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第十七話
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やっぱり素足だと寒いな。
ここまで寒いと、我慢しないでストッキングくらい履けばよかったかなって思う。
幸いにして雪は降っていないけど、吹いてくる風がすごく冷たい。
「うぅ……。やっぱり寒いなぁ」
私は、寒さのあまり身を震わせる。
防寒用にマフラーと手袋は身につけているけど、それだけだと限界もある。
やっぱりコートとかも羽織ってくればよかったな。
私の隣を歩いている楓も同じみたいで、私と同様に身を震わせていた。
「そうだね。僕も寒さには強くないから、ちょっと……」
「それならさ。手を繋いで歩こうよ。そうすれば、きっと温かいよ」
「そうかな……。あんまり意味はなさそうだけど」
「そっか。楓は、私と手を繋ぐのは嫌なんだ。なるほどね」
私は、楓の言い草にちょっとだけムッとなり、わざと拗ねてみせる。
案の定、楓は取り乱した様子で言った。
「え、いや……。そんなことないよ。香奈姉ちゃんと手を繋ぐのは嫌じゃないよ」
「ホントに?」
「うん。香奈姉ちゃんと手を繋ぐのは、ちょっとだけ恥ずかしいかなって思うくらいで、全然嫌なんかじゃ──」
「恥ずかしい…か。そんなのは、手を繋いでしまえば大丈夫だよ。恥ずかしさもなくなるから──」
そう言うと私は、楓の手を握る。
ただ握ったんじゃ意味がない。だから、男女のカップルがやっている『恋人繋ぎ』っていうのをやってみた。
あまり意識しすぎると楓に悟られてしまうから、自然な流れで繋ぐことにしたんだけど……。
楓は、気づいてくれたかな。
楓はすぐに私の方を見てきたが、私がいつもどおりの笑顔を見せていると、楓も笑顔で返してきた。
なんだか照れ臭いかも。
「香奈姉ちゃん」
「ん? 何?」
「香奈姉ちゃんの手…温かいね」
「そうかな? 楓の手も、充分温かいよ」
「ありがとう、香奈姉ちゃん。僕のことを好きでいてくれて──」
私の言葉に反応してかはわからないけど、楓はギュッと握り返してくる。
そんなことを言ってくるなんて、楓らしくない。
「そんなの……。お礼を言うことじゃないよ」
「だけど……」
「いいんだよ。私たちは幼馴染なんだから、変に気を遣う必要なんてないんだから」
「わかってはいるんだけど。なんとなくお礼を言っておかないとなって……」
「お姉ちゃんに向かってお礼を言うなんて。…やっぱり、私のことが好きなんだね」
「嫌いなわけがないよ。香奈姉ちゃんは、僕の大切な人なんだから──」
恥ずかしげもなくそう言うってことは、楓にも自覚が出てきたって事かな。
今までは、私からセックスなりしていったのだから、今度は楓からの誘いも期待していいんだよね。
「その言葉。絶対に忘れちゃダメだよ」
私は、笑みを浮かべてそう言った。
──放課後。いつもの学校帰り。
やっぱりこの季節に校門前で待つのは、気合がいるな。
この時間帯なら、すぐに楓がやって来るものかと思っていたんだが、なかなかやって来ない。
夏や秋なら気長に待てるんだけど……。
まさか、先に帰ってしまったとか──。
頼むから、そんな事だけはないようにしてほしい。
しばらく待っていると、またしても知らない男子生徒から声をかけられる。
「西田さんだよね? もしよかったら、俺と一緒に帰らない?」
いわゆる見た目が陽キャなイケメンっていう感じの男子生徒だ。
ナンパのつもりなんだろうか。
どうして私のことを放っておいてくれないんだろう。
こんな事があるから、一人で待っていたくないんだけど。
