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番外編・青年カインの年上の恋人
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風呂で体を清めてから二階に上がり、扉をノックすると「どうぞ」とニーナの声が返って来た。カインは深呼吸してから扉を開けた。
「カイン君、いらっしゃい。さ、ニーナお兄さんの隣に来てよ」
ニーナはすでにベッドに入っており、上体を起こして歓迎するように小さく手を広げた。カインは胸がドキドキと騒がしくなってしまい、咳払いをして誤魔化した。
「……今行く」
部屋の照明は薄暗く、香を焚いているのか落ち着いたハーブの香りがする。窓の近くの洋服掛けには亜麻色のローブがかけられ、机には小さな鏡や王都の観光案内の本が無造作に置かれている。恋人の部屋に入ることに、カインは少しだけ緊張した。
(ニーナの部屋は久々だ……)
普段のニーナはカインの部屋で一緒に寝起きしている。カインの部屋は鍛錬用の道具置き場の中に寝床があるような無骨な物だったので、ニーナの私物が置かれた部屋を新鮮に感じていた。
そんなことを考えて立ち止まっているとニーナは首を傾げ、ベッドをポンポンと叩いた。カインははっとしてベッドに上がると、上体を起こしたままニーナの隣に並んだ。
「ね、怪我とかしてない? ちゃんとご飯食べてた?」
ベッドに入るとニーナはカインの体を確認がてらペタペタと触った。
「ああ、怪我はしていない。食事も必要な栄養は摂った」
「んー、それなら良いんだ。カインが無事に帰って来てくれて、すっごく嬉しいよ」
「ニーナ……」
ニーナがカインの手を握りしめ、愛しそうに自分の頬に当てた。
(ああ……ニーナも寂しくて不安だったりしたのだろうか)
カインは姉の帰りを待っていた幼い自分自身の姿をニーナに重ねた。
「ニーナこそ変わりはなかったか?」
「うん、ニーナお兄さんは変わりなく元気だよ!」
こちらを見て、ぱっと明るく笑ってくれたので胸が温かくなった。
「ニーナが家の管理をしてくれるので助かっている」
「管理って、そこまでのことはしてないよ」
「そんなことはない。家は人が住まないとどんどん傷んでしまうんだ。俺は遠征ばかり行っているのでとても助かっている」
カインが駆け出しの冒険者だった頃、他国で後方支援活動をするため二ヶ月程家を留守にしていたことがある。仕事を終えてから久々に戻ると、外壁には蔦が生い茂り、家の中は蜘蛛の巣だらけになっていた。カインはその時のことを思い出して苦笑した。
「カインにそう言ってもらえると嬉しいよ」
ニーナは微笑み、カインを抱きしめながらベッドに寝転んだ。
「カイン君、いらっしゃい。さ、ニーナお兄さんの隣に来てよ」
ニーナはすでにベッドに入っており、上体を起こして歓迎するように小さく手を広げた。カインは胸がドキドキと騒がしくなってしまい、咳払いをして誤魔化した。
「……今行く」
部屋の照明は薄暗く、香を焚いているのか落ち着いたハーブの香りがする。窓の近くの洋服掛けには亜麻色のローブがかけられ、机には小さな鏡や王都の観光案内の本が無造作に置かれている。恋人の部屋に入ることに、カインは少しだけ緊張した。
(ニーナの部屋は久々だ……)
普段のニーナはカインの部屋で一緒に寝起きしている。カインの部屋は鍛錬用の道具置き場の中に寝床があるような無骨な物だったので、ニーナの私物が置かれた部屋を新鮮に感じていた。
そんなことを考えて立ち止まっているとニーナは首を傾げ、ベッドをポンポンと叩いた。カインははっとしてベッドに上がると、上体を起こしたままニーナの隣に並んだ。
「ね、怪我とかしてない? ちゃんとご飯食べてた?」
ベッドに入るとニーナはカインの体を確認がてらペタペタと触った。
「ああ、怪我はしていない。食事も必要な栄養は摂った」
「んー、それなら良いんだ。カインが無事に帰って来てくれて、すっごく嬉しいよ」
「ニーナ……」
ニーナがカインの手を握りしめ、愛しそうに自分の頬に当てた。
(ああ……ニーナも寂しくて不安だったりしたのだろうか)
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「ニーナこそ変わりはなかったか?」
「うん、ニーナお兄さんは変わりなく元気だよ!」
こちらを見て、ぱっと明るく笑ってくれたので胸が温かくなった。
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「そんなことはない。家は人が住まないとどんどん傷んでしまうんだ。俺は遠征ばかり行っているのでとても助かっている」
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