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イザナギ学院入学前編
第1話 気がついたら大好きなゲームに転生していた件
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「クソ、あちーな」
季節は夏真っ只中。俺は会社に通勤する為に、うだるような暑さの中信号が青に変わるのを待っていた。
「ッチ、なんで朝からこんなにクソ熱いんだよ。地球温暖化かなんか知らねーけどこの暑さはありえねえだろ」
俺がぼうっとした頭で排気ガスとか環境汚染とか、その他この暑さの原因を呪っていると、どこかからか悲鳴が聞こえてくる。
咄嗟に横を見ると、暴走したトラックが突っ込んできているのがやけにスローモーションで見えた。
ーーこれはもう動いても助からねえや、俺。
その瞬間、激痛が走り。俺の視界は真っ暗になった。
「ここはどこだ。俺は一体……」
目が覚めると、俺は病院のベッドに寝かされていた。
ここは病院か、まだ生きてるとはな。トラックが実は直前でブレーキ踏んでたか実は自分も知らないうちに受け身取ってたか。なんにせよ俺の悪運も捨てたもんじゃないらしい。
俺の目が覚めたことに気が付くと、看護師が慌てて医者を呼びにどこかに行った。
……数分後
「やあ、目が覚めたようでほっとしたよ」
「はあ」
眼鏡をかけた、どこか頼りなさそうな初老の男性がそこに居た。どうやら俺の担当医らしい。
「それにしても良かった。君が目覚めたのは奇跡のようなものだよ?」
先生曰く、事故の衝撃で脳が損傷しており、目覚める可能性はゼロに等しかったらしい。
「マジですか、それは確かに奇跡ですね。あー、ところで母親と会社に連絡したいんですけど」
そういうと、先生は言いづらそうに俺に言った。
「もう学校には連絡してある。だが……その、だね。落ち着いて聞いてほしい。実はあの事故で助かったのは君一人だけだったんだよ。だからお父さんもお母さんも……」
ーーん? ん? おかしいぞ? 俺には母親は居ても父親なんて居ねえ。それにお袋は実家で畑耕してんぞ? つーか学校ってなんだ。
「え? なに言ってんですか? 親父は五歳のころ出て行ってるし、なんならお袋も田舎で畑耕してますよ」
「何を……まさか」
先生は最初は怪訝そうな顔をしていたが、何かに気が付いたようで難しそうな顔で俺に名前を聞いてきた。
「え? ーーですけど」
俺は記憶喪失扱いされたらしい。曰く、事故のショックから自ら偽りの記憶を作り出すことで心が壊れないようにしているそうだ。
それと、あることに俺は気が付く。それは、俺が病院のトイレで鏡を見た時の事だった。
「誰だコイツ、マヌケな面しやがって」
用を足し、記憶喪失扱いされて憂鬱な気分で手を洗い、顔を上げたその時、鏡に映ってるのは俺ではなく気弱そうで、さえない顔をした少年だった。
「……まさかとは思うけどこれ、俺か? 嘘だろ?」
試しに右手を振ったり左手を振ったり、鏡に向かって中指を立ててみるが、鏡の中のさえない野郎は全く同じことをしてくる。
「……嘘だろ」
俺はその日、自分が名も知らぬ少年に転生したことを自覚した。
どうやら、俺が転生した少年の名前は鈴木悠馬と言うらしい。どっかで聞いたような気がするが多分気のせいだろう。
「さてと、暇だしテレビでも見るか」
そして、俺の目に映ったのは『大人気Aランクエンフォーサーにしてモデルの尾野真司の素顔に迫る!!』というニュースだった。
「ん? エンフォーサー?……」
ここラストティアーズの世界じゃねえか!!
季節は夏真っ只中。俺は会社に通勤する為に、うだるような暑さの中信号が青に変わるのを待っていた。
「ッチ、なんで朝からこんなにクソ熱いんだよ。地球温暖化かなんか知らねーけどこの暑さはありえねえだろ」
俺がぼうっとした頭で排気ガスとか環境汚染とか、その他この暑さの原因を呪っていると、どこかからか悲鳴が聞こえてくる。
咄嗟に横を見ると、暴走したトラックが突っ込んできているのがやけにスローモーションで見えた。
ーーこれはもう動いても助からねえや、俺。
その瞬間、激痛が走り。俺の視界は真っ暗になった。
「ここはどこだ。俺は一体……」
目が覚めると、俺は病院のベッドに寝かされていた。
ここは病院か、まだ生きてるとはな。トラックが実は直前でブレーキ踏んでたか実は自分も知らないうちに受け身取ってたか。なんにせよ俺の悪運も捨てたもんじゃないらしい。
俺の目が覚めたことに気が付くと、看護師が慌てて医者を呼びにどこかに行った。
……数分後
「やあ、目が覚めたようでほっとしたよ」
「はあ」
眼鏡をかけた、どこか頼りなさそうな初老の男性がそこに居た。どうやら俺の担当医らしい。
「それにしても良かった。君が目覚めたのは奇跡のようなものだよ?」
先生曰く、事故の衝撃で脳が損傷しており、目覚める可能性はゼロに等しかったらしい。
「マジですか、それは確かに奇跡ですね。あー、ところで母親と会社に連絡したいんですけど」
そういうと、先生は言いづらそうに俺に言った。
「もう学校には連絡してある。だが……その、だね。落ち着いて聞いてほしい。実はあの事故で助かったのは君一人だけだったんだよ。だからお父さんもお母さんも……」
ーーん? ん? おかしいぞ? 俺には母親は居ても父親なんて居ねえ。それにお袋は実家で畑耕してんぞ? つーか学校ってなんだ。
「え? なに言ってんですか? 親父は五歳のころ出て行ってるし、なんならお袋も田舎で畑耕してますよ」
「何を……まさか」
先生は最初は怪訝そうな顔をしていたが、何かに気が付いたようで難しそうな顔で俺に名前を聞いてきた。
「え? ーーですけど」
俺は記憶喪失扱いされたらしい。曰く、事故のショックから自ら偽りの記憶を作り出すことで心が壊れないようにしているそうだ。
それと、あることに俺は気が付く。それは、俺が病院のトイレで鏡を見た時の事だった。
「誰だコイツ、マヌケな面しやがって」
用を足し、記憶喪失扱いされて憂鬱な気分で手を洗い、顔を上げたその時、鏡に映ってるのは俺ではなく気弱そうで、さえない顔をした少年だった。
「……まさかとは思うけどこれ、俺か? 嘘だろ?」
試しに右手を振ったり左手を振ったり、鏡に向かって中指を立ててみるが、鏡の中のさえない野郎は全く同じことをしてくる。
「……嘘だろ」
俺はその日、自分が名も知らぬ少年に転生したことを自覚した。
どうやら、俺が転生した少年の名前は鈴木悠馬と言うらしい。どっかで聞いたような気がするが多分気のせいだろう。
「さてと、暇だしテレビでも見るか」
そして、俺の目に映ったのは『大人気Aランクエンフォーサーにしてモデルの尾野真司の素顔に迫る!!』というニュースだった。
「ん? エンフォーサー?……」
ここラストティアーズの世界じゃねえか!!
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