僕が僕を許せる日まで

星夜るな

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「早く起きなさい。」
「兄ちゃん。早く起きてよ。遅いよ。」
「ほら、弟にも言われているぞ。まったく。」
朝から僕を起こす声が聞こえる。幸せで、当たり前の日々かこれからも続くと思っていた。母が、毎日美味しい料理を作ってくれて、父が、なかなか起きない僕を怒りながら、笑ってくれて、弟が、またか。という顔で「おはよう。」と言ってくれる。はずだった。だったのに、それが一瞬で壊された。

僕が中3の冬。合格発表の帰り道だった。その日ずっと通いたかった。僕のあこがれの学園に合格してとても浮かれていた。
家の鍵をあけようとして、鍵があいているのに気づいた。その瞬間嫌な予感がした。
急いで家に入り、リビングに行くと両親と弟が倒れていた。呼吸をするのも忘れ、駆け寄った。見ると両親は胸を刺されていた。弟は、両親に庇われ、守られるように、気絶しているみたいだった。
混乱する中、僕は警察に電話して、救急車を呼んだ。どんなふうに説明したのか。
覚えていない。
ただただ、3人が生きていることにかけた。
そして、願った。
言い方を変えれば、それだけのことしかできなかったと言える
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