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番外編・青年カインの年上の恋人
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服を着替えてから一階に降りて身繕いをし、遅い朝食兼昼食にパンケーキを作ることになった。
カインが焼いたパンケーキにはボイルしたソーセージが添えられ、ニーナが用意したチーズクリームがかかっている。
チーズクリームにはニーナが働く雑貨店で貰ったというナッツが練り込まれ、ナッツの香ばしさがチーズの風味を引き立てる工夫がされていた。
(一人の食事を作るのは億劫なのに、ニーナと作る食事はどうしてこんなに楽しいのだろうか)
カインは自然と顔が綻ぶのを感じた。ニーナは食器棚からカラトリーを取り出して食卓に運んでいる。
「あー、緑色が無いよね。ハーブを引っこ抜いて来るよ」
ニーナは食卓に並べたパンケーキを見て、思いついた風に言った。
「ニーナ、俺が行こう」
「ううん、大丈夫。カインはお茶を淹れてくれたら嬉しいかな」
パタパタとニーナは外に出て行き、カインが湯を沸かして茶を淹れているとニーナがすぐに帰って来た。青々とした新鮮なハーブを手一杯に持っている。
「すぐにサラダにするから」
楽しそうに尻尾をゆっくりと振ってハーブをサラダに仕立て上げている。ピンと耳が立っていて可愛らしいなとカインは愛しさを感じた。
「カイン、サラダはこの量で足りる?」
カインの方がよく食べるので、カインのパンケーキの皿に溢れそうな程ハーブサラダを載せながらニーナが尋ねて来た。
「ああ、十分だ」
「足りなかったらオレの分をあげるね」
「……そこまで食い意地ははっていない」
「はははっ、そんな風に思ってないよ」
そう言ってニーナがカインを肘で突いた。いたずらっぽく上目遣いで見つめて来る表情に胸が高鳴り、カインが屈んで顔を近づけるとニーナがきょとんとした後に笑って唇を合わせてくれた。
「ん……」
「ニーナ……」
ニーナの腰に手を回し、ねだる様にして何度も唇を合わせた。シャツの裾から手を入れ、背中を撫でるとニーナは身をよじった。
「こーら、服の中に手を入れるなぁ」
「……ダメなのか」
「パンケーキが冷めるだろ」
ニーナがカインをグッと押し退けたので、カインは渋々手を離した。
「そんなにオレとイチャイチャしたいんだ」
「ああ」
「ふっ……素直。また今夜、ね?」
ニーナが頬を染めてニコリと笑った。
(やはり、俺はニーナの前では余裕が無い年下だな)
カインは反省はしたが、後悔はしていなかった。今日もニーナと愛を確かめ合えると思うと、胸が張り裂けそうな程幸せだった。
「ニーナといると幸せだ」
「も、もう、早くご飯食べようよ!」
「ああ、そうだな」
カインはくつくつと笑い、食卓に向かった。
カインが焼いたパンケーキにはボイルしたソーセージが添えられ、ニーナが用意したチーズクリームがかかっている。
チーズクリームにはニーナが働く雑貨店で貰ったというナッツが練り込まれ、ナッツの香ばしさがチーズの風味を引き立てる工夫がされていた。
(一人の食事を作るのは億劫なのに、ニーナと作る食事はどうしてこんなに楽しいのだろうか)
カインは自然と顔が綻ぶのを感じた。ニーナは食器棚からカラトリーを取り出して食卓に運んでいる。
「あー、緑色が無いよね。ハーブを引っこ抜いて来るよ」
ニーナは食卓に並べたパンケーキを見て、思いついた風に言った。
「ニーナ、俺が行こう」
「ううん、大丈夫。カインはお茶を淹れてくれたら嬉しいかな」
パタパタとニーナは外に出て行き、カインが湯を沸かして茶を淹れているとニーナがすぐに帰って来た。青々とした新鮮なハーブを手一杯に持っている。
「すぐにサラダにするから」
楽しそうに尻尾をゆっくりと振ってハーブをサラダに仕立て上げている。ピンと耳が立っていて可愛らしいなとカインは愛しさを感じた。
「カイン、サラダはこの量で足りる?」
カインの方がよく食べるので、カインのパンケーキの皿に溢れそうな程ハーブサラダを載せながらニーナが尋ねて来た。
「ああ、十分だ」
「足りなかったらオレの分をあげるね」
「……そこまで食い意地ははっていない」
「はははっ、そんな風に思ってないよ」
そう言ってニーナがカインを肘で突いた。いたずらっぽく上目遣いで見つめて来る表情に胸が高鳴り、カインが屈んで顔を近づけるとニーナがきょとんとした後に笑って唇を合わせてくれた。
「ん……」
「ニーナ……」
ニーナの腰に手を回し、ねだる様にして何度も唇を合わせた。シャツの裾から手を入れ、背中を撫でるとニーナは身をよじった。
「こーら、服の中に手を入れるなぁ」
「……ダメなのか」
「パンケーキが冷めるだろ」
ニーナがカインをグッと押し退けたので、カインは渋々手を離した。
「そんなにオレとイチャイチャしたいんだ」
「ああ」
「ふっ……素直。また今夜、ね?」
ニーナが頬を染めてニコリと笑った。
(やはり、俺はニーナの前では余裕が無い年下だな)
カインは反省はしたが、後悔はしていなかった。今日もニーナと愛を確かめ合えると思うと、胸が張り裂けそうな程幸せだった。
「ニーナといると幸せだ」
「も、もう、早くご飯食べようよ!」
「ああ、そうだな」
カインはくつくつと笑い、食卓に向かった。
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