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番外編・青年カインの年上の恋人
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会えなかった時間を埋める様に他愛もない話をしていたので、けっこうな時間が経っていた。
ベッド横の棚にある置き時計を見ると深夜といえる時間だ。普段ならばニーナはぐっすりと寝入っている頃合いだなとカインは息をついた。
「ニーナ、眠くはないか? ニーナと話していると楽しいので、時間があっという間に過ぎてしまう……」
カインは隣に寝転ぶニーナに尋ねた。ニーナはふるふると首を振り「大丈夫」と応えてくれた。
「オレもカインとお話したかったから、大丈夫だよ。それに……今日は夜更かししようと思ってたし」
寝転ぶカインの頬にチュッとキスをして頭を撫でて来た。
「ね、お話しようよ」
「ニーナ……」
ニーナは「よしよし」と言って頭を撫でてくる。少し照れた声色でカインを見つめる青い瞳は薄暗い照明の光で穏やかに輝いている。
(キレイだ。まるで海に沈む夕日を見ている様だ……)
頬に手を伸ばし、くすぐる様に撫でるとニーナは身をよじった。
「ニーナの瞳をこんな近くで見つめることが出来て、俺は幸せ者だ」
「え? う、うん」
「俺は今まで遠征ばかりで……一人の時はそれでも良いと考えていたんだが、これからは、ニーナと二人の人生をちゃんと考えて行きたい」
「うん……」
頬を撫でるカインの手にニーナも手を添えて目を細めた。カインはその姿に愛しさを感じ、しばらくジッと見つめてしまった。
「ニーナ……改めて言う。どうか、俺と結婚して欲しい」
「な、何だよ、いきなり。結婚前提の恋人だって、ちゃんと分かってるし……オレだってそのつもりなんだからな!」
ニーナは頬を染めて唸った。
「そんな何度も言うなよ。恥ずかしくなっちゃうだろ……!」
「すまない。だが、何度でも言いたい」
「も、もうっ」
ニーナは唸りながらも撫でる手を拒まなかったので、カインは首筋や唇もスリスリと撫でた。
「……本当、オレを撫でるのが上手いな……大型犬のくせに」
「大型犬?」
「何でもないよ!」
ボソボソと呟き、ニーナは身をよじってカインの胸に覆い被さった。
「……カイン君、疲れてると思うんだけどさぁ、ニーナお兄さんとイチャイチャして夜更かししない?」
「イチャイチャして、夜更かし……」
カインの喉がゴクリと鳴った。確かに疲労は溜まっていたが、ニーナと触れ合っていると疲れなど吹き飛んでしまう。
「ああ、俺もニーナと夜更かしがしたい」
「ふふ……カイン君は悪い子だね」
ニーナの言葉遣いにカインは胸がドキドキした。堪らなくなり胸の上のニーナを抱きしめ、頭の上についた毛並の良い耳を撫でた。
「カイン……ドキドキしてるのが聞こえる」
「ニーナに誘われると、いつもこうなる」
「そうなんだ。じゃあ、オレが責任取らないと……」
ニーナは甘えるようにカインの胸に頬ずりをした。
ベッド横の棚にある置き時計を見ると深夜といえる時間だ。普段ならばニーナはぐっすりと寝入っている頃合いだなとカインは息をついた。
「ニーナ、眠くはないか? ニーナと話していると楽しいので、時間があっという間に過ぎてしまう……」
カインは隣に寝転ぶニーナに尋ねた。ニーナはふるふると首を振り「大丈夫」と応えてくれた。
「オレもカインとお話したかったから、大丈夫だよ。それに……今日は夜更かししようと思ってたし」
寝転ぶカインの頬にチュッとキスをして頭を撫でて来た。
「ね、お話しようよ」
「ニーナ……」
ニーナは「よしよし」と言って頭を撫でてくる。少し照れた声色でカインを見つめる青い瞳は薄暗い照明の光で穏やかに輝いている。
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頬に手を伸ばし、くすぐる様に撫でるとニーナは身をよじった。
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「え? う、うん」
「俺は今まで遠征ばかりで……一人の時はそれでも良いと考えていたんだが、これからは、ニーナと二人の人生をちゃんと考えて行きたい」
「うん……」
頬を撫でるカインの手にニーナも手を添えて目を細めた。カインはその姿に愛しさを感じ、しばらくジッと見つめてしまった。
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ニーナは頬を染めて唸った。
「そんな何度も言うなよ。恥ずかしくなっちゃうだろ……!」
「すまない。だが、何度でも言いたい」
「も、もうっ」
ニーナは唸りながらも撫でる手を拒まなかったので、カインは首筋や唇もスリスリと撫でた。
「……本当、オレを撫でるのが上手いな……大型犬のくせに」
「大型犬?」
「何でもないよ!」
ボソボソと呟き、ニーナは身をよじってカインの胸に覆い被さった。
「……カイン君、疲れてると思うんだけどさぁ、ニーナお兄さんとイチャイチャして夜更かししない?」
「イチャイチャして、夜更かし……」
カインの喉がゴクリと鳴った。確かに疲労は溜まっていたが、ニーナと触れ合っていると疲れなど吹き飛んでしまう。
「ああ、俺もニーナと夜更かしがしたい」
「ふふ……カイン君は悪い子だね」
ニーナの言葉遣いにカインは胸がドキドキした。堪らなくなり胸の上のニーナを抱きしめ、頭の上についた毛並の良い耳を撫でた。
「カイン……ドキドキしてるのが聞こえる」
「ニーナに誘われると、いつもこうなる」
「そうなんだ。じゃあ、オレが責任取らないと……」
ニーナは甘えるようにカインの胸に頬ずりをした。
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