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第十一話

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香奈姉ちゃんは最近、エッチなことをするためのゴムをいくつか持ち歩いているみたいだ。
何のために持ち歩いているかというと、本人曰く、非常用らしい。

「ねぇ、楓」

香奈姉ちゃんは、僕の部屋の本棚を点検するように見ながら、僕に声をかけてきた。
なぜ僕の部屋にいるかというと、今日もいつものように泊まりに来たからだ。
その証拠に、次の日に着ていく制服やら鞄やらが部屋の壁に掛かっていた。
ここまでくると、もう誰の部屋だかわからないくらいだ。

「何? 香奈姉ちゃん」

ベッドをソファーの様にして腰掛けてリラックスしていた僕は、香奈姉ちゃんの方に視線を向ける。
香奈姉ちゃんは、スカートのポケットの中からゴムを取り出して僕に見せた。

「良かったら、今日も私とやってみようか?」
「何をやるの?」

僕は、わざとそう聞き返す。
香奈姉ちゃんからゴムを見せられて何をするのかって聞かれたら一つしかないけど、それでも違うことかもしれないし。
しかし、香奈姉ちゃんは怒った様な呆れたような表情を浮かべて言う。

「これを見せてやることって言えば、エッチなことしかないじゃない!」
「エッチなことって……。香奈姉ちゃんの方は大丈夫なの?」

たしかに好きな人とセックスするのって、とても気持ちいいけどさ。
心の繋がりが希薄になっちゃうんじゃないかって思ってしまうんだよな。
まぁ、香奈姉ちゃんの場合は、ちょっと大きめなその胸も触らせてくれるから、そんなことはないかと思うんだけど……。

「私のことなら心配いらないわよ。生理の日もとっくに過ぎているし。ホントなら、生でしたいくらいなんだよ」
「いやいや、さすがにそれは……。僕たち、まだ高校生だし」
「高校生なら、なんなの? 付き合っているなら、エッチなことは当たり前にやるでしょ?」
「普通の高校生なら、やっても手を繋ぐかキスくらいだよ」
「キスなんて、ほら──」

香奈姉ちゃんは、簡単なことだと言わんばかりに僕の唇にキスをしてくる。

「こんな簡単にできることなんだよ。…楓の方はどうなの?」
「僕の方はその……。香奈姉ちゃんが嫌でなければ、できるかな」

僕は、真剣な眼差しで香奈姉ちゃんを見た。
香奈姉ちゃんは、もうすでに準備ができているのか、上の服を脱いで言う。

「そういうことならさ。今からヤってしまおうよ」
「え?」
「私は、嫌じゃないからね。だからエッチしよ」

そんなことをゴムを見せて言われても……。
急にセックスなんてできるわけがない。
こういうのは、『雰囲気』と『流れ』が重要だと思うし。

「それって、気分的にしたい…て意味だよね?」
「ううん。そうじゃないよ。相手が楓だからしたいんだよ。ダメかな?」

香奈姉ちゃんは、そう言ってずいっと僕の目の前まで近づいてくる。
その様子からして、僕とエッチがしたいって出ているよ。
だけど──

「今は、そういう気分じゃないんで。ごめん……」

僕は、丁重にお断りする。
これでいいはずだ。
セックスなんて、何回もすることじゃない。
そう思っていたが、香奈姉ちゃんの目からポロポロと涙が出てきた時には、さすがに動揺してしまう。

「ちょっ……⁉︎ 香奈姉ちゃん⁉︎」
「そっか……。楓は、私となんてエッチをしたくないんだね。一回ヤったら捨てちゃうんだ……」

そう言うと香奈姉ちゃんは、両手で顔を押さえ泣き始めた。

「いや……。そういうことじゃなくて……。これには理由が──」
「どういう理由なの?」
「好きな人を大事にしたいっていうか、その……。好きな人とセックスする時は、ムードを大事にしたいんだよ」
「ムードを大事にしたいのなら、私を泣かせたりするのはNGだよ」
「ごめんなさい」

僕は、素直に謝る。
そういう気分じゃないのは、たしかにあるし。
それにエッチって何回もしたら、いけないんじゃなかったっけ?
女性の身体に悪影響を与えるとかなんとかって、聞いたことがあるような。

「もういいよ。楓がしたくないのなら、しょうがないし」
「うん……。ごめん……。僕のあそこが、そんなに元気じゃないから」
「そうなの?」
「香奈姉ちゃんのおっぱいやパンツを見ただけじゃ、どうにも勃たないようで……」
「それなら、私が楓のあそこを勃たせてあげるよ。…それならどうかな?」
「どうやって勃たせるつもりなの?」
「そんなの、いくらだってあるでしょ。例えば、裸を見せるとかね」

香奈姉ちゃんはそう言うと、僕の目の前でブラジャーを外し、胸を見せてくる。
見慣れてるとはいえ、いつ見ても形の良いおっぱいだ。
つい触りたくなってしまう。
僕は、触りたい気持ちをグッと我慢して、香奈姉ちゃんを見ていた。
香奈姉ちゃんは、頬を赤くして訊いてくる。

「どう? 触りたいでしょ?」
「そんなことはない…けど」
「我慢しなくてもいいんだよ。触りたければ、遠慮なく触ってもいいからね──」

そんなこと言われたら、余計に触りたくなっちゃうじゃないか。
僕の手は、本能的にそちらに伸びてしまう。
香奈姉ちゃんの胸に手が触れそうになったところで、僕はハッと我にかえり手を引っ込める。

「どうしたの? 触らないの?」
「触っちゃったら最後、そのままエッチなことをする流れでしょ?」
「そこまでわかってるんならしょうがないよね。──それ!」

香奈姉ちゃんは、僕に覆い被さる形で抱きついてきた。

「ちょっ……。香奈姉ちゃん⁉︎」

僕は抵抗しようと暴れるが、その前に香奈姉ちゃんは僕の両手を優しく握り、そのまま胸を触らせる。
乳首の形がハッキリとわかるくらい、香奈姉ちゃんのおっぱいは勃っていた。
ここまでしてヤりたいのか。
だったら、香奈姉ちゃんに快感を与えてあげようかな。
僕は、香奈姉ちゃんの胸を軽く揉んだ。

「んっ……」

途端、香奈姉ちゃんの頬が赤くなる。

「ここがいいの?」
「あんまり激しくしないで。変な気持ちになっちゃうから」
「わかった。あまり強くしないでおくね」
「うん。お願い……」

胸を触らせる行為は、本当ならしたくはないんだろう。
香奈姉ちゃんの顔を見ればすぐにわかる。
僕も、できるならこんな事したくない。

「嫌なら、すぐに言ってね。我慢したらダメだからね」

僕は、香奈姉ちゃんの耳元で囁くようにそう言った。
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