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第五話 「アニメキャラの変装はなぜかバレない」
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嶺二は途中銀行に立ち寄り本屋に着くと、布教用のラノベを補填するつもりだったが、気が付くと新刊コーナーにフラフラと立ち寄っていた。
人は『ニュー』とか『新作』と言った言葉にに引き付けられる生き物なのだ。
「うーん、やっぱり主流は異世界モノか……」
嶺二は今月のお小遣いと、口座の残高を脳内で照らし合わせた。
新刊は買いたい、しかしお財布はカツカツである。だが同時に、あの面白いアニメの原作も買いたい。
どうやらもう嶺二の中では、当初の目的の買い物だけではなく他の買い物をすることも確定事項の様だ。
というか新刊も同じものを三冊買うつもりなのだろうか。この主人公、金遣いが荒すぎて将来が心配である。
「これとこれと……悩むなぁ」
「ねえねえ、君」
誰かに呼ばれた気がしたが、気のせいだろう。嶺二はまた、新刊コーナーにある欲しい書籍を自分の中でランキング付けして、上位三つを絞り込む作業に戻った。
「ちょっと、君ってば!」
嶺二は一瞬その声の方向を向くも、何となく知ってる人のような気もしたが、よくよく見ると知らない人だったので、
ーーこれ反応したら実は声を掛けられたのは隣の人で、声を掛けた人に話しかけるも相手からしたら急に話に割り込んできたおかしな奴って評価をいただく上に、自分が死ぬほど恥ずかしくなる奴だ……
「そもそも知り合いでも、非オタの知り合いとラノベコーナーで真剣な顔で選んでる所に鉢合わせって……僕だったら死ねるな」
「全くもって同感ね」
「ヒエッ」
気が付くと、隣に帽子を被った黒髪の美少女がこちらをのぞき込んでいた。
「だ、誰ですか!?」
嶺二が咄嗟にそう聞くと、彼女は首をかしげながら言った。
「どうでもいいじゃない、そんなこと」
ーーいえ、普通知らない人に声を掛けられたら、その人が誰なのか。それと何の用があって話しかけてきたのか気になると思うんですけど。
「えっと、何か御用で?」
嶺二は引きつった笑みで、なんとか声を絞り出した。
「ん? なんとなく気になったから?」
「そうですか……」
ーー君子危うきに近寄らず、美人さんだけど変な人だし、申し訳ないけどさっさとトイレにでも逃げ込んで撒かせてもらおう。
「あー、すみません。ちょっとトイレに行きたいので……それでは」
嶺二が立ち去ろうとすると、彼女は慌てた様子で質問を投げかけてきた。
「あ、ちょっと!! ねえ君!! 最後に一つだけ質問!! もしも誰にも気を遣わずに、趣味仲間だけが集まる部活があったらさ、君は入りたい?」
いきなりなんだろうか、脈絡がなさ過ぎて嶺二は混乱しながらもこう返した。
「そうですね……もしもそんな部活があるなら、是非とも入りたいとは思いますね」
彼女はその答えを聞くと、満足したのか去っていった。
「何だったんだ? 一体」
全くもって謎である、嶺二は不思議に思いながらラノベ選びに戻ろうとしたが。
「それはそれとしてやっぱりトイレ行こ、漏れそうだ」
「お会計、22,066円になります」
結局、予定していた買い物以外にも大量に買い込んだせいで、中々の金額になってしまった。
予想外の金額に、若干顔を青くしながら嶺二は支払いを終えると、両手に紙袋をそれぞれ持ち、プルプルと震えながら帰宅した。
次の日。
「おはようございます」
「おはよう」
嶺二は校門をくぐり、玄関に居る先生に挨拶し靴箱で靴を履き替えていると、夏美が登校してきた。
「おはよう佐倉さん」
「おはよう嶺二君」
「今日からいよいよ授業開始だね」
「そうね、嶺二君! お互い頑張ろう!」
「おー!」
「そういえばこの学校、学食と購買どっちもあるよね。佐倉さんはお昼どうするの?」
「私? 私はお弁当かな。けど一回は両方とも行ってみたいな」
ーーこれだよこれ! なんか僕、今物凄く青春出来てる!
