつろいでいると、楓が声をかけてきた。
とても言いにくさそうに。

「なんか色々と見えているよ。ホント、僕の部屋だとだらしがないんだから──」
「敢えて見せてるんだから、いいでしょ? それに弟くんになら、見られたって全然恥ずかしくないもん!」

私は、楓の方に視線を向けてそう言った。
悪いのは私ではなく、スカートが短いからだ。
だからといって、捲れてしまっているスカートを元に戻す気はない。めんどくさいし。それに──
それをやってしまったら、楓のことを男性として見れない気がするから。
それに部屋には楓と私しかいないのだから、遠慮する必要はないと思う。

「香奈姉ちゃんが恥ずかしくなくても、僕には……」

案の定、楓は困った様子で露わになっている私のお尻から視線を逸らす。

「もしかしてドキドキしちゃったりしてるの?」
「そりゃあね。僕だって、『男』だから……」

一応って言わないところがしっかりしてるっていうか。
だけど、もう一押し足りないかな。
楓をその気にさせるには、今のままではダメだろう。

「そっか。『男』だから、か」
「どうしたの? 普段の香奈姉ちゃんなら、もっと──」

楓はそんなことを言ってきたが、さすがに楓のベッドの上で寝そべりながら誘惑するのは難しいかも。

「普段の私なら? なによ?」

私は、わざとそう聞いていた。
少しだけはしたない姿かもしれないが、楓が意識してしまうのなら成功だ。
楓には、ちょうど良いくらいだから。

「あの……。その……。香奈姉ちゃんなら……」

楓は、はっきりと言えない様子だった。
むしろ、どうしたらいいのかわからずもじもじとしている。
なんだろう?
私のお尻に何か付いてるのかな。
私は、何気なくお尻の辺りに手をもっていく。
何もない。
あるとすれば、パンツの布の位置が少しズレているくらいか。
基本的に、女の子のショーツはちょうど良いサイズで収まるようにできている。
だからズレるなんて事は、まず起こらないのだ。
やっぱり、私が意識しすぎたのかな。
楓が見ている時にこんな事をするのは、やっぱり恥ずかしいかもしれない。
私は、仕方ないと思いながらもパンツの端を指で摘んで直した。
これを直さないと起き上がった時に大変なことになる。
そのままでもいいんだけど、穿いている時の違和感がハンパないので、この際仕方ない。
仕方ないのだ。
おそらく楓以外の男の子の前だったら、こんな事は絶対にしないだろう。

「弟くんは、何も気にしなくてもいいんだよ。これは私自身がしたいと思ったからするわけであって──」

何を言ってるんだろ。私──
これだと、完全に『言い訳』だ。

「僕、一旦部屋から出ているね」

私に気を遣ってか、楓はそんな事を言いだした。
何で楓の部屋なのに、楓が部屋から出ないといけないのか。
私は、楓が部屋から出ていく前に引き止める。

「ダメ。弟くんは、ここにいて」
「どうして?」
「弟くんの部屋なんだよ。どうして自分の部屋を出ないといけないのかな?」
「それは……」

楓は、言葉を詰まらせてしまう。
まさか私が穿いているパンツを直すところを見たくないとか、そんなくだらない理由で部屋から出ていくだなんてことはないよね。
もしそうだったら、楓のことを無理矢理押し倒してでも言ってわからせないといけない。
しかし。
楓も黙っていることはできなかったのか、うつ伏せで寝そべっている私のところにやってくる。
そして、ベッドに座るとそのまま私のお尻に手を添えてきた。
エロい感じではなく、とても優しい手つきで撫で始める。

「んっ」

正直言うと、弟くんとはいえ他人にお尻を触られることはあまり慣れていないので、変な気持ちになってしまう。
しかもスカートの上からではなく、直にパンツ越しに触られたら患部もそうだけどそれ以外の色んなところが過敏に反応しちゃうよ。
だけど、この場合は我慢しなくちゃいけない。
せっかく楓が積極的に触ってきてるのに、変な声を上げて無駄にしてしまうのは勿体無いだろう。

「香奈姉ちゃんのお尻って、柔らかいだけじゃなくて結構可愛い形をしているんだね」
「そうかな? 普通だと思うけど……」

そうは言ったものの、内心では嬉しかったりする。
でもそんな優しくなでなでされると、気持ちよくてクセになりそうな感じがして──
それでいて、穿いているパンツには何もしないっていうのが楓らしい。

「普通か……。女の子のお尻って、そういうものなのか……」

楓の口から、なんか不審な言葉を発したような。
私は、嫌な予感がして聞いてみる。

「まさか、他の女の子のお尻にそんなことしてないわよね?」
「し、しないよ。敢えて言うなら、千聖さんのお尻をちょっと……」
「っ……⁉︎」
「誤解しないでよ。バイト中での事なんだから」
「バイト中に⁉︎ 具体的には何をしたのよ?」
「具体的には、そうだなぁ。脚立の上から落ちそうになっていたところを支えた時に……。その……」
「なるほどね。それは…どうにもならないね」

それは近くにいた人が支えてあげないと、大事故になりかねない事だから、この際仕方ないか。
でも偶然とはいえ、千聖ちゃんのお尻を触っていたのは、ちょっと許せないんだけどな。
私は、ムッとした表情を楓に向ける。
すると楓は、気まずい表情になっていた。

「そんな顔しないでよ。僕だって、ホントはそんなことはしたくなかったんだから……」
「わかってるよ。わかっているんだけど……。なんとなく……」

なんか千聖ちゃんとはいえ、他の女の子に先を越されたかのような感じがするんだよ。
私としては、納得がいかない。
そんな私の気持ちを察するかのように、楓は私の頭に手を添えてそのまま撫で始めた。

「あ……」

私は、あまりの事に唖然となる。

「大丈夫だよ。僕は、香奈姉ちゃん以外の女の子のお尻は好きにならないから」
「うん。ありがとう」

楓の言葉に、私はくすぐったい気持ちになった。
これは安心感──なんだろうか。
でも『私以外のお尻』って言われて、なんだか複雑な気持ち……。
これって素直に喜んでいいのかな。
どっちにしても、楓って、絶対に女心がわかってないよ。
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