僕が僕を許せる日まで

星夜るな

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「え?家を継ぐですか?」

僕は、そういう意思も、考えたこともなかったので、びっくりした。

「流さんが継ぐんじゃないんですか?」

流さんは、困った顔をして、
「だいたい清の父が継ぐ予定だったんだから、本来その地位は、清なんだよ。」

そうなるのか。でも僕自身は、まだ会って間もないけれど、流さんが適任だと感じる。

気遣いもでき、人を思いやれる。
立派な当主に。


「僕は。人前に出るのは、苦手だし、父と同じ考えで自分の力で幸せ。未来をつかみ取りたいので…。それに、流さんの方が適任だと思います。」

流さんは、ふっと笑みを浮かべた。
「いつもは頼りなさそうなのにこういう時はしっかり断るんだな…似てるよ。」

流さんは、誰に似ていると思ったのか、はっきりとは口にしなかった。
ただ、なにか懐かしい思い出を思い出しているようだった。

「よし!夜ご飯食べて。早く寝ろ。明日も学校だそ。」

えっ?
「昼ご飯は?」

慌てて時間を見ると夜の8時を指していた。

カーテンが閉まっていて時間の感覚が狂っていたようだ。

「よく寝ていたみたいだからな。行くぞ!」

流さんは、前を歩い出した。

僕もそれについて行く。

その日の夜。夢の中で、事件のあった日のことが出てきた。
悲しい悲しい夢だった。






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