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第二十二話
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1人で勉強をしている時というのは、一番集中力が働いている時だと思うんだけど……。
いかんせん、どうにも落ち着かない。
三年生になったのだから、進路のために勉強しなきゃとは思うのだけど、どうしても楓の顔がチラついてしまう。
以前は、こんなことはなかったのに……。
「どうしたんだろう。弟くんのことが気になる……。大丈夫なんだろうか」
私は、シャーペンの手を止めて独り言のようにそう言っていた。
今ごろは、奈緒ちゃんと一緒のはずだ。
きっと奈緒ちゃんの家にいるんだろう。
カラオケに行こうかとも思ったけど、やっぱり1人で入るのには、どうにも……。
「ちょっと連絡してみようかな。変なことしてなきゃいいんだけど……」
私は、そう言いながら近くに置いてあるスマホを手に取り、楓の連絡先にラインを送ってみる。
香奈『今、何してるの?』
そのラインは、すぐに既読がついた。
そして、すぐに返しのラインが送られてくる。
楓『今、奈緒さんの家で練習中』
香奈『練習って、今日の練習は終わったはずだけど。なにか足りない部分でもあった? 流れの部分はやったんだけどな』
楓『そうなんだけど……。納得がいかない部分があったらしくて……。僕も付き合ってあげてるんだ』
奈緒ちゃんが、そんなことを言うなんてめずらしい。
納得のいかない部分って、どこの辺りなんだろう。
香奈『そうなんだ。とりあえずは、頑張ってって言いたいところだけど。変な事はしちゃダメだからね』
こんなの送っておいて『変な事』というのは、どうにも不自然か。
でも、ほかに言いようがないし。
楓『わかってるよ。気をつけるね』
楓から返ってきたラインは、これだった。
やっぱり奈緒ちゃんが、楓に何かやってるんだな。
いくら欲求不満だからって、楓に無理な要求をしてるんだ。
「やっぱり、弟くんと奈緒ちゃんを2人っきりにするのはダメなんだ……。なるべく私と一緒の時間を作らないと」
私は、スマホの画面を見ながら、1人そう言っていた。
これだとかえって、独占欲の強い女の子扱いされてしまいかねないが、仕方ないのかな……。
直接、奈緒ちゃんのスマホに連絡を入れるという手段もあるけど、楓とのラインのやりとりで大体のことは理解できた。
とりあえず、エッチなことはしていないから安心だ。
まったくもう……。
勘違いさせるような事は、控えてほしいな。
楓が帰ってきたのは、夜になってからだった。
私のことが気になってしょうがないのか、帰ってきたであろうタイミングで、楓からラインが入ってくる。
楓『今、帰ってきたよ。香奈姉ちゃんは、何をしていたの?』
これに対する返信を、どうしようか迷ってしまったのは言うまでもない。
今から、楓の家に行ってみようかな。
香奈『おかえりなさい。今から、弟くんの家に行こうと思うんだけど。…いいかな?』
楓からの質問には答えず、そのまま楓の家に行くという旨を伝える事にした。
楓は、なんて言ってくるだろうか。
楓『もちろん、いいよ。着替えをして待ってるよ』
香奈『それじゃ、今から行くね』
そう返信すると、私はスマホを机の上に置いて、ラフな格好に着替えをした。
下着は、いつもの可愛いものにしておこう。
何かを期待しているわけでもない。
一番大切なのは、楓の気持ちだ。
無理矢理エッチなことをしようとしたら、楓に嫌がられてしまうから、慎重にいかないと。
いつもどおりに楓の家に行くと、楓がキッチンで料理を作っていた。
隆一さんがいないところを見ると、一人分の料理を作っているんだろう。
私は、やや緊張気味に声をかける。
「やぁ、弟くん」
「あ、香奈姉ちゃん。こんばんは」
楓は、いつもと変わらない笑みを浮かべてそう返してきた。
