僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜

柿 心刃

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第十四話

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放課後だから、さすがに楓も帰っただろうな。
そう思い、男子校の校門前まで向かう。
さすがに誰もいないかと思っていたんだけど、そこには一人の男子生徒が立っていた。
ここからだと誰だかわからない。もう少し近づいてみないと……。
背丈は普通かな。いや、少しだけ高いか。
表情を見ることができたのは、すぐのことだ。
それは、私が一番よく知る人物だった。
私の大切な幼馴染。楓だ。
なんで楓が、あんなところに立っているんだろう。
まさか誰かを待っているとか。
途端、私は心臓を直に鷲掴みにされるような感覚に襲われる。
また避けられてしまうんじゃないかって思うと、怖くなったのだ。

「か、楓……」

恐る恐る声をかけると、楓は私の方に視線を向ける。

「香奈姉ちゃん。えっと……」

楓は、私のところに真っ直ぐにやってきたが、すぐに視線を逸らす。
私、何かしたかな?
ふと考えてみるが、まるで心当たりがない。
私は、楓を真っ直ぐに見つめていた。
楓の頬は真っ赤になっている。
気恥ずかしくて、私から視線を逸らしているのがすぐにわかる状態だ。
だから私は、楓に訊いてみる。

「どうしたの、楓? 私の顔に何かついてるかな?」
「ううん。何もついてないよ」
「だったら何で、私から視線を逸らすの?」
「それは……」

やはり楓は、その辺について何も答えない。
いや。答えようとするんだけど、周囲の人たちの目があるから、答えにくいというのが正解だろうか。

「それじゃ、質問を変えるね。…ここで誰を待ってたの?」
「それは……。香奈姉ちゃんだけど……」
「うそ。絶対に違う人を待ってたでしょ? 隠したって無駄なんだからね」

違う人って、誰のことを言ってるんだろう。奈緒ちゃんのことかな?
それとも、他の女の子か。
自分でこんなことを言っててナンだが、その辺りのことはまったくわからないので、余計にモヤモヤする。
そんな私に、楓は言う。

「隠し事なんてしてないよ。僕が待っていたのは、まぎれもなく香奈姉ちゃんだよ」
「だったら何で、私のことを避けるような行動を取るのよ?」
「香奈姉ちゃんを避ける? 僕は、香奈姉ちゃんを避けたつもりはないんだけど……」
「避けたじゃない。朝、一緒に学校に登校しようとしたら、楓ったら先に学校に行っちゃったじゃない! それは、どう説明をするつもりなの?」
「それは……。先を急いでたっていうか、その……」

私がそう訊いた途端、楓はしどろもどろになる。
そんな楓を見ていると、どうしても許したくなってしまう。

「ふ~ん……。先を急いでいた…か。まぁ、それでもいいよ。でも、そういうことは前もって言ってほしいな」
「うん……。ごめん……」
「先に学校に行っちゃったから、私のことを捨てたのかと思っちゃったじゃない」
「香奈姉ちゃんを捨てる⁉︎ …そんなこと、考えたこともないよ」
「ホントに?」

私は、不安そうに楓の顔を見る。
男の子の中には、たまにいるらしいのだ。
エッチなことを楽しんだら、あっさり捨てる人が──。
楓に限って、そんなことはしないんだろうけど。それでも一応、言っておかないと私としては納得できなかったのだ。
楓は、私の言葉の意味を察したのか、気恥ずかしそうに笑みを浮かべる。

「僕は、香奈姉ちゃんのことをそんな風に考えたことはないよ。香奈姉ちゃんは僕の大事な人だと思っているよ」
「それならさ。私にキスしてよ」
「え……。ここで?」
「私のこと、大事な人だと思ってるんでしょ? それなら、そのくらいの事できると思うのよね」

私は、楓の顔に手を添えてそう言った。
やっぱり、男子校の校門前でキスするとかは無理なのかな。
とりあえず、楓の反応を見てみよう。
楓は、私の顔に手を触れてきて

「一回だけだよ」

と言った。
次の瞬間には、楓の唇が私の唇にそっと触れてくる。
優しいキスだ。
周囲に人がいなかったから、キスできたんだろう。
たぶん人がいたらいたで、楓のことだから、はぐらかして終わりだったんだろうな。
私はゆっくりと瞼を閉じて、楓の体を抱きしめる。
そうしたのは、楓のことが愛おしいと思ったからだ。
私の意思を汲んでくれたのか、楓も私の体を抱きしめてきた。

「楓……」
「香奈姉ちゃん……」

ここでやめなきゃいけないのは、わかってる。
だけどやり始めたら、想いがあふれてきて止まらない。
楓も同じ気持ちなんだろう。
私のことをギュッと抱きしめてくる。
このくらいの方が、私にはちょうどいい。
しばらくして。
楓は、ゆっくりと私から離れると、微笑を浮かべて言った。

「とりあえず、続きは家に帰ってからでいいかな?」
「うん」

私は、とりあえず頷く。
続きって、何をするつもりなんだろうか。
まさかキスの続きだから、エッチな事とかかな。
楓からしてくれるのは、嬉しいことだけど。
楓は私の手を取って、そのまま歩き出した。
私のことを避けてると思っていたんだけど。それは、どうやら勘違いだったみたいだ。
私は、楓の背中を見て安堵していた。

