愛されたい少年

星夜るな

文字の大きさ
上 下
17 / 192
1章

17

しおりを挟む
今僕は、ご飯を食べる大きな部屋に来ている。
結局、僕は、この家の子になることを選んだ。
「エーリル。ちゃんと食べてる?」
兄になるリオが、僕の食べる姿をジッと。見ている。
『はい。』
そういう意味で、うなずいた。
ここでの食事は、初めてで驚くことばかりだ。
まず、量が多い。
そして、見たことのない料理が次々と運ばれてくる。
最後に、ここの人たちは僕を一人の人間として扱ってくれる。


『嬉しい。』
そう感じた。
ふふ。
と、水の妖精が隣で笑う。
いろんな料理を食べたい。
そう思うが、ご飯を5口食べるとお腹いっぱいになった。
申し訳ないが、もう入らない。
そう思い。恐る恐るフォークを下ろす。
それを見ていた叔父?いや、父?は、
「どうしたんだ?もっと食べていいんだ。」
と声をかけてくれたが、普段一食しか食べない僕には、十分量がある。
「『もう、お腹に入りません。ごめんなさい。』て、エーリル。言ってるよ。」
と水の妖精が代弁してくれた。 
すると、
「「「えっ。もう食べられない!?」」」
と三人揃って。しかも同じセリフで。
「エーリル。もう少しぐらい食べられるだろう。」
とおじいちゃん。
「遠慮しなくていいんだよ。」
と、リオ。
「苦手なものがあったのか。」
と、ラオル。
違うという意味で頭を横に振った。
そして、ラオルは、少し考え
「わかった。今回はそれでいいが、もっと次は食べやすいものにしよう。」
と言ってくれた。

でも僕は、食べられるものがあるだけでいいのに。

そんなことを考えていた。

それから、僕以外の三人は、今からするべきことがあるからと部屋を出ていった。

残された僕。
そして、水の妖精。

自由にしていいと言われたけど、人がいるところが苦手なので、部屋に戻ることにした。

「疲れた?」
と、水の妖精は、僕を気遣ってくれた。
『うーん。多分。なれないことで。今日は、ありがとう。』
そう言うと、水の妖精は、キラキラした笑顔を僕に見せた。
「ふふ。エーリル、君が、後悔していないなら、良かったよ。」
と言ってくれた。



そして、部屋にこもって数時間。
やることがなく、ボーッとしていると、睡魔がきた。

普段と違うことが起き、お腹いっぱい食べたのが、その原因だろう。
でも、まだお昼だ。寝るわけにはいかない。
そう思って耐えていると。
水の妖精が、僕の額に近づき、手を置いた。


あの時のように、視界がふと暗くなる。



スーゥー。スー。

と寝息が部屋の中に。
聞こえる。

「大丈夫だよ。」

その一言は、静かな部屋に溶けていった。







❝前にも同じような場面になってしまいました。なかなか話が進まなくてすみません。❞
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

閉ざされた世界からの脱出

O.K
エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

悪魔の消しゴム

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

マイホーム戦国

SF / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:482

婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:157

愛人が妊娠したから私とは婚約破棄したいのですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

これは政略結婚ではありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:265

処理中です...