その笑みを見せるってことは、今日は何もなかったみたいだ。
「料理作ってるんだね。良ければ、何か手伝おうか?」
「いや、大丈夫だよ。すぐに終わるから」
「そっか」
私は、それだけ言って居間の方で待つことにした。
やっぱり奈緒ちゃんのことを訊くのは、やめておいた方がいいかな。
私は、緊張した面持ちで楓に視線を向ける。
なんで緊張してしまうんだろう。
今までだったら、そんなことはなかったのに……。
「ねぇ、弟くん。奈緒ちゃんと2人っきりで、何をしていたの?」
「ん? 奈緒さんのギターの練習かな」
「そっか。ベースの方はどうなの? 練習とか必要なかった?」
「僕の方は、なんとか大丈夫だよ。香奈姉ちゃんたちとの練習でなんとかなる感じだから」
「そうなんだ」
私は、ぎこちない表情でそう言っていた。
う~ん……。会話が続かない。
こんな時は、何を言えばいいんだろう。
そんなことを思っていると、楓の方から質問が飛んできた。
「香奈姉ちゃんは、何をしていたの? もしかして、勉強とか──」
「そうだけど。何か悪いことでもあったかな?」
私は、ムッとした表情でそう言った。
楓に対してムッとしたわけじゃない。
なんか見透かされた感じがして、なんとなくっていう感じなのだ。
「そんなことは……。香奈姉ちゃんの場合は、進路のこともあるしね」
「弟くんは、進路のことは何か決めてあるの?」
「それは……。まだ決めてないっていうか……」
「私たちと一緒の大学に行くんだよね? そうだよね?」
「え、あ、うん。一応は……」
「同じ大学だよね?」
私は、あくまでもにこやかな笑顔でそう訊いてみる。
まさか違うところに行くだなんてことを決めていたら、承知しないんだから。
私の笑顔を見て、楓は素直に頷いた。
「う、うん。同じ大学、かな」
ちなみに私の進路は、男子と女子が一緒に通っている共学の大学だ。
ほどほどにランクも高い。
高校は流れとはいえ女子校を選んでしまったけれど、大学だけは失敗したくはない。
「それでいいんだよ。弟くん」
私は、納得したように楓にそう言っていた。
いかんせん、どうにも落ち着かない。
三年生になったのだから、進路のために勉強しなきゃとは思うのだけど、どうしても楓の顔がチラついてしまう。
以前は、こんなことはなかったのに……。
「どうしたんだろう。弟くんのことが気になる……。大丈夫なんだろうか」
私は、シャーペンの手を止めて独り言のようにそう言っていた。
今ごろは、奈緒ちゃんと一緒のはずだ。
きっと奈緒ちゃんの家にいるんだろう。
カラオケに行こうかとも思ったけど、やっぱり1人で入るのには、どうにも……。
「ちょっと連絡してみようかな。変なことしてなきゃいいんだけど……」
私は、そう言いながら近くに置いてあるスマホを手に取り、楓の連絡先にラインを送ってみる。
香奈『今、何してるの?』
そのラインは、すぐに既読がついた。
そして、すぐに返しのラインが送られてくる。
楓『今、奈緒さんの家で練習中』
香奈『練習って、今日の練習は終わったはずだけど。なにか足りない部分でもあった? 流れの部分はやったんだけどな』
楓『そうなんだけど……。納得がいかない部分があったらしくて……。僕も付き合ってあげてるんだ』
奈緒ちゃんが、そんなことを言うなんてめずらしい。
納得のいかない部分って、どこの辺りなんだろう。
香奈『そうなんだ。とりあえずは、頑張ってって言いたいところだけど。変な事はしちゃダメだからね』
こんなの送っておいて『変な事』というのは、どうにも不自然か。
でも、ほかに言いようがないし。
楓『わかってるよ。気をつけるね』
楓から返ってきたラインは、これだった。
やっぱり奈緒ちゃんが、楓に何かやってるんだな。
いくら欲求不満だからって、楓に無理な要求をしてるんだ。
「やっぱり、弟くんと奈緒ちゃんを2人っきりにするのはダメなんだ……。なるべく私と一緒の時間を作らないと」