だからといって、奈緒ちゃんが一緒だと、余計にややこしくなるだろうし。
私は、あくまでも笑顔で応対する。
「ごめんなさい。今、人を待ってるの。だから、あなたとは一緒に帰れません」
「そんなこと言わないでさ。俺と一緒に帰ろうよ。きっと楽しいよ」
男子生徒は、そう言って私の手を掴もうとしてきた。
掴もうとしてきたっていうのは、もちろん未遂で終わったっていう事である。
タイミングよく楓がやってきたのだ。
「お待たせ、香奈姉ちゃん。掃除当番だったから、遅れちゃって……」
「くそっ! 彼氏待ちだったのかよっ!」
男子生徒は、楓の姿を見るや否やものすごく不機嫌そうな表情になり、その場から去っていった。
あの男子生徒が何がしたかったのかはわからないけど、私には関係ない。
私にとっては、楓がきちんとやってきた事が単純に嬉しいことだから。
楓は、あの男子生徒の事を気にかけるよりも私の事が心配だったのか、私の顔を見て心配そうに声をかけてくる。
「どうしたの、香奈姉ちゃん? 僕の顔に何かついてる?」
「ううん。何もついていないよ。そんな事よりも、一緒に帰ろう」
「うん」
私の言葉を聞いて安心したのか、楓は素直に頷いていた。
やっぱり楓は、そこまで積極的な性格はしていない。
次の楓の態度を見ていればわかることだ。
楓が私の手を握ってくるよりも早く、私が楓の手を掴んで歩きだす。
「うん。40点かな」
「なんの話?」
「私をエスコートするのに躊躇しているみたいだから、その点数が妥当かなって」
「それはまた……。100点には、程遠い話だね」
「100点じゃなくてもいいよ。楓なら、80点くらいで満足できるから」
「そっか。それなら、頑張って香奈姉ちゃんが満足できるような男にならないとな」
「うん。楓なら、絶対になれるよ」
私は、満面の笑顔を浮かべてそう言っていた。
もう、とっくに私が満足できるような男の子には、なってるんだけど……。
いい加減、私の『恋人』としての自覚を持ってほしいな。
ここまで寒いと、我慢しないでストッキングくらい履けばよかったかなって思う。
幸いにして雪は降っていないけど、吹いてくる風がすごく冷たい。
「うぅ……。やっぱり寒いなぁ」
私は、寒さのあまり身を震わせる。
防寒用にマフラーと手袋は身につけているけど、それだけだと限界もある。
やっぱりコートとかも羽織ってくればよかったな。
私の隣を歩いている楓も同じみたいで、私と同様に身を震わせていた。
「そうだね。僕も寒さには強くないから、ちょっと……」
「それならさ。手を繋いで歩こうよ。そうすれば、きっと温かいよ」
「そうかな……。あんまり意味はなさそうだけど」
「そっか。楓は、私と手を繋ぐのは嫌なんだ。なるほどね」
私は、楓の言い草にちょっとだけムッとなり、わざと拗ねてみせる。
案の定、楓は取り乱した様子で言った。
「え、いや……。そんなことないよ。香奈姉ちゃんと手を繋ぐのは嫌じゃないよ」
「ホントに?」
「うん。香奈姉ちゃんと手を繋ぐのは、ちょっとだけ恥ずかしいかなって思うくらいで、全然嫌なんかじゃ──」
「恥ずかしい…か。そんなのは、手を繋いでしまえば大丈夫だよ。恥ずかしさもなくなるから──」
そう言うと私は、楓の手を握る。
ただ握ったんじゃ意味がない。だから、男女のカップルがやっている『恋人繋ぎ』っていうのをやってみた。
あまり意識しすぎると楓に悟られてしまうから、自然な流れで繋ぐことにしたんだけど……。
楓は、気づいてくれたかな。
楓はすぐに私の方を見てきたが、私がいつもどおりの笑顔を見せていると、楓も笑顔で返してきた。
なんだか照れ臭いかも。
「香奈姉ちゃん」
「ん? 何?」
「香奈姉ちゃんの手…温かいね」
