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第十二話
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いつもの学校帰り。
香奈姉ちゃんは、僕を見つけると笑顔で駆け寄ってきた。
「お待ちしていました、ご主人様。一緒に帰りましょう」
そんな言葉を他の男子生徒たちがいる前で言ったものだから、さぁ大変。
周りにいた男子生徒たちは、あまりの事に騒然となる。
「ご主人様って……。あいつ、俺たちの憧れの西田先輩になんて呼ばせ方してるんだよ」
「あいつ、許さねえ」
「一体、どういうことなんだ?」
そんな男子生徒たちの声が聞こえてきていた。
僕の方は、脳の処理が追いつかずにその場で固まってしまう。
そんな僕の状態を知ってか知らずか、香奈姉ちゃんは僕の右腕にそっと腕を絡ませてくる。
「どうしたんですか、ご主人様? はやく帰りましょう」
「え、あ…うん。そうだね」
僕の口からやっと出てきた言葉はこれだった。
まさか学校帰りの時にまで、メイドの口調で言ってくるなんて思いもしなかったのだ。
せめて、『ご主人様』って言ってくる時は、メイド服を着た状態で言ってきてほしいんだけどな。
制服の時は、普段どおりでいいのに。
香奈姉ちゃんは、上機嫌で僕の腕を引っ張って歩いていく。
僕は、周囲から痛いくらいの視線を浴びつつも、香奈姉ちゃんと歩いていった。
お願いだから、あんまり見ないでほしいな。
僕の部屋にたどり着くと、香奈姉ちゃんはすぐに制服を脱ぎ始める。
僕の部屋にいるのは僕と香奈姉ちゃんだけなので、特に問題はない。ちなみに、下着の色は白。
問題があるとすれば、僕の部屋にメイド服があることだ。
いつからそこにあったのかわからないが、香奈姉ちゃんはハンガーに掛けてあるメイド服に手を伸ばす。
きっと、そのメイド服は母が用意したものに違いない。
おそらく、僕が香奈姉ちゃんに言ったことを、逐一聞いていたんだろう。
まったく、母さんも人が悪い。
僕に下着姿を見られても平然としているのは、もう全裸を見られてるから平気だと思っているんだろう。
「今、着替えますので、少々お待ちくださいね」
「部屋の外で待っていようか?」
さすがに、香奈姉ちゃんの着替えを見るわけにはいかないと思い、そう言っていた。
しかし香奈姉ちゃんは、僕の部屋のドアの前に立って、僕が部屋の外に出ようとするのを阻む。
「私がメイド服に着替えているところを、じっくりと見ていただきたいんです。どうか、このままで──」
「でも……」
「それでも、部屋の外に出るって言うんでしたら──」
香奈姉ちゃんは、下着姿で僕に抱きついてきた。
「この姿でたっぷりとご奉仕するよ」
「それは……」
「私の着替えを見るか、ご奉仕してほしいか。この場で選んでください」
ご奉仕って、一体何をするつもりなんだろうか。
もしかして、エッチなこと?