私は、スマホの画面を見ながら、1人そう言っていた。
これだとかえって、独占欲の強い女の子扱いされてしまいかねないが、仕方ないのかな……。
直接、奈緒ちゃんのスマホに連絡を入れるという手段もあるけど、楓とのラインのやりとりで大体のことは理解できた。
とりあえず、エッチなことはしていないから安心だ。
まったくもう……。
勘違いさせるような事は、控えてほしいな。
楓が帰ってきたのは、夜になってからだった。
私のことが気になってしょうがないのか、帰ってきたであろうタイミングで、楓からラインが入ってくる。
楓『今、帰ってきたよ。香奈姉ちゃんは、何をしていたの?』
これに対する返信を、どうしようか迷ってしまったのは言うまでもない。
今から、楓の家に行ってみようかな。
香奈『おかえりなさい。今から、弟くんの家に行こうと思うんだけど。…いいかな?』
楓からの質問には答えず、そのまま楓の家に行くという旨を伝える事にした。
楓は、なんて言ってくるだろうか。
楓『もちろん、いいよ。着替えをして待ってるよ』
香奈『それじゃ、今から行くね』
そう返信すると、私はスマホを机の上に置いて、ラフな格好に着替えをした。
下着は、いつもの可愛いものにしておこう。
何かを期待しているわけでもない。
一番大切なのは、楓の気持ちだ。
無理矢理エッチなことをしようとしたら、楓に嫌がられてしまうから、慎重にいかないと。
いつもどおりに楓の家に行くと、楓がキッチンで料理を作っていた。
隆一さんがいないところを見ると、一人分の料理を作っているんだろう。
私は、やや緊張気味に声をかける。
「やぁ、弟くん」
「あ、香奈姉ちゃん。こんばんは」
楓は、いつもと変わらない笑みを浮かべてそう返してきた。
その笑みを見せるってことは、今日は何もなかったみたいだ。
「料理作ってるんだね。良ければ、何か手伝おうか?」
「いや、大丈夫だよ。すぐに終わるから」
「そっか」
私は、それだけ言って居間の方で待つことにした。
やっぱり奈緒ちゃんのことを訊くのは、やめておいた方がいいかな。
私は、緊張した面持ちで楓に視線を向ける。
なんで緊張してしまうんだろう。
今までだったら、そんなことはなかったのに……。
「ねぇ、弟くん。奈緒ちゃんと2人っきりで、何をしていたの?」
「ん? 奈緒さんのギターの練習かな」
「そっか。ベースの方はどうなの? 練習とか必要なかった?」
「僕の方は、なんとか大丈夫だよ。香奈姉ちゃんたちとの練習でなんとかなる感じだから」
「そうなんだ」
私は、ぎこちない表情でそう言っていた。
う~ん……。会話が続かない。
こんな時は、何を言えばいいんだろう。
そんなことを思っていると、楓の方から質問が飛んできた。
「香奈姉ちゃんは、何をしていたの? もしかして、勉強とか──」
「そうだけど。何か悪いことでもあったかな?」
私は、ムッとした表情でそう言った。
楓に対してムッとしたわけじゃない。
なんか見透かされた感じがして、なんとなくっていう感じなのだ。
「そんなことは……。香奈姉ちゃんの場合は、進路のこともあるしね」
「弟くんは、進路のことは何か決めてあるの?」
「それは……。まだ決めてないっていうか……」
「私たちと一緒の大学に行くんだよね? そうだよね?」
「え、あ、うん。一応は……」
「同じ大学だよね?」
私は、あくまでもにこやかな笑顔でそう訊いてみる。
まさか違うところに行くだなんてことを決めていたら、承知しないんだから。
私の笑顔を見て、楓は素直に頷いた。
「う、うん。同じ大学、かな」
ちなみに私の進路は、男子と女子が一緒に通っている共学の大学だ。
ほどほどにランクも高い。
高校は流れとはいえ女子校を選んでしまったけれど、大学だけは失敗したくはない。
「それでいいんだよ。弟くん」
私は、納得したように楓にそう言っていた。
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