「そうかな? 楓の手も、充分温かいよ」
「ありがとう、香奈姉ちゃん。僕のことを好きでいてくれて──」
私の言葉に反応してかはわからないけど、楓はギュッと握り返してくる。
そんなことを言ってくるなんて、楓らしくない。
「そんなの……。お礼を言うことじゃないよ」
「だけど……」
「いいんだよ。私たちは幼馴染なんだから、変に気を遣う必要なんてないんだから」
「わかってはいるんだけど。なんとなくお礼を言っておかないとなって……」
「お姉ちゃんに向かってお礼を言うなんて。…やっぱり、私のことが好きなんだね」
「嫌いなわけがないよ。香奈姉ちゃんは、僕の大切な人なんだから──」
恥ずかしげもなくそう言うってことは、楓にも自覚が出てきたって事かな。
今までは、私からセックスなりしていったのだから、今度は楓からの誘いも期待していいんだよね。
「その言葉。絶対に忘れちゃダメだよ」
私は、笑みを浮かべてそう言った。
──放課後。いつもの学校帰り。
やっぱりこの季節に校門前で待つのは、気合がいるな。
この時間帯なら、すぐに楓がやって来るものかと思っていたんだが、なかなかやって来ない。
夏や秋なら気長に待てるんだけど……。
まさか、先に帰ってしまったとか──。
頼むから、そんな事だけはないようにしてほしい。
しばらく待っていると、またしても知らない男子生徒から声をかけられる。
「西田さんだよね? もしよかったら、俺と一緒に帰らない?」
いわゆる見た目が陽キャなイケメンっていう感じの男子生徒だ。
ナンパのつもりなんだろうか。
どうして私のことを放っておいてくれないんだろう。
こんな事があるから、一人で待っていたくないんだけど。
だからといって、奈緒ちゃんが一緒だと、余計にややこしくなるだろうし。
私は、あくまでも笑顔で応対する。
「ごめんなさい。今、人を待ってるの。だから、あなたとは一緒に帰れません」
「そんなこと言わないでさ。俺と一緒に帰ろうよ。きっと楽しいよ」
男子生徒は、そう言って私の手を掴もうとしてきた。
掴もうとしてきたっていうのは、もちろん未遂で終わったっていう事である。
タイミングよく楓がやってきたのだ。
「お待たせ、香奈姉ちゃん。掃除当番だったから、遅れちゃって……」
「くそっ! 彼氏待ちだったのかよっ!」
男子生徒は、楓の姿を見るや否やものすごく不機嫌そうな表情になり、その場から去っていった。
あの男子生徒が何がしたかったのかはわからないけど、私には関係ない。
私にとっては、楓がきちんとやってきた事が単純に嬉しいことだから。
楓は、あの男子生徒の事を気にかけるよりも私の事が心配だったのか、私の顔を見て心配そうに声をかけてくる。
「どうしたの、香奈姉ちゃん? 僕の顔に何かついてる?」
「ううん。何もついていないよ。そんな事よりも、一緒に帰ろう」
「うん」
私の言葉を聞いて安心したのか、楓は素直に頷いていた。
やっぱり楓は、そこまで積極的な性格はしていない。
次の楓の態度を見ていればわかることだ。
楓が私の手を握ってくるよりも早く、私が楓の手を掴んで歩きだす。
「うん。40点かな」
「なんの話?」
「私をエスコートするのに躊躇しているみたいだから、その点数が妥当かなって」
「それはまた……。100点には、程遠い話だね」
「100点じゃなくてもいいよ。楓なら、80点くらいで満足できるから」
「そっか。それなら、頑張って香奈姉ちゃんが満足できるような男にならないとな」
「うん。楓なら、絶対になれるよ」
私は、満面の笑顔を浮かべてそう言っていた。
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