夏美ととりとめのない会話をしている内に、嶺二達は教室に着いた。
「おはよう」
「おはよ~」
教室の扉を開けながら、夏美と嶺二は挨拶する。
「おはよう!」
「おはよ!」
「「「おはようございます」」」
「ヒッ」
嶺二を出迎えたのは、鬼の形相をした男子たちだった。
なんとか事無きを得た嶺二は、現在授業中に襲い掛かる睡魔と格闘中であった。
「えーよって、この式の展開は~」
先生が式の解き方を解説しているが、嶺二は半分夢の中だ。昨晩、夜更かししてラノベを一晩で三冊読破せいである。
「痛っ」
その時、嶺二の頭に何かが当たった。
「なんだよもう」
嶺二が周りを見渡すと、床に丸まった紙が落ちていた。嶺二はそれを拾い、机の上で広げて読んだ。
「なになに? 新聞部主催、4月期全校生徒人気ランキング。期日は4月の末まで。へーこんなのあるんだ……というか入ったばっかで分からないんだけど」
その投げつけられてきた人気ランキングの告知用紙の説明文によると、年に二回新聞部主催で男子部門女子部門に分けられて集計されるらしい。
見たら速やかに回すべし! と書かれていたので、とりあえず前の席の女子に手渡した。
そして、嶺二達が数式と格闘し、おじいちゃん先生のゆっくりとした口調に夢の国へ招待されたりとなんとか踏ん張っていると、やっと昼休みが訪れた。
人は『ニュー』とか『新作』と言った言葉にに引き付けられる生き物なのだ。
「うーん、やっぱり主流は異世界モノか……」
嶺二は今月のお小遣いと、口座の残高を脳内で照らし合わせた。
新刊は買いたい、しかしお財布はカツカツである。だが同時に、あの面白いアニメの原作も買いたい。
どうやらもう嶺二の中では、当初の目的の買い物だけではなく他の買い物をすることも確定事項の様だ。
というか新刊も同じものを三冊買うつもりなのだろうか。この主人公、金遣いが荒すぎて将来が心配である。
「これとこれと……悩むなぁ」
「ねえねえ、君」
誰かに呼ばれた気がしたが、気のせいだろう。嶺二はまた、新刊コーナーにある欲しい書籍を自分の中でランキング付けして、上位三つを絞り込む作業に戻った。
「ちょっと、君ってば!」
嶺二は一瞬その声の方向を向くも、何となく知ってる人のような気もしたが、よくよく見ると知らない人だったので、
ーーこれ反応したら実は声を掛けられたのは隣の人で、声を掛けた人に話しかけるも相手からしたら急に話に割り込んできたおかしな奴って評価をいただく上に、自分が死ぬほど恥ずかしくなる奴だ……
「そもそも知り合いでも、非オタの知り合いとラノベコーナーで真剣な顔で選んでる所に鉢合わせって……僕だったら死ねるな」
「全くもって同感ね」
「ヒエッ」
気が付くと、隣に帽子を被った黒髪の美少女がこちらをのぞき込んでいた。
「だ、誰ですか!?」
嶺二が咄嗟にそう聞くと、彼女は首をかしげながら言った。
「どうでもいいじゃない、そんなこと」
ーーいえ、普通知らない人に声を掛けられたら、その人が誰なのか。それと何の用があって話しかけてきたのか気になると思うんですけど。
「えっと、何か御用で?」
嶺二は引きつった笑みで、なんとか声を絞り出した。
「ん? なんとなく気になったから?」
「そうですか……」
ーー君子危うきに近寄らず、美人さんだけど変な人だし、申し訳ないけどさっさとトイレにでも逃げ込んで撒かせてもらおう。
「あー、すみません。ちょっとトイレに行きたいので……それでは」
嶺二が立ち去ろうとすると、彼女は慌てた様子で質問を投げかけてきた。
「あ、ちょっと!! ねえ君!! 最後に一つだけ質問!! もしも誰にも気を遣わずに、趣味仲間だけが集まる部活があったらさ、君は入りたい?」
いきなりなんだろうか、脈絡がなさ過ぎて嶺二は混乱しながらもこう返した。
「そうですね……もしもそんな部活があるなら、是非とも入りたいとは思いますね」
彼女はその答えを聞くと、満足したのか去っていった。
「何だったんだ? 一体」
全くもって謎である、嶺二は不思議に思いながらラノベ選びに戻ろうとしたが。
「それはそれとしてやっぱりトイレ行こ、漏れそうだ」
「お会計、22,066円になります」
結局、予定していた買い物以外にも大量に買い込んだせいで、中々の金額になってしまった。
予想外の金額に、若干顔を青くしながら嶺二は支払いを終えると、両手に紙袋をそれぞれ持ち、プルプルと震えながら帰宅した。
次の日。
「おはようございます」
「おはよう」
嶺二は校門をくぐり、玄関に居る先生に挨拶し靴箱で靴を履き替えていると、夏美が登校してきた。
「おはよう佐倉さん」
「おはよう嶺二君」
「今日からいよいよ授業開始だね」
「そうね、嶺二君! お互い頑張ろう!」
「おー!」
「そういえばこの学校、学食と購買どっちもあるよね。佐倉さんはお昼どうするの?」
「私? 私はお弁当かな。けど一回は両方とも行ってみたいな」
ーーこれだよこれ! なんか僕、今物凄く青春出来てる!
夏美ととりとめのない会話をしている内に、嶺二達は教室に着いた。
「おはよう」
「おはよ~」
教室の扉を開けながら、夏美と嶺二は挨拶する。
「おはよう!」
「おはよ!」
「「「おはようございます」」」
「ヒッ」
嶺二を出迎えたのは、鬼の形相をした男子たちだった。
なんとか事無きを得た嶺二は、現在授業中に襲い掛かる睡魔と格闘中であった。
「えーよって、この式の展開は~」
先生が式の解き方を解説しているが、嶺二は半分夢の中だ。昨晩、夜更かししてラノベを一晩で三冊読破せいである。
「痛っ」
その時、嶺二の頭に何かが当たった。
「なんだよもう」
嶺二が周りを見渡すと、床に丸まった紙が落ちていた。嶺二はそれを拾い、机の上で広げて読んだ。
「なになに? 新聞部主催、4月期全校生徒人気ランキング。期日は4月の末まで。へーこんなのあるんだ……というか入ったばっかで分からないんだけど」
その投げつけられてきた人気ランキングの告知用紙の説明文によると、年に二回新聞部主催で男子部門女子部門に分けられて集計されるらしい。
見たら速やかに回すべし! と書かれていたので、とりあえず前の席の女子に手渡した。
そして、嶺二達が数式と格闘し、おじいちゃん先生のゆっくりとした口調に夢の国へ招待されたりとなんとか踏ん張っていると、やっと昼休みが訪れた。
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