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番外編・青年カインの年上の恋人
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「ソーセージ、オレの分もあげるね」
「……ニーナが自分で食べると良い」
「えー、だって、カイン君美味しそうに食べるから、食べさせたいんだって」
ニーナは食卓の向かい側からカインの口元にフォークで刺したソーセージを差し出して来る。
「ほら、あーんして」
「……分かった」
二人で食事をする際、ニーナはカインに物を食べさせたがる癖があった。カインもけして嫌ではなかったが、子ども扱いされている気がして複雑な気分だった。
口元に運ばれたソーセージに齧りつき、咀嚼しているとニーナが嬉しそうな顔で見つめてくる。
「カインは食べっぷりが良いよね。見ていて気持ちが良いよ」
「そうか……だが、ニーナにもちゃんと食べて欲しい。それだけでは足りなくないか?」
ニーナのパンケーキは中くらいのサイズが三枚重ねられ、ソーセージはカインが食べた分を合わせても四本だ。そこに拳大のチーズクリームとサラダが添えられている。カインからすれば「もう少し多くても良いのでは」と感じる量だった。
「足りてるよ! オレは食べ盛りじゃないんだからな」
ニーナは「これでも多いくらいだ」と呆れた風に言った。カインの周囲にはよく食べ、よく飲む冒険者達しかいないので、自分の判断基準が大味過ぎたなと反省した。
「すまない……」
「もう……カインはいつもちゃんと謝れて来て偉いから、もう一本ソーセージあげるよ。ほら、あーん」
「ん……」
また口元にソーセージを差し出され、されるがままにもぐもぐと食べた。
「はぁ、楽し……」
ニーナは相変わらずカインの食べる姿をニコニコと見つめている。
(ニーナはもしや、俺に食べさせたいがために自分の食事を……ニーナからすれば多い量にしているのだろうか?)
指摘しようかと迷ったが、言うとこの甘やかな触れ合いがなくなってしまう気がしたのでカインは黙っておくことにした。
(ニーナがあまり食べていないようなら、その時は俺がニーナに食べさせれば良いか)
カインは一人うんうんと頷くと、自分の巨大なパンケーキを切り分け、チーズクリームをたっぷりつけると、フォークに刺してニーナに差し出した。
「何?」
「俺の分もニーナに食べさせたい」
「えー、あー、うーん、そうなるかあ~」
ニーナは頬を染めて唸ると、観念した様子で差し出されたパンケーキをもぐもぐと食べた。
(これは……確かに楽しいな)
愛らしい小鳥に食べ物を分け与えている気分がして、カインは微笑んだ。
「とても楽しいな。今度、隣で食べさせ合いながら食事をしてみるか?」
「行儀悪いだろ……」
ニーナは赤い頬のままそう言うと、自分の分のパンケーキをパクパクと食べ始めた。照れている様子が可愛らしくてカインは口元に笑みを浮かべた。
「……ニーナが自分で食べると良い」
「えー、だって、カイン君美味しそうに食べるから、食べさせたいんだって」
ニーナは食卓の向かい側からカインの口元にフォークで刺したソーセージを差し出して来る。
「ほら、あーんして」
「……分かった」
二人で食事をする際、ニーナはカインに物を食べさせたがる癖があった。カインもけして嫌ではなかったが、子ども扱いされている気がして複雑な気分だった。
口元に運ばれたソーセージに齧りつき、咀嚼しているとニーナが嬉しそうな顔で見つめてくる。
「カインは食べっぷりが良いよね。見ていて気持ちが良いよ」
「そうか……だが、ニーナにもちゃんと食べて欲しい。それだけでは足りなくないか?」
ニーナのパンケーキは中くらいのサイズが三枚重ねられ、ソーセージはカインが食べた分を合わせても四本だ。そこに拳大のチーズクリームとサラダが添えられている。カインからすれば「もう少し多くても良いのでは」と感じる量だった。
「足りてるよ! オレは食べ盛りじゃないんだからな」
ニーナは「これでも多いくらいだ」と呆れた風に言った。カインの周囲にはよく食べ、よく飲む冒険者達しかいないので、自分の判断基準が大味過ぎたなと反省した。
「すまない……」
「もう……カインはいつもちゃんと謝れて来て偉いから、もう一本ソーセージあげるよ。ほら、あーん」
「ん……」
また口元にソーセージを差し出され、されるがままにもぐもぐと食べた。
「はぁ、楽し……」
ニーナは相変わらずカインの食べる姿をニコニコと見つめている。
(ニーナはもしや、俺に食べさせたいがために自分の食事を……ニーナからすれば多い量にしているのだろうか?)
指摘しようかと迷ったが、言うとこの甘やかな触れ合いがなくなってしまう気がしたのでカインは黙っておくことにした。
(ニーナがあまり食べていないようなら、その時は俺がニーナに食べさせれば良いか)
カインは一人うんうんと頷くと、自分の巨大なパンケーキを切り分け、チーズクリームをたっぷりつけると、フォークに刺してニーナに差し出した。
「何?」
「俺の分もニーナに食べさせたい」
「えー、あー、うーん、そうなるかあ~」
ニーナは頬を染めて唸ると、観念した様子で差し出されたパンケーキをもぐもぐと食べた。
(これは……確かに楽しいな)
愛らしい小鳥に食べ物を分け与えている気分がして、カインは微笑んだ。
「とても楽しいな。今度、隣で食べさせ合いながら食事をしてみるか?」
「行儀悪いだろ……」
ニーナは赤い頬のままそう言うと、自分の分のパンケーキをパクパクと食べ始めた。照れている様子が可愛らしくてカインは口元に笑みを浮かべた。
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