とても気になるが、聞かない方がいい気もするんだよな。
だから、ご奉仕の方はやめておこう。
「わかったから。香奈姉ちゃんの着替えを見てるから。だから、離れてよ」
「わかりました。…では、着替えますね」
香奈姉ちゃんは、ゆっくりと僕から離れ、メイド服を着用し始めた。
目の前でメイド服に着替えるのって、どんな気分なんだろう。
着替えている本人はそんなに気にしなくても、着替えを目の前で見ている方は、結構気を遣うよな。
香奈姉ちゃんは、「ふんふ~ん」と鼻歌を歌いながらメイド服の色に合わせた白のニーソックスを穿いていた。
「もう少し待ってくださいね。このニーソックスを穿いたら完了ですから」
「うん」
香奈姉ちゃんの言葉に、僕はそう返事をする。
メイド服を着るのって、意外と大変なんだな。
文化祭の時に着たメイド服は、コスプレ衣装ってのもあったけど、着付けに香奈姉ちゃんや奈緒さんが手伝ってくれたから、そこまで面倒はなかったんだけど。
そういえば、女子たちの着付け途中の光景は見なかったな。
やっぱり、メイド服に着替えるのって大変なんだろうか。
「ねぇ、香奈姉ちゃん」
「なんですか? ご主人様」
こんな時にまで『ご主人様』っていうのは、正直やめてほしいな。
「メイド服って、着たりするのは大変だったりする?」
「いえ、慣れれば快適な着心地ですよ。尽くす相手がいたら、苦にならないくらいです」
「そうなんだ」
「はい!」
香奈姉ちゃんは、屈託のない笑顔を浮かべる。
その笑顔はとっても可愛いんだけど。
なんか、聞いた僕がバカだったかな。
ニーソックスを穿き終えると、香奈姉ちゃんは問答無用で僕の側に寄り添ってきた。
「お待たせしました、ご主人様。今日も、全力であなたにご奉仕しますね」
「具体的には何をするの?」
「何なりとおっしゃってください。私にできることであれば、何でもやってあげますから」
香奈姉ちゃんは、そう言って腕を絡めてくる。
そうは言うけど、さすがに無理があるだろう。
「いや、大抵のことは自分でできるし、大丈夫かと思うんだけど……」
「そうですか……。少し残念です」
そんな悲しそうな顔をされても……。
ホントに自分のことは自分でできるし。
兄なら、色々と頼んでいるのかもしれないけどさ。
まぁ、せっかくだから、僕も一つくらいは頼んでみようかな。
「それならさ。今日の宿題を一緒にやってくれるかな」
「ご主人様の今日の宿題を…ですか?」
「ダメなら別にいいんだ。こういうのは自分でやってこそ意味があるものだし」
「ダメなわけないじゃないですか。はやく見せてください」
香奈姉ちゃんは、微笑を浮かべてそう言った。
気のせいか、香奈姉ちゃんの表情がパァッて明るくなってるし。
きっと、こうして頼りにされるのが嬉しいんだろう。
僕からしたら、香奈姉ちゃんが僕の宿題を一緒に見てくれるのは、ホントに心強い。
僕は、机の横にあるテーブルを取り出して、部屋の真ん中に広げた。
香奈姉ちゃんは、僕を見つけると笑顔で駆け寄ってきた。
「お待ちしていました、ご主人様。一緒に帰りましょう」
そんな言葉を他の男子生徒たちがいる前で言ったものだから、さぁ大変。
周りにいた男子生徒たちは、あまりの事に騒然となる。
「ご主人様って……。あいつ、俺たちの憧れの西田先輩になんて呼ばせ方してるんだよ」
「あいつ、許さねえ」
「一体、どういうことなんだ?」
そんな男子生徒たちの声が聞こえてきていた。
僕の方は、脳の処理が追いつかずにその場で固まってしまう。
そんな僕の状態を知ってか知らずか、香奈姉ちゃんは僕の右腕にそっと腕を絡ませてくる。
「どうしたんですか、ご主人様? はやく帰りましょう」
「え、あ…うん。そうだね」
僕の口からやっと出てきた言葉はこれだった。
まさか学校帰りの時にまで、メイドの口調で言ってくるなんて思いもしなかったのだ。
せめて、『ご主人様』って言ってくる時は、メイド服を着た状態で言ってきてほしいんだけどな。
制服の時は、普段どおりでいいのに。
香奈姉ちゃんは、上機嫌で僕の腕を引っ張って歩いていく。
僕は、周囲から痛いくらいの視線を浴びつつも、香奈姉ちゃんと歩いていった。
お願いだから、あんまり見ないでほしいな。
僕の部屋にたどり着くと、香奈姉ちゃんはすぐに制服を脱ぎ始める。
僕の部屋にいるのは僕と香奈姉ちゃんだけなので、特に問題はない。ちなみに、下着の色は白。
問題があるとすれば、僕の部屋にメイド服があることだ。
いつからそこにあったのかわからないが、香奈姉ちゃんはハンガーに掛けてあるメイド服に手を伸ばす。
きっと、そのメイド服は母が用意したものに違いない。
おそらく、僕が香奈姉ちゃんに言ったことを、逐一聞いていたんだろう。
まったく、母さんも人が悪い。
僕に下着姿を見られても平然としているのは、もう全裸を見られてるから平気だと思っているんだろう。
「今、着替えますので、少々お待ちくださいね」
「部屋の外で待っていようか?」
さすがに、香奈姉ちゃんの着替えを見るわけにはいかないと思い、そう言っていた。
しかし香奈姉ちゃんは、僕の部屋のドアの前に立って、僕が部屋の外に出ようとするのを阻む。
「私がメイド服に着替えているところを、じっくりと見ていただきたいんです。どうか、このままで──」
「でも……」
「それでも、部屋の外に出るって言うんでしたら──」
香奈姉ちゃんは、下着姿で僕に抱きついてきた。
「この姿でたっぷりとご奉仕するよ」
「それは……」
「私の着替えを見るか、ご奉仕してほしいか。この場で選んでください」
ご奉仕って、一体何をするつもりなんだろうか。
もしかして、エッチなこと?