楓の家に着くと、私はいつもどおりに

「お邪魔します」

と言って、中に入る。
楓の家に入って向かう場所は、楓の部屋だ。
私は、まっすぐに階段を登り始める。

「今日は、ピンク色か」

と、少し下の方から楓の声が聞こえてきた。
何のことを言ってるのかは、すぐにわかる。
ピンク色っていうのは、私が今日、穿いてるショーツの色だ。
女子校の制服のスカートの丈は、少し短い。だから、ちょっと階段を登っただけでも、ローアングルから覗くことができてしまうのだ。
私は、思わず制服のスカートの裾を手で押さえる。

「もう! どこ見てるのよ」
「今日は、何色かなって思って、つい──」
「『つい』じゃないでしょ。いくら見られても平気だからと言っても、恥ずかしいものは恥ずかしいんだからね。…気を遣いなさいよね」
「ごめん……」

楓は、素直に謝ってきた。
実際のところ、楓には見られても平気なんだけどね。
一応、見られて恥ずかしいっていうアピールをしておかないとダメな気がするのだ。
私も、楓の前ではかなり曝け出している方だから、なんとも言えないんだけど……。

「まぁ、どうせ…ね」

私は、そう言って先に階段を登っていった。
その時の楓の顔がとても気になったけど、敢えて見ないでおこう。

楓の部屋に入ると、私はさっそく制服を脱ぎ始めた。
ネクタイからブラウスのボタンと、一つ一つ丁寧に外していき、ゆっくりと脱いでいく。
そのままでもよかったんだけど、私的には早く制服を脱ぎたかったのだ。

「どう? 私の裸は? …綺麗でしょ?」

全部脱いだのだから、当然、今は下着姿である。
──さて。楓はどんな反応をするかな。
さすがに何度も私の裸を見ていることだし、きっと良い答えが返ってくるはず。

「僕の目の前で制服を脱いで、言うことはそれなんだ」

楓は、そう言って力なく笑う。
なんだ、その残念そうな顔は……。
もっと嬉しそうな顔をしてよね。

「何よ、その反応は? 私の裸は、もう見慣れてしまって飽きたってこと?」
「香奈姉ちゃんの体は綺麗だよ。ただ──」
「何よ? 何かあるのなら、はっきり言いなさい」
「裸になるんなら、さっきの階段のところで怒った意味がないような気がするんだけど……」
「あれは、違うんだよ。…何というか、他の男の子にスカートの中を見られてしまったっていう感覚があって、その……」
「なるほど。下着姿なら、本人が意図的にやってることだから、恥ずかしくないってことだね」
「それは……。そうかもしれないけど……」

私は、制服のスカートを手に持ってそう言った。
下着姿を見せるのも、十分に恥ずかしいんだけどな。
楓は、私が穿いてるショーツの方を見てきて、訊いてくる。

「それにしても。今日の下着は、なんだか可愛いね。何かを意識してるの?」
「ん? 特には意識してないよ。いつもどおりかな」

私は、ショーツに手を触れてそう答えた。

「そうなんだ。いつもどおり…か」

楓は、なぜか落ち込んでる様子でそう言う。
私、何か気に障ることでも言ったかな。

「どうしたの?」
「いや……。その……」

楓は答えてくれない。
頬を赤く染めて私から視線を逸らしている。
あ……。
楓のその顔は、私とエッチなことをしたいんだ。
私は、笑みを浮かべて楓の傍に寄り添う。
楓は、ハッとした表情で私を見る。

「あ……」
「私とエッチなことをしたいんでしょ?」
「それは……」

楓の手が私の下着に触れてきた。
ブラジャーの方にだ。
私的には、ショーツの方を触ってほしかったけど。
今日は、おっぱいを触らせてあげたい気分じゃない。
そんな気分じゃない時に限って、楓はおっぱいを触ってくるからなぁ。
その証拠に、楓の手はゆっくりと私のおっぱいを揉みしだきながらブラジャーを外そうとしてるし。

「あ……」

私は、ビクンと体を震わせる。
嫌なはずなのに、抵抗ができない。
それどころか、私の体が楓を求めているなんて……。
もう片方の楓の手は、ショーツに手を伸ばしている。
なんだか今日の楓は、めずらしく積極的だ。
何かあったのかな。
どちらにしろ、このチャンスを逃がしたらダメだ。

「パンツとブラジャー。外してもいいかな?」
「うん。いいよ」

私は、微笑を浮かべてそう答えていた。
その笑みは、ちょっと無理があったかもしれない。
それを知ってか知らずか、楓はまず、私が身につけてるブラジャーを外そうと手を掛けてくる。
本格的にエッチをしようとしてくる楓に対して、私はどこまで応えられるだろうか。

「んっ……」

やっぱり、今日はおっぱいを触られるのは嫌だ。
なんとなく胸が張っている感じなので、昨日みたいに触られたら、その刺激で変な気持ちになりそうだ。

「嫌……」

私は、たまらず身をすくませる。
私の態度に、楓は怒ったりせず、ゆっくりと手を引いた。

「昨日、思いきり触っちゃったからね。嫌なのは仕方ないかもしれないね」
「うん。ごめん……。その代わり、こっちはいいよ」

私は、そう言って穿いているショーツに指を掛ける。
今日は、こっちの方を主に触ってほしい気分なんだよね。
もちろんブラジャーも外すけど、まずはショーツから──。
楓は、その気になってくれるだろうか。
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