SMの世界

番外編

翔と颯斗 小話

「あの、颯斗さんとオーナーはどんな感じで、その、……調教とかするの？」
「ばっ、なんだよ、急に」
「最近、思うんだけど、SMってよくわからない」
「わかんなくていいんだって、言ったろ？　……しょうがねぇなぁ。龍哉さんは、どっちかっていうと、ディシプリン系」
「デ、ディ……？」
「躾とか懲罰とか、そういう感じ。ちょー簡単かつシンプルにいうと、親に叱られるのに似てるな。体罰ありだから、普通の親子がやったらただの虐待だけど」
「うーん？　悪いことしたら、お尻ぺんぺんされるってこと」
「イメージとしてはそんな感じ。ぺんぺんなんて、なまやさしいもんじゃねぇけど……」
「どういう時に、それは、叱られるわけ？」
「そりゃ、いろいろあるさ。一緒に住んでるし……。生活が乱れてるとか、言葉づかいが悪い、約束を破ったとか」
「それって、大変じゃない？」
「んー、大変だけど……、慣れ？　いや、慣れたわけじゃないか。んー、龍哉さんのルールは別に理不尽ってわけでもないから、気をつけていれば普通に生活できるレベルなんだよな。規則正しく生活するとか、丁寧な言葉を使うとか、他人に対して敬意を忘れないとかさ」
「うん」
「でもさ、それって簡単だけど難しいよな。夜更かししてぇ時もあるし、むしゃくしゃしてれば怒鳴ったり、人に良くない態度をとったりとかあるじゃん」
「そだね。自分でも、あーだめだなぁってなったりする」
「そういう時に、龍哉さんに叱られるわけ。そうすっと、なんつーか、……許された？　みたいな感じになる」
「なるほど……。じゃ、その、エッチぃことはしないってこと？」
「そこはさ、龍哉さんもSだからな。そーゆーのもあるよ」
「そう、なんだ……」
「有聖さんは？　ドムサブ系なの？　それともただのサド？　ボンテージ系ではねぇよな」
「ど、どむさぶ？」
「ドミナントとサブミッシブ。ようは支配したい、服従したいってこと」
「あー、支配したいっていうのは、そうだけど……。でも、それはサディズムの延長？　みたいな感じなんだって」
「あーなるほどね。そっか。やっぱ、有聖さんはそうだよな。加虐嗜好が強めな感じはする。龍哉さんも加虐性はあるけど、どっちかっつーと、ディシプリンが強いから、叱るとか躾とかの要素がないとプレイになんねぇもんな」
「……？」
「ようはさ、龍哉さんの場合はプレイするのは躾なんだよな。朝寝坊したからスパンキングするとかさ。有聖さんの場合は、そういう理由づけがあってもなくてもスパンキングするだろ？」
「な、なんでわかるの？」
「そりゃ、龍哉さんといればいろんなSに会ってるからな」
「そういうのって、わかるようになるもの？」
「慣れだよ、慣れ！　これでもかってディシスパされてりゃ、わかるようになんの。翔はまだペーペーなんだから、とりま、自分のことだけ考えろよな」


おわり