とても気になるが、聞かない方がいい気もするんだよな。
だから、ご奉仕の方はやめておこう。
「わかったから。香奈姉ちゃんの着替えを見てるから。だから、離れてよ」
「わかりました。…では、着替えますね」
香奈姉ちゃんは、ゆっくりと僕から離れ、メイド服を着用し始めた。
目の前でメイド服に着替えるのって、どんな気分なんだろう。
着替えている本人はそんなに気にしなくても、着替えを目の前で見ている方は、結構気を遣うよな。
香奈姉ちゃんは、「ふんふ~ん」と鼻歌を歌いながらメイド服の色に合わせた白のニーソックスを穿いていた。
「もう少し待ってくださいね。このニーソックスを穿いたら完了ですから」
「うん」
香奈姉ちゃんの言葉に、僕はそう返事をする。
メイド服を着るのって、意外と大変なんだな。
文化祭の時に着たメイド服は、コスプレ衣装ってのもあったけど、着付けに香奈姉ちゃんや奈緒さんが手伝ってくれたから、そこまで面倒はなかったんだけど。
そういえば、女子たちの着付け途中の光景は見なかったな。
やっぱり、メイド服に着替えるのって大変なんだろうか。
「ねぇ、香奈姉ちゃん」
「なんですか? ご主人様」
こんな時にまで『ご主人様』っていうのは、正直やめてほしいな。
「メイド服って、着たりするのは大変だったりする?」
「いえ、慣れれば快適な着心地ですよ。尽くす相手がいたら、苦にならないくらいです」
「そうなんだ」
「はい!」
香奈姉ちゃんは、屈託のない笑顔を浮かべる。
その笑顔はとっても可愛いんだけど。
なんか、聞いた僕がバカだったかな。
ニーソックスを穿き終えると、香奈姉ちゃんは問答無用で僕の側に寄り添ってきた。
「お待たせしました、ご主人様。今日も、全力であなたにご奉仕しますね」
「具体的には何をするの?」
「何なりとおっしゃってください。私にできることであれば、何でもやってあげますから」
香奈姉ちゃんは、そう言って腕を絡めてくる。
そうは言うけど、さすがに無理があるだろう。
「いや、大抵のことは自分でできるし、大丈夫かと思うんだけど……」
「そうですか……。少し残念です」
そんな悲しそうな顔をされても……。
ホントに自分のことは自分でできるし。
兄なら、色々と頼んでいるのかもしれないけどさ。
まぁ、せっかくだから、僕も一つくらいは頼んでみようかな。
「それならさ。今日の宿題を一緒にやってくれるかな」
「ご主人様の今日の宿題を…ですか?」
「ダメなら別にいいんだ。こういうのは自分でやってこそ意味があるものだし」
「ダメなわけないじゃないですか。はやく見せてください」
香奈姉ちゃんは、微笑を浮かべてそう言った。
気のせいか、香奈姉ちゃんの表情がパァッて明るくなってるし。
きっと、こうして頼りにされるのが嬉しいんだろう。
僕からしたら、香奈姉ちゃんが僕の宿題を一緒に見てくれるのは、ホントに心強い。
僕は、机の横にあるテーブルを取り出して、部屋の真ん中に広げた。
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