僕が僕を許せる日まで

星夜るな

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次の朝、流さんが訪ねてきた。
「おはよう。俺の父を紹介したいが、今は、アメリカに仕事に行ってて…。帰ってきたら紹介するな。」
それから流さんは、毎日どこかしらで僕達を見に来てくれていた。
言葉遣いは荒いけど、本当は、優しい人だと思った。








時間は淡々と流れ。4月12日。今日は学校の入学式だ。
あの事件の時に合格していた学校だ。
亜龍学園ありゅうがくえんは、中高一貫校で、弟の空も通う。ちなみに中等部は、制服の全体イメージが白。高等部は、黒。と分かりやすく分けられている。
流さんは、学園まで車を出してくれた。
「二人とも緊張すると思うが、楽しめよ。」
と言ってくれた。
空は、
「兄ちゃん。僕大丈夫かな。中二って。結構微妙な時期じゃない?友達できるかな?」
と、綺麗で整った顔を崩しながら、不安そうに聞いてきた。
「確かに、微妙な時期かもしれないけど、空なら大丈夫。もし、だめだったり、困ったら僕のところまでおいで。一緒にお昼ごはん食べようね。」
と久しぶりのお兄ちゃん発言ができた。
空は、あの事件から、時々暗い顔をしたり、甘えてくるようになった。
早く心の傷が癒えてほしい。そう願わずにはいられない。
家から学園までは車で10分もかからなかった。弟と途中で別れ、僕は入学式へと向かった。
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